↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
攻略対象、探しています〜イケメン幼馴染は毒舌なので対象外です〜  作者: 白波美夜
第1章 幼少期編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/16

第3話 やはり幼馴染は、攻略対象キャラではないようです

「『幼馴染キャラ』は退場、っと」


ペンを手に取り、「幼馴染」の文字にビーッと削除線を入れた。

このページには『将来の運命の人♡候補一覧』が記載されている。


「残るは……やっぱり王道の王子様と騎士、宰相の息子あたりよねー」


でもこれだけだと、3人しかいない。だとしたら、他に考えられるのは、第一王子と第二王子、とか?

あとは辺境伯の息子とか、か……?隠しキャラは、学園長とかなのかな……

うーん、と唸っていると、部屋の扉がノックされた。


「お嬢様、ノルトラント・ジルフォード様がいらっしゃいました」

「……え、なんで?」


思わず自分の耳を疑った。

応接間に降りていくと、そこには、神妙な顔をしたジルフォードが、行儀よく座っている。


「この前の、礼を言いに来た」

「え、幼馴染キャラはもう強制退場したんだけど」

「……お前、何の話をしているんだ?」


私とジルフォードの間に、謎の沈黙が生まれる。


(いや、性悪幼馴染は攻略対象にならないから)


喉元まで出かかって、ぐっと我慢。大きくため息をついて、ジルフォードの前にあるソファに座ることしか、私には出来なかった……。ジルフォードは、疑問な顔をしつつも、立派な包みを差し出した。


「うちの領地で取れる果物だ、礼として受け取れ」

「はぁ、ありがとうございます」


そっと包みを受け取ると、重い。

え、どれだけ詰め込んだわけ?思わず開けたくなるが、令嬢として我慢。あとで開封させていただくとしよう。そんなことより……


「これだけのためにわざわざ来たの?」


ちょっとした疑問を口にすると、彼は眦を釣り上げた。


「……僕が来たらまずいのか?」

「いや、普通に使者の方にお願いすればいいじゃない」

「お前が前に言ったんだろう、幼馴染になりなさい!と。勝負は僕の勝ちだが……仕方ないからお前の幼馴染になってやる。だから、これからもたまには屋敷に顔を出してやらんこともない」


ふん!という言葉が続きそうな雰囲気でジルフォードが顔を背ける。その耳が、赤く色づいている。


「ねぇ、耳赤いけど、体調大丈夫?……体、弱いんでしょ?」


一応心配して問いかけると、彼は心外だ!と言わんばかりに目を見開き、体をプルプルと震わせている。

え、大丈夫?倒れない?


「大丈夫に決まっているだろう!!バカにするな!」

「いや、バカにしてないし。森で倒れるくらい体弱いから、心配してあげただけじゃない」

「倒れてない!少し休憩していただけだ!!」


怒鳴って疲れたのか、ゼーゼー言っている。いや、病弱過ぎない?

ぎろり、とジルフォードがコチラを睨んでくる。


「というか、お前の体力のほうがありえない…..伯爵令嬢だろ?」

「私、体鍛えているの」

「それだけじゃない……勝負の時の、歌は秀逸だった。あれは、どこで学んでいるんだ?」

「家庭教師にみっちり勉強は教わってるわ。あとはぜんせ…..じゃなかった、天啓が降りてくる、みたいな?」」


ジルフォードは、少し考え込んで「お前、きちんと努力しているんだな」と呟く。


「そりゃあもちろん!将来のために、私は日々努力してますよ!!」


よくぞ気づいてくれました!えっへん!とばかりに胸を張ると、ジルフォードが目を細めてそっと笑った。


(おぉ……幼馴染キャラは強制退場だけど、この笑顔はイベントっぽいぞ。タイトルつけるなら「心を開いた一瞬」って感じね!)


思わず見惚れると、彼が続ける。


「勝手に勘違いして悪かった…..改めてコチラからも言うのが礼儀だな。アーヴィング嬢、いや……リエラ嬢。どうか、僕と友人になってほしい」


ジルフォードが立ち上がり、私に握手を求めてくる。その美貌に頭がポーッとして、ついその手を掴んでしまった。


「……あ、ミスった」

「ミスった?」

「いえ、なんでもありません…..今後も、ご近所のよしみで、たまには一緒に遊びましょう、ノルトラント様」

「ジルフォードで構わない……お前との勉強は、面白くなりそうだ。気兼ねなく、屋敷に遊びに来るがいい」


ジルフォードは神妙に頷くと「じゃあ、今日はこれで」と言って帰り支度を始める。


(あれ?……幼馴染キャラ、退場失敗?)


私は、この展開に、今更後悔するしかなかった……


ーーーーーー


だがしかし!後悔して終わる私ではない!

エプロンを首にかけ、ウエストできゅっとリボンを結ぶ。

今日は、急遽予定を変更して「ジャム作り」を開始します!


ジルフォードがくれたお礼の品は、ミックスベリーだった。

もちろんそのままでも食べるが、量がバカみたいに多い。


(こんな食べれるわけないじゃない。悪くなったら勿体無いし…..)


ヒロインとして料理は必須スキルだ。

汗をかくイケメンがいたら、タオルと一緒にスポドリを渡し、勉強に行き詰まっているイケメンがいたら、「糖分補給しましょう?」と首を傾け、手作りのクッキーを渡すのがヒロインの常識だ!

というわけで、今日は料理スキル強化デーよ!


「ジャムだったら、砂糖入れて煮詰めるだけだし、私でもできるわ!」


キッチンを借りるのに、周囲の反対がすごかったが、そこは、ウルウルとした目で「ノルトラント様からいただいたベリーを無駄にしたくないの」と言ったら、みなさん秒で落ちた。

さすがヒロイン顔!


鍋にベリーに水、砂糖、香り漬けのハーブを入れてコトコトと煮込む。


「うーん。いいにおーい!」


出来上がったジャムをスコーンと合わせるのもいいかもしれない。脚立に乗って、上の棚から小麦粉を探していると「庭からも甘い匂いがするぞ」と声がかかった。


「……うわっ!」

「大丈夫か!?」


びっくりして足場がぐらつくと、見知った金髪が私の体を支える。後ろを振り向くと……


「げ、また来たの?」

「……きたら悪いか」


いたのは、ジルフォードだった。彼が私をそっと持ち上げ、脚立からおろす。

だけど、病弱だから?なのか、腕が少し震えている。私が重いわけではない。多分……いや、絶対。


「ちょっと、もっと軽やかに運んでくれない?」

「仕方ないだろう、普通の子供にとって、10キロ以上のものは全て重いんだ」

「私はあなたをおんぶして、長時間歩いたけど」


ジルフォードが気まずそうにそっぽをむく。この軟弱者め。

まぁいいや、と思い、手にした小麦粉を作業台に置くと、彼もトコトコとついてくる。


「ねぇ、今料理中で忙しいんだけど」


相手をするのも面倒で、塩対応すると、なぜか彼はニヤニヤ笑っている。


「聞いたぞ、ミックスベリー、気に入ったんだって?」

「……ん??」

「メイド達が言ってたぞ。俺が渡したベリーを無駄にしたくない!と目に涙を浮かべて、シェフにキッチンを貸すよう懇願したらしいじゃないか」


絶句、とはまさにこのことである。

私は!料理スキルを上げたかっただけで、こいつにもらったのが嬉しいから料理をしてるわけじゃない!


「違う!!」

「照れるな、わかってる」


ジルフォードが、うんうん、と頷いているが、こいつは何もわかっていない!!


「だから違うってば!」

「そういうことにしておいてやる……これは、何を作ってるんだ?」

「ジャムよ。あと、スコーンをこれから作るの」

「それもお前がやるのか?……伯爵令嬢だろ?」

「別にいいでしょ。料理出来たら、便利じゃない」

「……必要ないだろ?」

「いつか、運命の人が現れたら、その人に手作りの料理を食べさせるって、決めてるの」


適当に答えているとジルフォードがまた耳を赤くした。こいつ、病弱すぎない?


「その運命の人、というのは……」

「まだ現れてないの。多分、学園で現れると思うのよねー。王子とか騎士とか宰相の息子とか……」


鍋をかき混ぜながら会話を続けていくと、だんだん隣の雰囲気が不穏になっていく。


「……なぜ学園で現れる、とわかる」

「だって私ヒロインだし。この世界には、大きな学園があるじゃない」


だいぶ煮詰まってきたなーと思っていると、彼が隣でため息をつく。


「そのジャムとスコーン、俺にもよこせ」

「はい?」

「俺が食べてやる」

「え、嫌だよ。メイドのみんなと食べるって決めたんだし……」


そう言いながらも、ピコーン!と私の乙女センサーが鳴った。


なぜ!忘れていたんだ!!


こいつが性悪とわかった瞬間、攻略キャラから退場してもらったが……もうひとつ、幼馴染キャラには王道のパターンがあるじゃないか!

それはつまり、ヒロインの協力者兼情報提供者!!


ヒロインが困っているときに、恋愛アドバイスをしてくれ、ヒロインのスキルが足りない時は、一緒に料理をして、彼の好むものを一緒に作り上げてくれる人。それがジルフォードだったのか!!!


ガッとジルフォードの手を掴み、真剣な顔で見つめる。


「……本当に?」

「リエラ、嬢……?どう、したんだ?」

「本当に私の作ったお菓子を食べてくれるのね?」

「あ、あぁ……いいぞ」

「これからもずーっと?……食べるだけじゃなくて、有意義なアドバイスもしてくれるのよね?」


ジルフォードがゴクリ、と喉を動かす。どんどんと、彼の顔が色づいていく。


「……俺は味には厳しいぞ」


彼がそっぽを向くが、いわゆる照れ隠しーーその言葉は、肯定だった。


「ありがとう!!本当に、ありがとう!!」


私のお礼にジルフォードは「……別に、礼を言われるほどのことじゃない」と小さく呟いた。


何と言うことだ!今まで冷たくしてごめんね。ジルフォード!

強制退場いただいた幼馴染キャラは、なんと恋愛協力者キャラだったらしい。


ありがとう、ジルフォード!末長くよろしくね!

明日も更新予定です、よろしければブクマ、評価お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。