工藤潤!アメリカ大統領や有識者たちをメディアジャックする
私がまず考えたのは、冷静に私を客観的な立場で見ることだった。
所謂、俯瞰から自分と日本、そして世界を見ることにした。まず、自分が悪いのか分からないが、オーランド系やキャメロン系に最初にやっつけで指示した
「アメリカ大統領に会いに行きなさい」
と言う事象からアメリカ合衆国に対しての、もしかしたら宣戦布告、及び、脅かした、もしくは驚かした、もっと言うと小馬鹿にした感じを与えたのではと分析し直し、そう考えたらちょっぴり可笑しくなって思い出し笑い風に、ププっと噴き出したが、まだ、沙耶と中継テレビの生放送中に受話器のマイク部分を押さえ、オーランド系にこう指示した。
「まあ、多分、もうテレパシーで知っているとは思うけど、アメリカ大統領とペンタゴンの日本対策本部長官と日本のCIROと防衛庁長官に一斉に繋いで」
と私はまるで作戦本部の長官か映画「スター・トレック」のカーク宇宙船長の様に二人のミスター・スポック君達に指示した。
「はい、分かりました」
と二人は実に元気よく返事をし、まるで、待ってましたと言わんばかりの様子だった。
「ミスター・スポックって?」
キャメロン系が私にそう質問したが、それは当然無視した。
なんでもかんでも人の頭の中を見られると言うのは気持ちのいいものではないのだ。
そして、いつものように、UFO内「徹子の部屋」は目まぐるしくセットが変わり、テレビカメラと上からはマイクが垂れさがってきた。
そして、私が一斉に繋いでくれ、と意識したかと思うと、彼らの今現在の状況がモニターに映し出された。これは多分、彼らの今いる所に隠れている隠しカメラが写しているのだ。
世界はこんなにも隠しカメラや、監視カメラで見守られてると言えば、感じは良いが、監視されているのだ。
アメリカ大統領は政府専用防弾装備のリムジンでペンタゴンからホワイトハウスに急行していた。
他、CIRO内は国会議事堂が見える永田町の一角のビルの部屋が映し出され、内閣官房長官がせっせと何かを読みながら、他の若いスタッフ達に指示をしていた。
そこの事務所でも今現在放送されている宮城県実家イン沙耶の映像が映し出されているが、当然、若いスタッフはそれを立ち止って見る余裕もない。
たまに初老の内閣官房長官がチラッチラっと見るだけだが、そんな感じだ。
続いて、防衛省長官は世田谷の自宅にいて、リビングで奥さんに身支度を整えてもらいながら今から六本木の防衛庁防衛局まで、緊急出勤となったようだ。
これもそれも、私が原因なのが、申し訳無いと思うが、そして、彼らの処に一斉に私との回線が繋がり、彼らは飛び上るほど驚いた。
実際、アメリカ大統領は座り心地の良いリムジンのソファーから数センチ飛び上ったし、まあ色々な反応を楽しみながら日本とアメリカの要人達と夢のなのか?チャットを展開した。
「先日は、突然、私の指示で、と言うか私の助言で宇宙人と言って良いのかな?男女の白人型宇宙人が表れて申し訳ありません」
私は、そう丁寧に謝罪した。
勿論、英語ではなく日本語でだが、このUFO内の、彼らのテクノロジーでは同時通訳など、お茶の子さいさいなのだ。
大統領のリムジンを衛星カメラから路上のカメラから、はたまた何故かリムジン内にある隠しカメラなのかからの無数の映像がテレビモニターに映され、完全に大統領が把握できた。
どうも私はリムジンの前の席頭部ヘッドに埋め込まれている液晶テレビに写っていて、音声は車内スピーカーから出ているらしい。
私の声質と同じなのだろうか?流石に車内にはマイクは無かったので、大統領の携帯電話かそこに乗車しているシークレットサービスや側近の携帯も一斉に鳴らさせた。
その内の誰かが出たので、私は丁寧に自分の名前と、大統領に代わって頂きたいとの趣旨を伝えた。
不思議だが当然の様に携帯に出た男の言葉は日本語で、私の言葉を難なく理解し、一瞬、躊躇していたが大統領に恐る恐る説明しながら渡した。
その状況は同時に日本では全てとは言わないが半分くらいの番組を私が電波ジャックし、複数双方向テレビ会議が行われた。
これには全世界の人々が驚愕しただろう。
嘗てない世界同時電波ジャックであり、普通ならあり得ない程のアメリカ大統領、ペンタゴン日本対策本部長官、内閣官房長官、防衛庁長官等の要人までもが世界に同時生放送なのだから、人類始まって以来の危機と感じた者も出ていたし、やらせだと飲み屋で大袈裟に笑って見せる人々もいたが、私はそんなこと、知ったこっちゃなかった。
「先日の件でしたら、私からも謝ります、ただ、彼らから聞いていますと、何回か正式にホワイトハウスや、関係者各所に電話やメール等で連絡を試みたのですが、そちらの対応がけんもほろろ状態だったみたいで」
と私は言いながら、彼らオーランド系やキャメロン系(これからは宇宙人達とも記載する)にその当時の映像から、その時に対応した電話オペレーターのやり取りの情報全てを用意させるように頭で指示した。
「私にはその様な報告は何も受けていないが、それよりも、何故?このようなことをするのかね?いや、何故この様な事が出来るのかね?」
大統領は液晶モニターに写る、私、ちっぽけな極東、日本に住んでいる、いや、昨日まで無名だった一般小市民であり、現在失業中状態の冴えない男が、今現在、誰も出来ることが出来ない全世界電波ジャックと、情報操作をするのだから、本当に脅威としか思わないだろう。
「では、一応、彼らの言い分とやらを全世界に放映いたしますが、いかがですか?」
私は、なんか偉そうに指示しようとする大統領の口ぶりに、反感を抱いている自分が表れ、恥をかかせてやろうと言う、よこしまな考えを起こした。
こんなちっぽけな男で、宇宙人達、本当に良いのかよ?そんなことも一瞬考えたのだが、感情の方が理性よりも強いみたいで、宇宙人がアメリカ政府に対しての正当な方法での、接触努力風景を流し始めた。
まずはオーランド系がワシントン州のどこかの公衆電話から政府関連機構に電話から場面がスタートした。
私が見ているUFO内テレビモニターからはオーランド系が日本語で丁寧に女性のオペレーターに話しているのだが、本来なら英語で会話しているはずだ。
そして、その場面を見た時に、一瞬、私はまずい、と思った。
オーランド系はどう見てもオーランド・ブルームだから、これはハリウッドで製作した大掛かりなコメディー番組と誤解されてしまうこと、必見な絵柄とも見えたからだ。
そして、止めの場面がキャメロン系も一緒に写ったからだ。
ただ、けんもほろろに断った上司の顔や名前が、どこから撮影されたのか、比較的綺麗に顔が映って、下にプロフィールや指示した指揮系統まで分かりやすい映像構成で映された。
そして、彼ら宇宙人が私の家のDVDデッキで見せてくれたホワイトハウス内での状況が流れだし、それを今見ているアメリカ大統領の表情が見る見る強張っていった。
「君達は一体?」
アメリカ大統領はそう言って、ため息をついた。
そんな暗澹たる気分に追い打ちを掛けるように、車内で他のモニターやラジオを検索していたSPらが、大統領に他のチャンネルを助手席に付いている二つ目の液晶モニターを見るように合図し、アメリカ大統領自らが映っている画面を見て、本当に信じられないと言う顔で自分が今リムジン内にいる映像を沈黙して見続けていた。
「スイマセン、こんな形で、自己紹介することになって、しかし、私が、と言うか、彼ら宇宙人があなたに正規の手続きをして逢いたがっていたことは認識してください。そして、大統領が質問した答えは、こう言うことが簡単に出来るほど、彼らのテクノロジーは人類の常識を遥かに超えた圧倒的な力と文明を持っているのです」
私はいやに滑らかに話している自分をもう一人の自分が俯瞰で観ていて、チェックしていた。圧倒的な力と文明?何かアメリカ大統領を脅している感じだな、もっと謙虚な話し方が良かったのかな?あと、彼らの文明って?はっきり言って知らないし、その星の名前だって知らないぞ。
大統領にどこの星の何星人ですか?と、聞かれたら、どうする?まあ、そうしたら、二人のどちらかに自己紹介してもらえば良いや、とか、俯瞰の私はいらぬ気苦労もしていた。
「それは、大変申し訳なかった」
大統領は素直に謝った。そこは、なんだか素晴らしいと思った。
今度はペンタゴンの日本対策本部長官の映像を全世界に映し出した。
彼は必死にペンタゴン内の監視カメラの電源をシャットダウンさせようと、色々な人種のスタッフに怒鳴り散らしていた。
その模様も今では全世界にライブ中継している。
日本対策本部長官は典型的なメタボ型中年白人で、偏見がある人相をしていた。
UFO内のモニターからも日本語で、電源を早く切れバカ者、とか怒鳴っている声が聞こえていた。
その部屋ではスタッフが必死にブレーカー等を下げる行為もしていたが、ブレーカーを下げても、電源は点いたままだったのには、私も正直驚いた。
小声で、テレビカメラ横にいるオーランド系に、あの、ペンタゴン内の出来事はここからの遠隔操作なの?と聞いたら、おっしゃる通りです、と簡素に受け流し、そのやりとり事態も全世界にライブされていた。気を抜くとこっちまで全世界に垂れ流し状態だ。
今のUFO内の私とオーランド系のやり取りも、当然、日本対策本部長官にも聞こえていて、彼はまさしく恐れ慄いた。
「無駄な努力をしても、事態を悪くしますよ、長官、先ほどはペンタゴンにリムジンで向かっている車内の大統領とテレビ中継を全世界同時に行いましたが、今はペンタゴン内のあなたの部屋をジャックしました。必要なら重要な情報も全て吸い取り、世界に一斉にダウンロードすることも簡単なんですよ!」
と言って、今言ったのが出来るって感じで、二人を交互に観ると、二人とも親指を立ててOKであることを告げた。じゃあ、こんなことも出来るのかと思い、調子に乗って
「今の大統領は世界から核を無くそうと言っていますよね?素晴らしいことです。ここにいる二人の宇宙人は大いにその意見に対し、賛同しています。是非、ご協力したいと願い出ていますよ、実際、遠隔操作でも地球にある全ての核を無力にすることが瞬時に出来ると言っております。さあ、どうですか?大統領の理想を一瞬で行うことも可能なほど、超文明の彼らに、何かコメントは?長官!」
ペンタゴンの日本対策本部長官は、忌々しい、と言った表情をしたが、それさえも事務所内に置いてあるテレビから映し出されていて、ただ、黙っていた。




