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第37話 未来の影と、“選ばれなかった未来”の来訪

総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。

未来の書が開かれた瞬間、

 白紙のページに“ひとつの影”が落ちた。


それは恒一の影ではない。

 シャドウでもない。

 ナギの残滓でもない。


もっと冷たく、

 もっと深く、

 もっと“未来”の匂いをまとった影。


ページの奥から、

 低い声が響いた。


――つなぎ手。

 ――おまえの未来を……試させてもらう。


リオが聖剣を構えた。


「未来の……影……!?

 なんだよ、これ……!」


エイルは震える声で言う。


「……これは……

 “選ばれなかった未来”の集合体……

 未来の書が開かれたことで、

 閉じられたはずの未来が……

 形を持って現れたのです……!」


残響は低く呟いた。


「つまり……

 恒一が未来を選ぶという行為そのものが、

 “選ばれなかった未来”を刺激した……

 そういうことか。」


影は眉をひそめる。


「未来の影……

 俺たち影とは違う……

 もっと……冷たい……」


ナギは一歩前に出て、

 その影を見つめた。


「……これは……

 “未来の拒絶”そのもの……

 未来を選ぶ者を、

 未来が試すために生まれた存在……」


◆未来の影の姿

影はゆっくりと形を成し始めた。


黒い線が絡まり、

 やがて“人の形”を作る。


だがその姿は――

 恒一に酷似していた。


リオが息を呑む。


「恒一さん……!?

 いや……違う……

 でも……似てる……!」


エイルは震える声で言った。


「……これは……

 “未来でつなぎ手になれなかった恒一”……

 その可能性が形を持ったもの……!」


影は歯を食いしばる。


「未来の影……

 お前は……

 “恒一の未来の否定”か……!」


未来の影は、

 恒一と同じ声で言った。


「つなぎ手。

 おまえは未来を選ぼうとしている。

 だが――

 未来を選ぶということは、

 無数の未来を“殺す”ということだ。」


恒一は静かに言った。


「……わかってる。

 だからこそ、覚悟して選ぶ。」


未来の影は首を振った。


「覚悟など……

 未来には通用しない。」


◆未来の影の力

未来の影が手をかざすと、

 未来の書のページが勝手にめくれ始めた。


そこには――

 恒一が“つなぎ手にならなかった未来”が

 次々と描かれていく。


少女を助けなかった未来。

 影と出会わなかった未来。

 リオと出会わなかった未来。

 エイルと出会わなかった未来。

 ナギを救わなかった未来。


残響が叫ぶ。


「未来の影は……

 “選ばれなかった未来”を武器にしている……!」


エイルは顔を青ざめさせる。


「恒一さん……

 あなたの未来が……

 未来の影に“書き換えられようとしている”……!」


リオが聖剣を構える。


「そんなの……許さない!!

 恒一さんの未来は……

 恒一さんが選ぶんだ!!」


◆未来の影の宣告

未来の影は、

 恒一と同じ顔で、

 しかし冷たい瞳で言った。


「つなぎ手。

 おまえは未来を選ぶ資格がない。

 なぜなら――

 おまえは“過去に救われただけの存在”だからだ。」


恒一は目を見開いた。


「……過去に……救われただけ……?」


「そうだ。

 おまえは少女を助けた。

 仲間に救われた。

 影に救われた。

 ナギに救われた。

 世界に救われた。

 おまえは“救われる側”の存在だ。」


影が怒りを露わにする。


「ふざけるな……!

 恒一は……

 俺たちを救ったんだ!!」


未来の影は影を見下ろした。


「救った?

 違う。

 “救われたから救えただけ”。

 おまえたちがいなければ、

 つなぎ手は何もできなかった。」


ナギが震える声で言う。


「……それは……

 あなた自身の“未来の絶望”……

 あなたは……

 “誰にも救われなかった未来”なんだね……」


未来の影は沈黙した。


その沈黙は――

 肯定だった。


◆つなぎ手の反論

恒一は未来の影をまっすぐ見つめた。


「……そうだよ。

 俺は救われた。

 何度も、何度も。」


未来の影は目を細める。


「ならば未来を選ぶ資格など――」


「あるさ。」


恒一は強く言った。


「救われたからこそ、

 俺は“誰かを救いたい”と思えた。

 救われたからこそ、

 俺は“未来を選びたい”と思えた。

 救われたからこそ、

 俺は“つなぎ手”になれた。」


未来の影は息を呑んだ。


「……救われたことが……

 力になると……?」


「なるさ。

 俺は救われた。

 だから今度は――

 俺が“未来を救う”。」


◆未来の影の揺らぎ

未来の影の身体が揺れた。


黒い線がほどけ、

 その輪郭が不安定になる。


ナギが呟く。


「……未来の影……

 あなたは……

 “救われなかった未来”の象徴……

 だからこそ……

 恒一の言葉が……

 あなたを揺らしている……!」


影は未来の影に向かって言った。


「お前も……

 救われたかったんだろ……?」


未来の影は震えた。


「……私は……

 救われる未来を……

 選ばれなかった……」


恒一は手を差し出した。


「なら――

 今、選べばいい。

 未来は“今”から変えられる。」

面白かったらブックマークと高評価お願いします。また、noteにて紹介動画等を投稿中ですので、ぜひご覧ください。

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