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将棋は恋愛流、恋は泥沼流 〜深浦邦雄の盤外戦術〜  作者: いのりん


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3. それは相手の無理攻めを誘発させる様な発想で

 突如乱入してきた俺に、陽キャグループ達の視線が集まった。よかった、空気の様に無視されたらどうしようかと思ってた所だからな。


「村上に嘘告白?ゲスいことすんなよ、人の気持ちを弄ぶとか、最低だぞ」


 この間に言いたい事を言わせてもらおう。


「な、何だよ急に。お前には関係ないだろ」

「関係あるよ、こんなもん見て見ぬふりしてたら、魂が汚れる」


 心にもないセリフを伝えると、リーダー格の橋上が顔を歪めた。ふふふ、順調順調。


 だってほら、こうやって陽キャグループからのヘイトを集めれば、きっと俺ちゃんってばイジメの標的にされるじゃん?

 でもイジメなんてやる側が100%悪いんだし、その理由が逆恨みなら尚更だ。つまり……俺に非がない状態で学校を休める口実になるってことだよ!


 とはいえ、正論パンチをかましただけだと敬遠されるだけで終了したり、向こうが反省しちゃうって可能性も微レ存。


 なのでここでもう一手、『一見俺が悪者に見えちゃうムーブ』をかます事にしよう。イジメる側も大義名分があった方がやりやすいだろうしな。


「まあどうせ橋上あたりの発案なんだろ?『弱いやつを笑い物にしとく事で自分のポジションを固めたい』とかそんなダセェ狙いでさ」

「な?!」


 言葉を失う橋上に、外からみてるとそれ、すげぇカッコ悪いぞ、と続ける。

 これでも十分だと思うけど、念には念を入れてそこから、さらにもう一手。


「あと、羽生さんも同罪だよ」

「……え?」

「え、じゃないでしょ。内心で『私は嫌なんだけどこの空気じゃ……』とか言い訳してたんだろうけど、結局のところ君は、我が身可愛さに村上を売ったんだよ」

「っ!?」


 そこから、控えめに言ってクソ女のムーブだよねと伝えると口元に手を当てて涙目になっていた。


 いかん、ちょっとキツく言いすぎたか……?

 多分彼女、人との衝突するのを全力で避けてきたタイプだからこういうのに耐性もないだろうし……


 将棋で言うと疑問手。所謂『指しすぎ』って感じになっちゃったかな?ちょっとだけ罪悪感。


 (でもまあ、別に間違った事を言ったわけでもないしな)


  ……って言う事で自己弁護を完了。


 人間、常に最善手を指せるわけないしな。終わった事はウジウジ引きずらず、切り替えて次どうするかが大事だ。将棋と一緒だな。


 そしてまあ、その甲斐あって効果はテキメン。陽キャ集団から「酷い!」とか「なんて事を!飛鳥に謝れ!」とか罵詈雑言が出始めた。グループの中心人物と一番の美少女をディスったんだから当然の反応だね。


 が、俺はそれを馬耳東風でスルー。もうお前らと話す事はないって態度で荷物を回収すると、さっさとその場を後にした。


 さあ、仕掛けはOK。あとはもう、何もせずとも残された陽キャ集団が勝手に色々とお膳立てを整えてくれるだろう。


 明日以降、一体どうなるのかワクワクが止まらないぜ。

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