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第24話 影の本体と、三つの終わりの揺らぎ

総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。

物語の底――

 無数の未完の断片が漂う、終わりと始まりの狭間。


その中心に、影の本体が立っていた。

 巨大で、形を持たず、

 無数の物語の叫びが貼り付いた“終わりの集合体”。


その前に、恒一・リオ・エイル、

 そして第三の恒一――残響が並び立つ。


影の本体が低く唸る。


――つなぎ手よ。

 ――おまえの終わりを選べ。


だが残響が一歩前に出て、

 影の本体を睨みつけた。


「……影。

 お前はひとつ、勘違いしている」


影の本体が揺れる。


――勘違い……?


「終わりを選ぶのは、恒一だけじゃない。

 “俺たち全員”だ」


◆三つの恒一

影の本体は、三人の恒一を見比べる。


つなぎ手として歩んできた恒一。

 終わった物語から生まれた残響。

 そして“助けなかった未来”の始まりの恒一。


影は低く笑った。


――なるほど。

――おまえたちは“分岐した恒一”か。


残響が頷く。


「そうだ。

 俺は“終わった恒一”。

 始まりの恒一は“選ばなかった恒一”。

 そしてこの恒一は“続くことを選んだ恒一”。

 全部合わせて、ようやく“ひとりの恒一”だ」


影の本体は沈黙した。

 その沈黙は、理解ではなく――苛立ち。


――だからどうした。

――終わりを選ぶのは“つなぎ手”ただひとり。


「違う」

 残響は静かに言った。


「つなぎ手は“ひとり”じゃない。

 恒一の物語は、

 リオやエイル、影の勇者……

 多くの物語と結びついている」


リオが聖剣を握りしめる。


「俺も……恒一さんの物語の一部です!」


エイルも頷く。


「私も……あなたの終わりを見届けるだけの存在ではありません。

 あなたの“続き”を信じる者です」


影の本体が揺れ、

 空間が震えた。


――つなぎ手よ。

――おまえは……“終わりを共有する”というのか。


◆影の本体の苦悩

影の本体は、

 無数の声を響かせながら呻いた。


――我らは……終わりたい……

――だが終われない……

――終わりを抱えた者を喰らうしか……

――終わりを得る方法がない……


恒一は影の本体を見つめた。


「……お前は、終わりが欲しいんじゃない。

 “救われたい”んだろ」


影の本体が震えた。


――救い……?


「終わりを迎えられなかった物語たち。

 未完のまま止まった声。

 お前はそれを全部背負ってる。

 だから苦しいんだ」


影の本体は沈黙した。


その沈黙は、

 否定ではなく――戸惑い。


◆三つの終わりの揺らぎ

影の本体が再び声を発した。


――つなぎ手よ。

――おまえの終わりは三つ。

――どれを選ぶ?


だが残響が首を振った。


「三つじゃない。

 “第四の終わり”がある」


影の本体が揺れる。


――第四……?


リオが息を呑む。


「そんなの……書にはなかった……!」


エイルも驚いた表情を浮かべる。


「残響さん……第四の終わりとは……?」


残響は恒一を見つめた。


「“終わりを抱えたまま進む終わり”。

 つまり――

 終わらない終わりだ」


影の本体が激しく揺れ、

 空間が歪む。


――終わらない……終わり……?

――そんなもの……存在しない……!


「存在させるんだよ」

 恒一が前に出た。


「俺は“終わりを抱えたまま進む”って決めた。

 終わりを選ぶんじゃない。

 終わりを“抱えて”進むんだ」


影の本体が叫ぶ。


――それでは……我らは……終われない……!


「終わらせない。

 でも――

 “救う”ことはできる」


影の本体が震えた。


――救う……?


「お前たちの物語を、

 俺が“つなぐ”。

 終わりを奪うんじゃなくて、

 終わりへ導くんだ」


影の本体は、

 初めて“恐れ”のような揺らぎを見せた。


――つなぎ手よ……

――おまえは……我らを……終わらせるのか……?


「終わらせるんじゃない。

 “終わりへ導く”。

 それが俺の役目だ」


◆影の本体の決断

影の本体はしばらく沈黙し、

 やがて静かに言った。


――ならば……試してみよ。

――つなぎ手よ。

――我らの“終わり”を……つなげるかどうか。


影の本体が腕を広げ、

 物語の底全体が光と闇に揺れ始めた。


――我らの物語を……見せよう。

――未完のすべてを……抱えられるか。


恒一は深く息を吸った。


「……行くぞ。

 影の本体と向き合う。

 そして――

 “第四の終わり”をつかむ」


リオが聖剣を掲げる。


「俺も一緒に行きます!」


エイルも杖を構える。


「あなたの物語を……信じています」


残響が微笑む。


「さあ、恒一。

 ここからが本当の“つなぎ手の物語”だ」

面白かったらブックマークと高評価お願いします。また、noteにて紹介動画等を投稿中ですので、ぜひご覧ください。

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