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第83話 “最終の影”と、守人の未来を決める問い

総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。

第四の影――

 “自分自身の影”が光へと還ったあと、

 未来樹の内部は静まり返った。


だがその静けさは、

 嵐の前の静寂のように重く、深い。


リオが息を呑む。


「なんか……

 空気が変わったっす……

 さっきまでの影とは、

 まるで“格”が違う感じがする……」


エイルは胸に手を当て、

 階層の気配を読み取る。


「はい……

 ここは未来樹の最深部……

 “最終の影”が眠る場所……

 恒一さんの心の核……

 守人としての未来を決める影……」


影は階段の先を睨む。


「最初の影は“原点の痛み”。

 二つ目は“選んだ未来の代償”。

 三つ目は“未来で失う恐れ”。

 四つ目は“自分自身への疑い”。

 そして最後は――

 “すべての根源”ってわけだ。」


ナギは静かに頷く。


「うん。

 最終の影は、

 恒一が最も触れたくなかった“真実”。

 守人として歩く覚悟の、

 最後の試金石。」


残響は短く告げる。


「つなぎ手。

 進め。」


◆未来樹の最深部

階段を登りきると、

 そこは広い空間だった。


光も影もなく、

 ただ“静寂”だけが満ちている。


リオが震える声で言う。


「ここ……

 なんもないっすね……

 でも……

 なんか、怖い……」


エイルは小さく頷く。


「はい……

 ここは“心の空白”……

 最終の影が姿を現す前の場所……

 恒一さんの心の奥底……」


影は低く呟く。


「ここに現れる影は……

 恒一の“核心”そのものだ。」


ナギは静かに言った。


「恒一。

 覚悟してね。

 ここに現れる影は……

 あなたが最も恐れている“真実”だから。」


◆最終の影、現る

空間の中心に、

 黒い点が生まれた。


それはゆっくりと広がり、

 人の形を成していく。


リオが息を呑む。


「えっ……

 あれって……!」


エイルは震える。


「そんな……

 どうして……

 この人が……」


影は目を細める。


「なるほどな……

 最後の影は“そこ”から来るか。」


ナギは静かに言った。


「恒一。

 これは……

 あなたが“最も失いたくない存在”の影。」


残響は告げる。


「向き合え。

 つなぎ手。」


◆最終の影の正体

影はゆっくりと顔を上げた。


その姿は――

 今の仲間の中で、恒一が最も大切に思う存在

 その人の影だった。


恒一の胸が締めつけられる。


「……どうして……

 お前が……」


影は静かに言った。


「恒一。

 おまえは私を守りたいと言った。

 未来をつなぎたいと言った。

 だが――

 “私を守れなかった未来”を

 最も恐れているのは、おまえ自身だ。」


リオが叫ぶ。


「そんなの……

 そんなの当たり前っすよ!!

 大切な人を失うのが怖いのは……

 誰だって……!」


エイルは涙をこぼす。


「でも……

 この影は……

 “恐れ”じゃありません……

 “執着”です……

 恒一さんが最も認めたくない感情……」


影は低く呟く。


「つまり……

 “守りたい”と“失いたくない”の境界が、

 影になって現れてるってわけだ。」


ナギは静かに言った。


「恒一。

 この影は……

 あなたの“愛情の影”。

 最も深い感情の裏側。」


◆影の問い

最終の影は、

 恒一にまっすぐ問いかけた。


「恒一。

 おまえは私を守りたいと言った。

 だが――

 “守るために未来を選んでいる”のか?

 それとも――

 “失うのが怖いから未来を選んでいる”のか?」


恒一は息を呑む。


「……それは……」


影は続ける。


「恐れから選ぶ未来は、

 いずれ歪む。

 守りたいという願いと、

 失いたくないという執着。

 どちらが“おまえの未来”なのだ?」


リオが震える声で言う。


「そんな……

 そんなの、どっちも本当っすよ……!」


エイルは涙をこぼす。


「はい……

 でも……

 どちらを“未来の核”にするかは……

 恒一さんが決めなければ……」


影は静かに言う。


「恒一。

 おまえの未来は、

 “何を核にして選ぶ”?」


ナギは優しく言った。


「この問いは……

 守人としての未来を決める問い。」


残響は短く告げる。


「答えろ。

 つなぎ手。」


◆恒一の答え(つづく)

恒一は深く息を吸い、

 最終の影を見据えた。


その瞳には、

 恐れも、願いも、愛情も、

 すべてが混ざっていた。


そして――

 口を開いた。


だがその答えは、

 まだ語られない。

面白かったらブックマークと高評価お願いします。また、noteにて紹介動画等を投稿中ですので、ぜひご覧ください。

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