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第82話 “第四の影”と、守人の心の核心

総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。

第三の影が光へと還ったあと――

 未来樹の内部に続く階段は、

 これまでとは比べものにならないほど

 重く、暗く、深い気配を帯び始めた。


リオが肩で息をしながら言う。


「はぁ……

 なんか、空気が……刺さるみたいに重いっす……

 これ、次の影……絶対ただ者じゃないっすよ……」


エイルは胸に手を当て、

 階層の気配を読み取る。


「はい……

 “第四の影”が近づいています……

 恒一さんの心の奥底……

 普段は触れない場所にある影……

 守人としての核心に触れる影……」


影は階段の先を睨む。


「最初の影は“原点の痛み”。

 二つ目は“選んだ未来の代償”。

 三つ目は“未来で失う恐れ”。

 じゃあ四つ目は……

 “自分自身への疑い”ってところか。」


ナギは静かに頷く。


「うん。

 第四の影は、

 恒一が最も見たくない“自分の影”。

 守人として歩く覚悟を根本から揺らす影。」


残響は短く告げる。


「つなぎ手。

 覚悟を保て。」


◆階段の先に現れた“第四の影”

階段をさらに登ると、

 光が揺れ、影が濃くなり――

 ひとつの姿が浮かび上がった。


リオが息を呑む。


「えっ……

 あれって……

 恒一さん……?」


エイルは震える。


「そんな……

 どうして……

 “恒一さん自身”が……」


影は低く呟く。


「来たな……

 “自分自身の影”。

 守人の道の核心だ。」


ナギは静かに言った。


「うん。

 第四の影は……

 “恒一が最も恐れている自分”。

 弱さ、迷い、怒り、嫉妬、無力感……

 全部を抱えた“もうひとりの恒一”。」


残響は告げる。


「向き合え。

 つなぎ手。」


◆第四の影の正体

影はゆっくりと顔を上げた。


その姿は――

 恒一とまったく同じ。

 だが、瞳だけが深い影を宿していた。


恒一は息を呑む。


「……俺……?」


影の恒一は静かに言った。


「恒一。

 おまえは守人になると言った。

 未来をつなぐと言った。

 だが――

 “本当にそんな価値があるのか”

 自分で疑っているだろう?」


リオが叫ぶ。


「そんなこと……

 そんなこと、恒一さんが思うわけ……!」


エイルは涙をこぼす。


「いえ……

 これは……

 誰にでもある“自己否定”……

 でも……

 恒一さんはずっと……

 自分を責めてきたから……」


影は腕を組む。


「つまり……

 “自分自身への不信”ってわけだ。」


ナギは静かに言った。


「うん。

 未来を選ぶとき、

 人は必ず“自分を疑う”。

 その疑いが影になって現れてる。」


◆影の問い

影の恒一は、

 恒一にまっすぐ問いかけた。


「恒一。

 おまえは守人として未来を歩くと言った。

 だが――

 “自分が守人にふさわしい”と

 本当に思っているのか?」


恒一は息を呑む。


「……それは……」


影は続ける。


「おまえは弱い。

 迷う。

 泣く。

 後悔する。

 恐れる。

 そんな自分が――

 未来をつなげると思うのか?」


リオが叫ぶ。


「そんなの……

 そんなの、恒一さんが弱いわけないっすよ!!

 だって……!」


エイルは涙をこぼす。


「弱さがあるから……

 優しくなれるんです……

 弱さがあるから……

 誰かを守りたいと思えるんです……」


影は静かに言う。


「恒一。

 おまえは“弱い自分”をどう扱う?」


ナギは優しく言った。


「この問いは……

 恒一の“心の核心”を試してる。」


残響は短く告げる。


「答えろ。

 つなぎ手。」


◆恒一の答え

恒一は影の自分を見つめた。


「……俺は弱い。

 迷うし、泣くし、

 後悔も恐れもある。

 それは……

 全部、認める。」


影の恒一が揺れる。


「でも――

 弱いからこそ、

 俺は“守人になりたい”と思ったんだ。

 弱いからこそ、

 仲間と一緒に未来を歩きたいと思ったんだ。」


光が恒一の胸から溢れる。


「弱さを否定しない。

 弱さを抱えたまま進む。

 それが……

 俺の強さだ。」


影の恒一は静かに目を閉じた。


「……そうか。」


◆影の消失と、最終階層へ

影の恒一は光に包まれ、

 ゆっくりと消えていった。


リオが涙を拭う。


「恒一さん……

 やっぱり……

 強いっす……」


エイルは微笑む。


「はい……

 弱さを認める強さ……

 それが守人の本質です……」


影は静かに言った。


「次は……

 いよいよ最後の影だな。」


ナギは頷く。


「未来樹の最深部……

 “守人の核心”が待ってる。」


残響は告げる。


「進め。

 つなぎ手。

 最終階層が、お前を待っている。」


階段が光り、

 未来樹の最深部が姿を現した。

面白かったらブックマークと高評価お願いします。また、noteにて紹介動画等を投稿中ですので、ぜひご覧ください。

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