↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
D・MACHINE  作者: 出島優
PR
2/3

きっかけ

今回から本編に入ります。

物事の重要さを「運命度」で表示できる「運命測定器」。

舞台はそれが開発されてから80年ほどたった世界。

楽しんでいただければ嬉しいです。

ここは、アリス社の地下、プライベートルーム。

現社長である潮沢洋(シオサワヨウ)がPCの画面から逃げるために、独断かつ秘密裏に作り上げた巨大アクアリウムで囲まれている特注の部屋である。

その部屋の主は、真ん中のソファでだらだら文庫本を読んでいる。


火灯燈(ヒトモシアカリ)は、ため息をつきながら言った。

「社長、まだ退社時間ではありませんよ。ここにずっといては、社員が怪しみますわ。」

「就業時間中にわざわざ社長室まで来るような輩はうちの会社にはいないだろう。」

「それは、たぶんその通りですが...」

「その辺を見越して採用してんだよ。」

「人事の口鳴(クチナリ)さんですか。まさかそこまでグルでしたとは。」

「グルなんて言うなよ。一応社長だぞ。」

「まあ私は社長の秘密を握ってますからね。秘書と家政婦は鬼より怖い、ですよ。」

「お前が怖いのは、弟がなんかやらかさないかだろ?」

「...!燃(モユル)の話はおやめください!」

「お、今日一感情出たな。そっちのほうがたぶんモテるぜお前。」

「何をくだらないことを。社長こそでしょう。30過ぎたのに結婚もせずに。」

「つまんないんだよ。俺に言いよってくる奴は大体似たような顔、似たようなスタイル、似たような会話。」

「まあそうでしょうね。測定器が70%超えた、とかが主です。」

「70%で結婚なら、少子化問題なんてないだろうなぁ。」

「全くですわ。」

「俺は俺の想像できないものを想像できる奴がいいんだよ。そうじゃなきゃ...、爺さんを超えることなんてできない。」

「突然、どうしたんです?」

「敬愛すべきわが祖父、潮沢渦(シオサワナルト)は、運命測定器を開発した。これはいまや本、電話、PCと並ぶデバイスだ。だが、前社長の潮沢灘(シオサワナダ)は、その利益に胡坐をかいてそれを超えるものを作ろうとしなかった。あの女はこの停滞を作っちまったんだよ。」

「ご自分のお母様を、そんなふうに言うのは控えたほうがよろしいかと。」

「爺さんができなかったことをやる。爺さんが作れななかったものを作る。爺さんが思いつかなかったことを思いつく。それが俺がやらなきゃいけないことなんだ。」

この状態になるとめんどくさいのよね。燈はぼんやりとそう思った。

この若き社長は天才というべき才能があり、また天然の人たらしという無敵に近いステータスを持っているのだが、ことあるごとに自分と祖父を比べるのが悪い癖なのだ。確かに、渦が社長の時からの一部の社員が語る彼の武勇伝は、やはりどうやっても洋ではできないことがたくさんある。そのプレッシャーと思えば、洋の癖も仕方ないのだろうか。


「渦様にできないことですか...やはり代表的なものでいったらfrontierでしょうね。」

「そうか...」


運命測定器を扱ううえで絶対に無視できない問題が一つある。それは一般的に「0と100の地平線」、たまに俗称で「frontier」と呼ばれるものだ。

運命測定器は、0~100%で運命度を表示するにも関わらず、0%と100%だけは表示しない。

理由は簡単である。たとえば、地球の裏側の人間と恋に落ちる可能性や、今すぐ頭に隕石が直撃して死ぬ可能性は0ではない。0.1の何百乗、何千乗であったとしても、その可能性は常に存在してしまうのだ。

運命測定器でAとBという人の運命度を測定した場合、結果をわかりやすくすると「お互いに重要な確率78% そうではない確率21.*% これとは関係なく、どちらかまたは両方が今すぐ死ぬ確率0.*%」ということだ。

これは運命測定器が開発されてから80年以上たった今でも解消されていない問題である。まあ問題というよりは必然的なものなので、使う分には特に支障は出ないのだが。


「たしかに爺さんははっきりしないことが嫌いだったからな。」

「そう聞いております。」

「最終的にばあさんにアプローチを繰り返しまくってたらしいな。」

「ええ、でも87%は超えなかったそうですね。」

「配偶者とすら運命って言葉をつかえない世の中かあ。なかなかに世知辛いぜ。」

「いいいんじゃないですか?迷惑なナンパ男の口説き文句が減るわけですし。」

「おっ、その言い方は、さては昨日あたりナンパされたな?」

「御冗談を...しかしやはりこれは難しいですかね。いうなれば現象というか、運命測定器が正しいという証明ともいえるわけですし。」

「そうかねぇ......そうだ!!」

洋はバッとソファから起き上がり、キラキラした目で燈を見た。


「き、急にどうされたんですか。」

「イヤー盲点だった。これだったらあるいは...」

「どうされたんですか!」

「思いついちまってさ。なあ、運命測定器と俺の運命度ってどのくらいだと思う?」

「え?あ...」

「あと爺さんと前社長のデータも残ってたな。作成者とその娘、孫なら可能性はある。いや、うちには全人類のデータがあるじゃないか!これをぶち込めば一人くらい」

「試すんですか?全部?」

「ああそうだ。今すぐやるぞ!」

「ま、待ってください。frontierは原義的に解消不能で」

「それがどうした!海にずっと潜るのも、空を飛ぶのも、原義的には不可能だったんだぞ?それをできたやつがいるんだから、俺たちもやらなきゃだめだろう!」

「しゃ、社長ー!」


評価、感想いただけたら嬉しいです。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。