第38話 選ばれなかった未来と、“つなぎ手”の証明
総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。
未来の書のページが勝手にめくれ、
そこに現れたのは――
つなぎ手が存在しない未来だった。
そのページは黒く濁り、
まるで世界そのものが腐敗していくように
文字が崩れ、絵が溶け、声が消えていく。
ナギが叫ぶ。
「恒一!
この未来は……“つなぎ手がいない世界”……
物語が誰にもつながれず、
終わりも始まりも失われる……!」
影は歯を食いしばり、
ページに手を伸ばそうとして弾かれた。
「くそっ……!
触れられない……
これは“未来そのもの”の拒絶……!」
未来の影が静かに言った。
「つなぎ手がいない未来は、
世界が“選ばなかった未来”。
だが――
選ばれなかったからこそ、
強く残り続けることもある。」
その声は、
恒一と同じ響きを持ちながら、
どこか深い孤独を滲ませていた。
恒一は一歩前に出た。
「……未来の影。
お前は“救われなかった未来”の象徴だ。
でも――
未来は変えられる。
今からでも。」
未来の影は首を振る。
「変えられない。
私は“選ばれなかった恒一”。
少女を助けなかった恒一。
誰にも出会わなかった恒一。
つなぎ手になれなかった恒一。
そんな未来が……
救われるはずがない。」
ナギがそっと言う。
「……救われなかった未来こそ、
救われるべきなんだよ。」
影も続ける。
「お前は“恒一の影”じゃない。
だが……
恒一の“可能性”だ。
なら――
恒一が救う。」
未来の影は揺れた。
黒い線がほどけ、
その輪郭が不安定になる。
「……私は……
救われたいのか……?」
恒一は手を差し出した。
「未来は“選ぶ”ものじゃない。
“選び直せる”ものだ。
お前も――
今、選べる。」
未来の影は震える手で、
恒一の手に触れようとした。
だが――
その瞬間、
未来の書のページが激しく光り、
新たな声が響いた。
――つなぎ手。
――未来を救うには、
――“過去”を越えねばならぬ。
光が爆ぜ、
恒一たちの足元が崩れ落ちる。
落下する先に広がっていたのは――
恒一の過去そのものだった。
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