第24話・道がある! 家がある! 人がいる! これが普通の領地なの!?
朝、食事が終わるとアーノルドとバルドは屋敷の外に出た。
「アーノルド様、今日は何で行くんですか?」
「俺とメルリアは馬車。それから荷馬車に小麦の木箱を乗せていく」
荷馬車は後ろに幌付きの荷台がついているものだ。誰か運転できるのだろうか。
「馬の扱いを少しでも知ってりゃ、誰にでもできる」
そう言いながらアーノルドは馬の方を見た。
「といいましても、これでも領主なのですからアーノルド様はお控えください」
得意げに腕をまくったアーノルドに、バルドは厳しく言い放つ。
そこで白羽の矢が立ったのは、ニック。
ニックは珍しく手を前に出し、拒絶のポーズ。
「旦那、リコルディ領はご遠慮願いたいです」
アーノルドは目を丸くさせたが、ニックに何も聞くことはなかった。
メルリアもニックには複雑な事情があるのだろうとなんとなく感じた。
そもそも没落していく屋敷でメルリアの隣に居続けているということは、訳ありなはずだ。
「それなら私が行きますよ」
「グルドフ、助かる」
グルドフの提案に、ニックは安堵した。
そしてニックとグルドフは小麦の木箱を荷台に乗せる。荷台の木枠が軋む。
メルリアはアーノルドと馬車に乗り込んだ。
メルリアはアーノルドに自分の屋敷の話を聞いた。もちろん領地の契約を結び直したのは知っていたが、返ってきたアーノルドには荷物が少な過ぎる。
本当は屋敷を取り潰してこちらにくる予定だったのをマーラが止めたそうだ。
そう言いながら、アーノルドは不自然に何度もメルリアに視線を寄越した。
「あのさ、俺の屋敷に行ってみたいと思うか?」
メルリアはアーノルドが両手を忙しなく動かしていることに気がついた。
(アーノルド様も不安なのね)
「いつか行ってみたいです! クアココット領がもっと豊かになったら、必ず行きたいです」
「そうか」
言葉は少ないが、アーノルドの顔は初めて見るほど穏やかな笑みを浮かべていた。
その後、冬に向けての準備の話に移った。
必要な物は沢山ある。
昨日も話した通り、その中でも、特に必要な物もある。
それから春に向けて準備することもある。
秋頃は冬支度。
冬には手仕事や屋敷内の修繕。
春には畑や新しいことで忙しくなるだろう。その準備も必要になる。
(春に向けて準備は、ちゃんとやらなきゃね。そのためにもクアココットでできた農作物が沢山売れるといいな)
メルリアはそんな楽しい未来を想像して微笑んだ。
それにしても、クアココット領は何もない。本当に自然しかないのだ。
もっと言えば、舗装も手入れもされていない自然が残っている放置土地と呼ぶのか、荒れ地と呼ぶのか、そんな野ざらしの土地だった。
たまに点々と誰も住んでいなさそうな崩れそうな家がある。
しばらく進んでいると、かすかに道のような茶色と草の土地に分かれている。
「アーノルド様、ここは少し舗装されていますね!」
嬉しそうな顔をメルリアが向けると、「ここはもうリコルディ領だ」とアーノルドから返ってきた。
メルリアはちょっと口の中で苦い味がした気がした。
それにしても、まだ町は見えて来ないが、家がぽつぽつと見え始めた。
メルリアは嬉しくなって馬車の中から指をさす。
「アーノルド様、あそこに家が密集しています! 集落ですよ!」
間隔の広い木の柵がゆったりと続いている。
遠くを見ると、黒っぽい動物や白っぽい動物もいる。
羊か山羊あたりだろう。
それから牛も見えた。あれ、大きくない。
「牛が茶色です!」
メルリアは大きな声をあげた。
「品種によっては、茶色もいるんじゃないか」
「ほぉ〜」
動物の近くには人がいて、女性たちが高らかに笑っている。
その奥では男性たちが大きな麻袋を運んでいる。
人が生活している。
メルリアにとって、それはとても印象的だった。
(クアココット領もこうなるといいわね)
メルリアはその景色が見えなくなるまで見つめていた。
「そうやっていると、子どものようだな」
「いえ、誰が見ても子どもですが」
メルリアが目を向けると、アーノルドは得意げな顔だったので、こちらも真似をした。
そうするとにらめっこに負けるようにアーノルドが声を出して笑っていた。
次回の二角的イチオシシーンは
アーノルドが机を叩いた。
メルリアは驚いて椅子から飛び上がる。
「ふざけているのか、金貨二枚のわけがない!」
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盛り上がってきた〜!
やっぱりこういうシーンが書きたいです(^^)
そしてそして、第一章があと4話で終わります〜!(第二章は、一章が終わった次の日から始まります!)




