第13話 波乱あり?生徒会選挙の表側(中編)
中編です。
時沢心が語る秋月美香との思い出
会話が多いですが、軽めの内容なので時間ある際にどうぞ!
第13話
「さっそくだけど本題に入ってもいいかい。僕もあんまり時間がなくて。申し訳ないけれど。」
「別にかまいませんよ。ただちょっと話に不穏さが漂っているのが気になりますが。」
目の前のハルさんからは猛烈な気迫がひしひしと感じられる。とてつもない威圧感だ。初対面、かはわからないがそれに近い自分に発するものではないように思える。
「さっきも言ったとおり、君に美香の推薦人をやってもらいたいんだ。」
「はい。でもどうしてそれをハル先輩が私に言うんですか。」
そういうとハルさんはベンチから立ち上がり、歩きながら言葉を続ける。
「もちろん、初めは僕が彼女のサポートをするつもりだったさ。僕が彼女の一番の理解者であり、パートナーだからね。でもちょっとした不都合があってね。僕が招いたことだから仕方がないことなんだけれど。」
「不都合ですか…。」
聞きつつ、心は不都合という単語に疑問を感じながらも、彼女の一番の理解者といった目の前の彼に少しばかり苛立ちと不信感を募らせる。
「うーん。詳しい事情に関してはあまり言いたくないというか、口止めされていることだから君が知らないのも無理はないけれど、広報部の案件で上の学年と揉めちゃってね。あまりいい印象をもたれてないんだ。だからそんな僕が推薦人として参加をするのは会長に立候補する彼女の足を引っ張ってしまうと思ってね。」
「なるほど…。」
口では納得しているつもりだが、未だ不信感がぬぐえない。というよりもまだ一番大事な疑問が残っている。
「あの、そのハルさん…の事情はわかりました。いや、わかったといってもまだ表面上ではありますが。それは置いといて私、まだ一番聞きたいことが聞けていないんですが。」
「うん、なんだい。あらかた話尽くしたつもりだったが。」
「その、どうして私なんですか。私、クラスでもそんな明るいとかそういうわけでもなくて、どちらかというと裏方で。人前とか出るのもあまり好きではないし…。その向いていないと思うんですよ、推薦役に。」
そういうと、ハルさんはさっき感じた威圧感がまったく消え去った笑顔でこちらを見て、
「それは君が理香の2番目の理解者だからね。理香が選んだんだから正しいんだろう。」
と言う。
私が、選ばれた…?一体どうして?
「あのハルさん、ってあれ。」
信じられないことに、彼は既に自転車に乗って帰っていた。その理由に関しては明日本人に聞いてみてという声が向こう側から聞こえる。
「なんて自由人なの…。」
しばらく呆然としていたが、そうしていてもハルさんが戻ってくることはないので、私も帰ることにした。
帰り道小腹が空いたので、久し振りに買い食いをしようかと考える。町中を歩いているとどこからかほんのりと甘い匂いがしてきた。視線を上げると2つ目の角の辺りに地元では少し有名なポップコーンの店が見える。きっとその店で一番売り出しているキャラメルポップコーンの匂いがここまで伝わってきたのだろう。よくそのお店は少し食べるのにちょうどいいサイズで価格は150円という、ポップコーンのお店としては安かったので、この町で広く親しまれており、学校の生徒にも人気だった。
私がその店にたどり着くと、店の中に偶然秋月さんと鉢合わせる。
「あ、秋月さん、こんばんは。」
「おー。心ちゃん。こんなところで会うなんて思わなかったな。キャラメル好き?」
そう言いながら、私にポップコーンの袋を1つ渡そうとしてくる。
「あ、いや特に好きってわけではないんですが、甘い匂いにつられてしまってつい。自分で買うので、大丈夫ですよ。」
そう言って、差し出されたポップコーンの袋を戻す。
「いーよいーよ。これから生徒会総選挙で推薦人になってもらうんだから。このくらい気にしないで受け取ってよね。」
そう言って再びポップコーンを私に突き出す。
「あの秋月さん、そのことで少し話したいんですが…。今もしよければ時間ありますか。」
ポップコーンを食べながら、彼女は頷く。
「いーよいーよ。何でも話してくれたまえ。」
時沢心は一度深呼吸をすると話を切り出す。
「なぜ、私を推薦人に選んだのですか。」
【続く】
秋月美香が語る時沢心への想いとは?
生徒会総選挙に至るまでを後編で描きます。




