第79話 “最初に失ったつながり”との再会
総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。
未来樹の内部――
光と影が混ざり合う階層の中で、
恒一はその姿を見た瞬間、息を呑んだ。
そこに立っていた影は、
ただの幻ではなかった。
リオが震える声で言う。
「恒一さん……
あれって……
知り合いなんすか……?」
エイルは胸に手を当て、
影の気配を読み取る。
「これは……
“最初に失ったつながり”……
恒一さんの心が、
最も深く後悔した存在……」
影は腕を組んだまま、
その影を睨む。
「なるほどな。
守人の道の最初の試練が、
“最初の後悔”ってわけか。」
ナギは静かに言った。
「うん。
未来へ進むためには、
最初に失ったつながりと向き合わなきゃいけない。
それは……
恒一の“原点”だから。」
残響は短く告げる。
「つなぎ手。
向き合え。」
◆影の正体
影はゆっくりと顔を上げた。
その姿は――
恒一がかつて守れなかった、
“幼い日の友”の面影をしていた。
恒一の胸が締めつけられる。
「……どうして……
お前が……」
影は静かに言った。
「恒一。
おまえは、あの日のことを
まだ許していない。」
リオが息を呑む。
「許してない……?
誰を……?」
エイルは震える声で答える。
「自分自身……
恒一さんは、
“守れなかった自分”を
ずっと責め続けているんです……」
影は低く呟く。
「つまり……
この影は“自責の象徴”ってわけだ。」
ナギは静かに頷く。
「うん。
最初に失ったつながりは、
恒一の心に最初に刻まれた“痛み”。
それが影になって現れてる。」
◆影の問い
影は恒一に一歩近づいた。
「恒一。
おまえは守人になると言った。
未来をつなぐと言った。
だが――
“過去の自分”を許せないままで、
未来をつなげるのか?」
恒一は息を呑む。
「……それは……」
影は続ける。
「おまえはあの日、
私を守れなかった。
その後悔を、
今も抱えたままだ。」
リオが叫ぶ。
「そんなの……
そんなの、仕方ないじゃないっすか!」
エイルは涙をこぼす。
「後悔は……
消えません……
でも……
それでも前に進むために……
人は……許すんです……」
影は静かに言う。
「恒一。
おまえは“誰”を許す?」
ナギは優しく言った。
「この問いは……
恒一自身への問いなんだよ。」
残響は短く告げる。
「答えろ。
つなぎ手。」
◆恒一の答え
恒一は影を見つめた。
その姿は、
幼い日の記憶のまま。
守れなかった後悔。
届かなかった手。
あの日の涙。
恒一は深く息を吸い、
静かに言った。
「……俺は、
“あの日の自分”を許す。」
影が揺れる。
「守れなかった自分を、
弱かった自分を、
泣いていた自分を……
全部、許す。」
光が恒一の胸から溢れ、
影を照らす。
「お前を守れなかった後悔は、
今も消えてない。
でも――
その後悔があったから、
俺は“守人になりたい”と思ったんだ。」
影は静かに目を閉じた。
「……そうか。」
◆影の消失と、階層の変化
影は光に包まれ、
ゆっくりと消えていった。
リオが涙を拭う。
「なんか……
悲しいけど……
でも、あったかい感じがするっす……」
エイルは微笑む。
「はい……
これは“別れ”じゃありません……
“許し”です……」
影は静かに言った。
「恒一。
よく言ったな。」
ナギは優しく微笑む。
「過去を許すことで、
未来へ進める。」
残響は告げる。
「つなぎ手よ。
影の階層の第一試練は終わった。
次の階層へ進め。」
階段が光り、
新たな影の階層が姿を現した。
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