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攻略対象、探しています〜イケメン幼馴染は毒舌なので対象外です〜  作者: 白波美夜
第2章 恋探し編

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第8話 運命の人には条件があります!

お茶会の翌々日ーー

私は、約束の黒糖プリンとクッキーを持って公爵家を訪問した。


「ジルー!これ食べてー!そして私の未来に向けた感想をよろしくねー!」


応接室に通されてすぐに、バスケットを掲げて言うが……何だか、ジルはご機嫌斜めなようだ。


「ジル、どうしたの?いつもプリンを見たら口元緩ませるのに…..顔怖いよ??」

「……お前、この前のお茶会どうだったんだ?」

「どうって……しっかりこなしてきたよ?あ、お友達が出来たの!」


ジルの口元がヒクヒクと震える。

おかしいな?初対面の時から、だいぶ体力もついてきて、最近のジルは体そこまで弱くないはずなのに、体調不良?


「……目当ての殿下との対面はどうだったんだ?」

「いい人だった。緊張してるならあんまり喋んないでいいよ、ってクッキーくれたんだよ。優しいよね。しかも美味しいし」

「……それで、運命の出会いは無事果たせたのか?」


ジルが、声を落として言う。

そうよね、第一王子の運命の人は、臣下として気になるよね。


「いやー、殿下はいい人だけど、運命の人候補には入らなかったね」

「……はぁー!!?何でだよ、第一王子だぞ!」

「そうなんだけどさー。こう、ビビっと来なかったの」


ジルが「頭痛い……」と言いながら、額を押さえている。え、本当に大丈夫?


「不敬だろ……というか、今更だけど、お前の運命の人って一体どういう条件で決まるわけ?」


全く、ジルったら、お助けキャラなのにわかってないわね!ヒーローの条件なんて、決まっているじゃない!


「まず、顔よ」

「……一番言っちゃダメなやつを最初に言ったな。お前、人間としてそれどうかと思うぞ」

「言わないだけで女性はみんな思ってるよ。大事じゃん!!」

「……あとは?」

「あとはカリスマ性、というかオーラ?なんか、かっこいいセリフ言った時に、エフェクト飛びそうな人」

「エフェクト?」

「こう、背景に華がぐわっ!と咲いたり、キラキラ〜って星が飛びそうってことよ」

「……そんな人間、いねぇよ」

「......あとは私のことをちゃんと見てくれる人かな」


ジルが大きなため息をついてる。


「……殿下から、俺にも手紙が来たぞ」

「え、なになに!?もしかして、私見初められちゃった!?」

「『ジルも苦労するね……。君が振り回されたいタイプだなんて、知らなかったよ』だとよ」

「あれ?ジルもお茶会に関わってたの?苦労してるんだ、大変だね」


何の話をしているのかわからない。こう言う時は流すに限る!

目の前にある紅茶を飲むと、格調高い香りがしてうっとりしてしまう。

ジルが、またため息をついた。幸せ逃げないかな、心配だ。


「……で?今回できたお友達ってのはどんなやつなんだ?」

「ジルの知ってる人だよ。マリアって、ジルの遠縁なんでしょ?」


ジルがガバリ!と頭を上げた。今度は目を見開いてる。忙しいな。


「は?マリア嬢と話す場面があったってことか!?お前、絶対お茶会で問題起こしただろ」

「失礼な、そんなわけないでしょ。にしてもマリアって切れ者って感じだよねー!可憐な見た目なのに鋭利な雰囲気で、ギャップがあって素敵だった!」


「今度一緒にカフェに行く約束したの」と教えてあげると、今度は天井をじっと見上げてる。今日は首のストレッチをしたい気分なのか?


「……俺も、ついてく」

「え?」

「マリア嬢とお前が話すと、ろくなことにならない気がする。俺も行く」

「えー!いやだよ、女同士の話があるんだから。っていうか、しっかり者2人が揃って、何かあるわけないじゃない!」


ジルが大きく項垂れていたので、そっと黒糖プリンを目の前に置いてあげた。

うん!ツヤツヤしてて、我ながらいい出来だ!!


ーーーーーー


「え!?ジルフォード様って、リエラに対してそんなに過保護なんですか!?」

「っていうか、ケーキが食べたかったんじゃない?あの人甘党だし」


たっぷりクリームの乗ったケーキを頬張る私を、マリアは楽しそうに見ている。


「リエラって、かなり感性ズレてますね」

「そんなわけないじゃない!......あ、でもヒロインって天然設定多いよね?……うん、そうなの!私天然だから!」


紅茶を飲んでるマリアに満面の笑みで伝えると、マリアがむせこんだ。肩も震えている……すごく、見覚えのある光景だ。


「......マリアもジルと一緒で体弱い人?大丈夫?家系なのかな?」

「そんなわけないでしょ......私もジルフォード様と一緒で、変人に惹かれてしまうたちなの」

「うわー……男の趣味悪いと、人生狂うよ?気をつけてね?」

「リエラは、一体いくつなの??そして、あなたは嫌味通じない人ね?」


マリアがこっちを睨んでくるけど、美人の睨みはご褒美だ。美しい。うっとり見ていると「ダメだこりゃ」みたいな顔をされた。その表情も、何だかとっても見覚えがある。


「……あら?」


2人で楽しくお茶をしていると、後ろから声がかかった。振り返ると、茶髪縦ロール、吊り目、なんかドレスが豪華な令嬢が立っていた。


(おぉ……!これで金髪なら、間違いなく悪役令嬢だ!)

「あら、マリア様じゃないですか」

「ごきげんよう、クラリッサ様」

(名前も悪役令嬢っぽい!)


もしかして、この人がヒロインの私の生涯のライバル!?と意気込んで見つめていると、ジロリ、と睨まれた。

うわ〜……怖い。


「ピンクの髪に水色の瞳のふざけた見た目……あなた、リエラ・アーヴィング様でして?」

「あ、はい。そうです」

「そう……あなたが、噂のジルフォード様にまとわりつく女、ね」

「……はい?」

「とぼけても無駄よ。ジルフォード様と屋敷が近いことを理由に、淑女教育も放り出して、屋敷に通っているそうね、いい迷惑よ」

「え、いや、それは……」

「しかも、ジルフォード様の遠縁であるマリア様にまで擦り寄って……恥を知りなさい!!」


え、急に怒られたんだけど。びっくりして彼女を見上げると、その瞳を大きく釣り上げ、コチラを指さしている。

普通に失礼だ。


「あの、別に我々は幼馴染でして……」

「この年にもなって、幼馴染なんて通用しなくてよ!今日はあくまで忠告です、ジルフォード様にこれ以上馴れ馴れしくしたら、容赦しませんことよ!」


そう言って、彼女は後をたとうとするのを、マリアが止めた。


「お待ちください、クラリッサ様」

「あら、マリア様。どうされたの?」

「リエラ様は私と、ジルフォード様の大切な友人です。何も知らずに今の言いよう……我が一族の人選に疑問がある、と受け取ってよろしいですか?」


マリアがカップをわざと音を立てておき、クラリッサ様に微笑む。気づけば、女の戦いが始まっていた。


「そんな……私はただ、お二人が言いにくいだろうことを、代わりに……」

「我が家や公爵家が、アーヴィング家の令嬢にものひとつ言うこともできない、と思ってらっしゃる、ということですね?」

「あっ……、決してそのような……」

「……そうですか、どうやら、私の勘違いのようですね…..お引き止めしてしまい、申し訳ありません」


話はここまでだ、と言わんばかりに、マリアが笑うと、クラリッサ様なる人物は、逃げるように立ち去っていった。悪役令嬢、というか、なんか子悪党、って感じだ。

でも今は、そんなことより……


「……マリア」

「……何ですか?」

「あなた、女王様みたいね」

「……何よ、それ……」


マリアが力を抜いて、深いため息をついた。でも、その口元は少し笑っている。


「……あなたこそ、難癖つけられたのに元気そうね?」

「マリアが庇ってくれたからね……でも、女王様に庇われるのは、ヒロイン失格よ!」

「……何の話?」


今まで、運命の人攻略に向けたスキルアップばかりしていたが、ヒロインに必要なもうひとつの要素を忘れていた!それはすなわち!運命の人を巡っての、女同士の戦い!!

今後も、ああいう悪役令嬢キャラに絡まれる可能性がおおいにある!

と言うことは……武道を極めないといけないわ。


「……ねぇ、マリア。強くなるには、まずフェンシングかしら?」

「……あなた、人の話聞いてる?」


マリアが困った顔をしている。「ジルフォード様、どうしましょう……」とうめいているが、大丈夫、あんな甘党を呼ばなくても、あなたの余らせたケーキは、私がしっかり食べてあげるわ。

評価、ブクマいただけるとテンション上がります!よろしくお願いします。おそらく来週、また投稿します。


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