表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/25

17

重厚な扉が開く。


王と、アシュレイ・エルシオンが姿を現した。


その瞬間。


全員が静かに頭を下げる。


「――楽にせよ」


低く響く声。


国王は席へ向かいながら続けた。


「この度は急な呼び出しに応じてもらい感謝する」


「はっ」


アシュレイが前へ出る。


「今回の事件、すべてはエルシオン家の者が引き起こしたこと」


静かに頭を垂れる。


「皆様には多大なるご迷惑をおかけしました」


そして国王へ向き直る。


「陛下。改めて、謝罪申し上げます」


「うむ」


王は短く頷いた。


「詳しい話は食事をしながらにしよう」


側仕えたちが動き始める。


豪華な料理が次々と並べられていった。



しばらくして。


国王がワインを置く。


「では――各家の報告を頼もう」


最初に口を開いたのはレオンハルトだった。


「軍事面ですが、北側国境の警備強化を継続中です」


軽い調子だった男の声が変わる。


「隣国側にも若干の動きがありますので、騎士団を増員しています」


「以上となります」


「うむ」


次にディオン。


「外交では、東方諸国との条約更新がほぼ完了しました」


書類を机へ置く。


「ただ、今回の事件の影響で宗教関係の国から色々言われてますね」


肩を竦める。


「面倒ですが対処は済ませます」


「以上です」


セドリックが静かに続く。


「現在の国内予算ですが――」


穏やかな声で数字を並べていく。


「学園事件の影響で寄付金制度の見直しも必要でしょう」


眼鏡を押し上げる。


「以上です」


そして。


「グラナート家」


「はい」


リリアンが立ち上がる。


「国内治安に関してですが」


静かな声が響く。


「先の学園事件により、国民の不安が強まっております」


「現在、人目につく場所の警備強化を進めています」


「少しでも安心していただけるよう、人員を確保中です」


「以上です」


最後にアシュレイが口を開いた。


「改めて、今回の件について皆様へ謝罪を」


穏やかな笑み。


だが目には疲れが滲んでいる。


「あの事件以降、他学園でも退学者が増えています」


「信仰や教育に対する偏見も強まった」


静かに息を吐く。


「もちろん、すべてが禁忌を犯すようなものではありません」


「ですが、影響は大きい」


「現在エルシオン家総出で、安心できる学園環境を整えております」


「……うむ」


王が頷く。


「国民の不安も当然だろう」


そして。


静かに周囲を見渡した。


「だからこそ」


「五大名家が、今まで以上に協力し、この国を強固なものにせねばならん」


その場の空気が張り詰める。


「しかし――」


王の声が低くなる。


「今回、五大名家の中から不届き者が出たことも事実」


誰も口を開かない。


「そこで」


王は続けた。


「各家同士の信頼を深めるため、執事を交換してもらう」


「期間は一週間」


「ちょうど一週間後に夜会がある。それまでだ」


一瞬。


沈黙。


最初に声を上げたのはディオンだった。


「……はぁ!?」


「国王陛下、それは流石に無茶でしょう」


アシュレイは何も言わずにただ苦笑する。


「そうですよ」


「俺たち、ほぼ幼い頃から執事と一緒なんですけど?」


セドリックも珍しく眉を寄せた。


「今更交換というのは、合理性に欠ける気もしますが」


「まあまあ」


レオンハルトが笑う。


「たかが一週間だろ?」


「国王命令なら仕方ねぇか……」


ディオンが舌打ちする。


リリアンは静かに考える。


(……なるほど)


(だから執事は会場に入れなかったのね)



晩餐会終了後。


扉が開く。


外には各家の執事たちが待機していた。


セドリックが先に口を開く。


「クラウス」


「話は聞いていますね」


「本日より、あなたはエルシオン家付きです」


「粗相のないように」


「……では、一週間後」


「承知しております」


クラウスは一礼した。


そして。


ギラリ、とエヴァンを見る。


そのまま去っていった。


セドリックが今度はエヴァンを見る。


「今日から、あなたが私の執事です」


「来なさい」


「御意」


歩き出すエヴァン。


セドリックが小声で呟く。


「……まったく」


「なんで私の執事が獣まがいなんですかね」


リリアンは黙ってエヴァンを見る。


エヴァンも、小さく頷いた。


それだけだった。



「じゃあ僕の執事は君か!」


レオンハルトの前には、若い執事が立っていた。


「ノアと申します!」


勢いよく頭を下げる。


「よろしくお願いします!」


「あれ?」


レオンハルトが首を傾げる。


「君、まだ執事になって間もない?」


「は、はい!」


ノアは慌てて答える。


「ずっとディオン様付きの見習いで……ようやく正式な執事になれました!」


「頑張ります!」


「はは」


レオンハルトが笑う。


「いい笑顔だねぇ」



一方。


ディオンは露骨に顔をしかめていた。


「……おい」


「よりによってエルシオン家かよ」


ユリウスは静かに頭を下げる。


「ディオン様のお怒りも当然です」


「しばらくの間、ご辛抱ください」


「何か企んだら容赦しねぇからな」


「承知しております」


「ちっ」



「よろしく頼みます」


アシュレイの前にはクラウス。


「ええ」


クラウスは淡々と返す。


「こちらも不本意ですので」


「深入りしない方が互いのためでしょう」


「ふふ」


アシュレイは苦笑した。



最後。


リリアンの前へ大柄な男が立つ。


「ガレスと申します」


低い声。


「一週間、よろしく頼みます」


まるで騎士のような体格。


戦場の空気を纏っている。


だが。


リリアンは少しだけ安心した。


ガレスとは昔から顔見知りだったからだ。


「ええ」


静かに頷く。


「こちらこそよろしくお願いします」

以下、各家の役割と交換後の執事です^_^


リリアン・グラナート(治安・憲兵)

執事:ガレス(レオンハルト・アルヴェイン家)


レオンハルト・アルヴェイン(軍事・騎士団)

執事:ノア(ディオン・ローデリア家)


ディオン・ローデリア(外交)

執事:ユリウス(アシュレイ・エルシオン家)


セドリック・ベルニエ(財務・経済)

エヴァン(リリアン・グラナート家)


アシュレイ・エルシオン(宗教・教育)

クラウス(セドリック・ベルニエ家)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ