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2人のセレナーデ  作者: 素直
2. till the death do us part
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6/9

ep.5 子供の情景

気が向いたら追加します。

pixivの方が更新早い&この先の話まで載せているので、

気になる方はどうぞ。

→ https://www.pixiv.net/users/103990178

公園の緑が、よそよそしく見える。



通りを歩いていると、公園の前に差し掛かった。

植木の間にベンチを見つける。ただのベンチではない。板が挟まれていて、それは、使える人と使えない人を分けていた。

板の文字は読むのに、そう時間はかからなかった。

ドイツ人のこういった偏見を、理解するのには何年経っても苦労するが。


ベンチの一段下には縁石がある。これは誰の所有とも記されていなかったので、私はそこに腰掛けた。ここがポーランド人の唯一許された席だ、なんて。




縁石は少し冷たく、雨上がりだったので、服が濡れた。湿っているからか、コケが粘り強く張り付いていて、緑を巡らせている。

私は足を畳んで、目だけで公園の中を見た。兵士に見つかったら、どんな目に合うかは何となく分かる。だから、ほんの少しだけ盗み見た。




子供がボールを追いかけている。その楽しげな声が私まで届いた。

無邪気で無垢で、いつか見た、道の傍に横たわった子供たちや、一人きりで泣きわめいていた子供たちを思い出す。生まれた国が違うだけで、あの子供は許可された側にいる。

思い出のなかの子供たちは、父国を奪われ、父母を奪われ、一人きりで、顔もただれていた。

しかしもう既に、過去のこと、私にできることは無いのに、行き場のない感情ばかり湧き出てくる。

あの頃に戻りたい、今は私の中にだけ存在する、あの父国に。




ただただ喜ばしそうにしている子供を見つめて、物思いにふけっていた。それで、私は気付かなかった。軍靴の足音が近付いていることに。私の直ぐ側を通りかかった時に、私はやっと気が付き、驚いた。つい、その軍人の顔を見てしまった。





殴られる、とも思ったがそれは杞憂だった。幸運にもその軍人、将校は、カノープスだった。彼は私の顔を見て、同じく、私と目を合わせてしまった自分自身に酷く動揺していた。他人のふりをしなければならないのに、私も見つめ返してしまった。

しかし、彼の歩みは止まらず、そばを横切って行った。



私は一体何をしているんだ。ノープが疑われたらどうする。

立ち上がって、その場から離れた。呼吸が乱れていく。








知らず知らずのうちに、どこかの通りにたどり着いていた。壁に手をついて、自分の呼吸を整えようとした。午後からは仕事があるというのに。



十分が過ぎた頃、ようやく歩けるようになった。

ふらついたまま、また通りを戻って、まばらな人混みに紛れた。





夕方、控室で会ったとき、ノープは特段何も聞かなかった。それが今の私にはありがたかった。まだあの子供のことが忘れられないままでいた。
















夜、部屋の中でろうそくの光を見つめた。冷たい石の感触が手のひらに残っている気がする。繰り返しの日々に疲れ切っているのか、瞼が落ちた。




控室以外で会うのは、初めてだ。初めて、将校としてのノープを、意識した。目を合わせるべきではなかったのだ。彼を追い詰めてしまった。



彼と、彼と居られるのは嬉しいが、それも終わりある日々だ。だからこそ、今だけは側に居たい。いいや、それも駄目だ。私ではいけない。ドイツ人とポーランド人だから?

そうではないと信じたかった。




離れなければならない。離れても、手紙を送り合って、会えなくても、お互いが生きているだけでいいはず。私はそうじゃないのか。

生きていくためには

いつかは





分かっているはずなのに。






















ふと目を開けると、朝日が目に映った。

どうやら眠ってしまっていたらしい。





私が目覚めるたびに、その時が近づいてくるのが、恐ろしい。



ああ、朝が来なければ。夜には、夜だけは、彼に会えるのに。















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