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4章ー1
桐生はミナを背負い、脱出ポッドへ背を向けた。
「俺はボイラー室に行く。親父さんが向かった場所だ。暖房を手動で復旧させる!」
「うん……!」
迷いは完全に消えていた。
ポッド室を抜けると、佐伯が川上を完全に制圧していた。
「桐生、貴様!? ポッドはどうなっている!? まさか故障か!?」
佐伯の疑問に、桐生は短く答えた。
「認証は済ませてある。起動キーもその辺に転がっているだろう」
その返事を聞いて、川上は生き返ったように佐伯の拘束から抜け出した。
「俺が、俺が生き残るんだぁぁ!!」
走り出し、しゃがみ込んで起動キーを必死に探す川上。その様子を一瞥し、佐伯はゆっくりと立ち上がった。
「どういうつもりだ、桐生。まさか、今更偽善者ぶるつもりか」
「偽善者、ですか。ただ俺は、明日の飯を不味くする自分に我慢ができなくなっただけですよ」
そう言い残し、桐生は部屋を後にする。
「……所詮、お前も早死にするタイプだったか」
扉が閉まる直前、佐伯の呟きがそう聞こえた気がした。




