第12話 波乱あり?生徒会選挙の表側(前編)
第2編の回想回1本目です。
今回の語り部は生徒会長を支える時沢心となっています。
一年前の生徒会選挙の時にいったい何があったのか…。はたして彼女の口か語られる1つの真実とは…?
去年の話さ。生徒会長になる前の美香の話さ。
高2の時、私はまだハルくんと面識はなかった。美香とは高一の入学式の時にちょっとあってそれ以来友達になった感じだった。いつも美香に私は支えられていて、私は彼女を支えたいって思うんだけどなかなか難しくて。まぁ学校で生活している彼女は完璧だったからというのもあるんだけどね。クラスではやっぱり美香はリーダーのような立場で、それに比べて私は地味だったからあまり友達はいなかった。よくある小説の設定みたいなものよ。そんな彼女は私のことをずっと見守ってくれてたわけ。
ところで雪月くん、生徒会長選挙がこの学校でいつ行われるか知っているかい。……答えは9月なんだ。生徒会長は8月の夏休みを終えたら、9月には引き継ぎの書類を作成して交代しなければならないの。美香はこれにでたから今会長であるわけなんだけどさ。そこで少しトラブルがあったんだ………。その時の私たちが経験した話をしよう。
第12話 波乱あり?生徒会選挙の表側 (前編)
「心、おはよう。今日も可愛い髪飾りつけてるね。」
「おはようございます、秋月さん。」
高1の時から同じクラスで、目の前にいる彼女の名前は秋月美香。彼女のおかげで地味な私でもこのクラスで楽に過ごすことができた。誰にでもフレンドリーで、クラス内の雰囲気を明るくする彼女はクラスでのリーダー的存在だった。
「おはよう、恵里、知佳。昨日のアレありがとうね。」
「おー美香、おはよう。おもしろかったっしょ。」
「うんうん、またあとで続き教えてー。」
「わかってるって。昼休みのときでいい?」
「あーうん。昼休みちょっと予定があってきついからさ。帰り道でもいい?」
「わかったよ。美香も忙しいね。」
そんな会話が毎朝行われている。私がその中に入ることはない。別にわきまえているから、それが悲しいわけではない。だが今日はいつもと少し展開が違った。
「心ちゃん、昼休みちょっと付き合ってもらえないかい。」
「え、私…ですか。」
「そうそう、あぁ、別に何も準備とかは必要ないからさ。なにも緊張とかする必要はないから。もちろん用事があるならいいんだけどさ。」
「いや、大丈夫です。わかりました。」
「ありがとね。あと、心、相変わらず堅いよ。もっと柔らかく接してね。」
「あ、はい!」
自分でも少し気をつけているつもりだが、どうしても堅くなってしまうそうだ。やっぱり人と接するのは苦手だ…。
昼休みになる。
「心ちゃん、ちょっといまから向かいたいところがあるの。」
「それはいいんですけど…。今から何をするんですか。」
そういうと秋月さんは振り返って、にんまりとさせて言う。
「そういえば言うの忘れてたね。ヒントはこの時期に行われることさ。」
「この時期に行われること……。なにかありましたっけ。」
「もー感が鈍いな、心ちゃんは。」
秋月さんは私に近づき、私の頬を人差し指でぷにぷにして言う。
「生徒会総選挙。そうわかっただろ。」
「えっと…。」
「じゃあいうさ。私は、君、時沢心を私の推薦人としてたてようと思っているのさ。どうだい、やてくれるだろう。」
ハハハハ、コノヒトハナニヲイッテイルノダ?
「おーい心ちゃん。おーい。。」
「スミマセン。チョットアタマガハタラカナクテ。」
「もちろん君に断る権利はあるさ。明日返事もらえると嬉しいな。じゃあそういうことで。」
高1の頃から感じていたが、なかなかこの人は弾丸のように物事を進めていく。まさか、この私がそれに巻き込まれるなんてことになるとは…。
美香が他の友達と帰っているのを見て、私も1人で帰り道を歩いていた。昼間頼まれたことに対して、私の意思よりも、自分なんかが務められるかどうかの方が心配だった。いつもクラスの中で影の方にいる私なんかで本当にいいのか。なぜ彼女が私を選んだのか、それがとても不可解だった。
「君は時沢さん…かな。」
自分を呼ぶ声が聞こえたので、振り返るとそこにはうちの学校の制服を着た感じの良さそうな青年が立っていた。
「はい、その通りですが…。先輩…ですか?」
そう言うとその青年は苦笑いをして
「まぁ、確かに関わりはなかったけどさ。僕は広報部の部長って言ったらわかるかな。」
「あぁ!美香さんがよく話すハルさんですね。初めまして。」
「初めましてってわけでもないんだけどなー。ははは。」
あれ、どこがでお会いしたことがあったっけ…。なんにしろ失礼なことをしたみたいだ。
「すみません、あまり人に興味ないもので…。あの、何かご用ですか?」
そう聞くと目の前の彼は本来の目的を思い出したようで言った。
「そうそう、君に生徒会総選挙で秋月美香の推薦人になることを頼みたくてね、僕からも。」
「それは先ほど秋月さんから聞きましたが…。」
「うん、知ってるよ。ただ僕の役目は君に拒否をさせないことだからね。とりあえず、そこの公園のベンチにでも座ろうじゃないか。」
この勢いの激しさはどことなく秋月さんみたいだな。そんなことを思いつつ、自分がなにか大きなことに巻き込まれていくのを感じた。
【続く】




