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攻略対象、探しています〜イケメン幼馴染は毒舌なので対象外です〜  作者: 白波美夜
第2章 恋探し編

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第12話 ヒーローの夢を応援するのがヒロインです

マリアの一言で、部屋の空気が凍りついた。

シャルナーク様は、しばらく声も出せずにいる。

ジルがマリアの耳を引っ張ってコソコソと話し始めた。「お前、言い過ぎだぞ」「だって腹が立ったんですよ、ジルフォード様だってそう思うでしょ!」「別に俺は気にしない」「嘘おっしゃい!ずっとリエラと会わせないように画策してたくせに。スペンサー様のこと、気に入らなかったんでしょ!」「…..別に画策なんかしてない!」って丸聞こえなんだけど。そして、ジルは私とシャルナーク様を会わせないようにしてたわけ!?あいつ、許さん……!でも今はそれどころではない。かわいそうに、シャルナーク様が固まってるじゃない!!


「……スペンサー様、大丈夫ですか?」

「あ、あぁ…..確かに、彼女の言う通りだな」


シャルナーク様は、深刻に考え込んでいる。そんなお顔もイケメンなのだが、この硬い空気をどうにかしたい。私、真面目な空気耐えられない。それに、ヒロインはヒーローのピンチに駆けつけるものですからね!


「スペンサー様!そう思うなら、まずはお父様に意見をきちんと言いましょう!」

「…..え?」

「それは、私たちにはどうにも出来ませんが……本気で騎士になりたいなら、私と一緒に身体を鍛えませんか!?」

「え!?!?」

「私、今毎日筋トレと走り込みをしているんです。ジルとたまに、簡単な手合わせもしていて、それを一緒にやりましょう!!」


私の名案にジルフォードはため息をつき、マリアは笑っている。


「いや、そんな、僕は……」

「遠慮することはありません!明日からは、トレーニングウェアをお持ちください!ちゃんと男性用着替え部屋も準備しておくので、今後の勉強はうちの屋敷でやりましょう!!」

「いや、だから、アーヴィング嬢……」

「よろしいじゃないですか、スペンサー様。あなたの望み通りの展開でしょう?」


マリアが意地悪く笑うと、シャルナーク様はマリアから目を逸らして俯いた。そして、顔を上げた時には、その瞳に光が刺していた。


「ありがとう、リュクス嬢。君の言葉で目が覚めた気がするよ」

「……それは、何よりです」


シャルナーク様は、しばらくマリアを見つめていた。

あれ?私は?なんで2人で見つめあってるの?

首を傾けていると、隣でジルが「この間抜け……お人よしすぎるだろ」と呟いているが、ヒロインとしてヒーローの夢を応援するのは当然でしょうが!


ーーーーーー


「いいですか、スペンサー様。長距離を走る時は呼吸法が大事です。2回吸って、2回吐くんです」

「……はぁ、はぁ……アーヴィング嬢はすごい、な…..僕よりよほど、体力が、ある……」

「昔から鍛えていますからね、ですが、体力のいいところは才能がいらないところです。努力すれば、必ず体力はつきます!一緒に頑張りましょう!!」


スペンサー様は、お父様への説得を試みた結果「勉強も運動も努力しろ」と一蹴されたらしい。かわいそうに……。だけど、運動が合法的にできるようになったのはいいことだ!最近は、私たち4人で、勉強に運動に、切磋琢磨しあっている、のだが……


(スペンサー様、今の所、宰相の息子設定の悩めるイケメン、以外の要素がない……。勉強も運動も、微妙だ……)


これは、今後学園に入学するまでに、大きくパワーアップしていただかないとイベントが発生しない雰囲気だ。まずいぞ!


「スペンサー様!根性!根性です!!一緒に頑張りましょう!」

「……アーヴィング嬢、ちょっと、休憩させてくれ」

「諦めろ、シャル。リエラと一緒にやると決めた以上、このくらいのスパルタは受け入れるしかない」

「ジルは幼少期から、アーヴィング嬢とこんなことをやっていたのか!?」

「 ……まぁ、こいつに付き合っているおかげで、俺も体力はついてきた、そう悪いモンでもないさ」

「そ、そうだったのか……僕がぼんやりしている間に、君は頑張ってたんだね……」


私たち3人の運動を、マリアだけは遠目から見ている。マリアは最近体調もすぐれないらしく、運動はほどほどでいいらしい。このお年頃になると、女の子は貧血とかあるもんね、今度、鉄分豊富な果物でゼリーを作ってあげよう!


「皆さーん!頑張ってくださいねーー!」


マリアの応援に、シャルナーク様が汗を拭い、彼女を見た。


「よっし!もう一踏ん張りしよう」

「はい!一緒に頑張りましょう!」

「……リエラ、お前完全に『ヒロイン』なるポジション、マリア嬢に奪われてないか?」

「何言ってるの、ジルったら!一緒に汗を流して、私まさにヒロインしてるじゃない!」

「……お前の努力の方向性、絶対間違ってる」


ジルがバカにするように笑っているが、間違ってるのはあなただからね!

見てなさい!攻略対象と一緒に汗を流すことで、この後名前呼びイベントとか、発生していくんだから!

ジルにサムズアップを決めると、ジルはため息をついて「まぁ、相手にぶつかるスタンスはお前らしいわな」と呟いた。

前言撤回、ジルってばわかっている!いつだって全力投球、それがヒロインよ!!

シャル様を立派な騎士にして、最高のヒロインイベントを起こして見せるわ〜〜。


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