第18話 案内人の影、つなぎ手の終わり
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恒一の胸の光が爆ぜ、
その中から現れたのは――エイルだった。
だが、彼女の瞳は以前のような優しい光ではない。
深い闇を宿し、冷たく恒一を見つめていた。
「……恒一さん。
あなたの“終わり”を……見せてください」
その声は、まるで別人のようだった。
「エイル……なのか?」
恒一は一歩近づこうとする。
だが、エイルは杖を構え、恒一を拒むように後退した。
「近づかないでください。
私はもう……案内人ではありません」
影の残滓がエイルの足元に集まり、
彼女の身体を黒く染めていく。
残響が叫んだ。
「恒一、気をつけろ!
あれは“案内人の影”だ!」
◆案内人の影
エイルの影は、彼女自身の姿を保ちながらも、
その輪郭は黒い霧のように揺らいでいた。
「案内人の影……?」
恒一が呟くと、残響が説明した。
「案内人は“物語を持たない存在”。
だから本来、影に囚われることはない。
だが――
つなぎ手を守ろうとした案内人は、例外だ」
「守ろうとした……?」
「案内人はつなぎ手の“終わり”を見届ける役目。
だがエイルはそれを拒んだ。
お前を守るために、役目を捨てたんだ」
恒一は息を呑んだ。
「だから……影に囚われたのか……」
エイルの影が微笑む。
その笑みは、優しさと狂気が混ざったような歪んだものだった。
「恒一さん……
あなたの終わりを、私が見届けます……
今度こそ……役目を果たすために」
◆つなぎ手の終わり
エイルの影が杖を振ると、
黒い鎖が恒一の足元から伸び、彼を絡め取ろうとする。
「くっ……!」
恒一は後退しながら叫ぶ。
「エイル! やめろ!
お前はそんなことを望んでない!」
「望んでいますよ」
影のエイルは静かに言った。
「あなたが“終わりを抱えたまま進む”なら……
その終わりを、私が引き受けなければならない」
リオが聖剣を構える。
「エイルさんは……そんなこと言わない!!
影に操られてるだけだ!!」
影のエイルはリオを見て、冷たく言った。
「勇者よ。
あなたの物語は“つなぎ手の終わり”の上に成り立つ。
それを理解しなさい」
リオは震えながら叫んだ。
「違う!!
俺は……恒一さんと一緒に進む!!
終わりなんて……渡さない!!」
聖剣が光を放ち、黒い鎖を切り裂く。
◆案内人の本心
影のエイルは一瞬だけ動きを止めた。
その瞳に、かすかな揺らぎが生まれる。
「……リオさん……
あなたは……優しいですね……」
その声は、確かに“本物のエイル”のものだった。
「エイル……?」
恒一が呼びかけると、
影のエイルは胸を押さえ、苦しげに顔を歪めた。
「私は……あなたを守りたかった……
でも……守ることは……“役目の否定”……
だから……影が……私を……」
黒い霧がエイルの身体を包み、
彼女の表情が再び冷たく染まる。
「……つなぎ手の終わりを……返しなさい」
◆影の意志の復活
影の残滓がエイルの影に吸い込まれ、
彼女の力がさらに増していく。
残響が叫ぶ。
「恒一!
影は“案内人の役目”を利用している!
つなぎ手の終わりを奪うために!」
「じゃあ……エイルを止めなきゃ……!」
「止めるだけじゃダメだ。
エイルの“本心”を呼び戻せ!
案内人は影より強い。
本心さえ戻れば、影を拒絶できる!」
恒一はエイルへ向かって叫んだ。
「エイル!!
お前は俺の終わりなんて望んでない!!
俺の“続き”を信じてくれたんだろ!!」
影のエイルは震え、
その瞳に再び揺らぎが生まれる。
「……続き……?」
「そうだ!
お前が残した光が、俺をここまで連れてきたんだ!!
お前が信じてくれたから、俺は進めたんだ!!」
影のエイルの身体が光と闇の間で揺れ始める。
「……私は……
恒一さんの……続きが……見たかった……」
その瞬間、
影が悲鳴を上げた。
――やめろ!!
――案内人よ!!
――本心を取り戻すな!!
◆案内人の覚醒
エイルの影が裂け、
光が溢れ出す。
影が叫ぶ。
――つなぎ手の終わりは……我のものだ……!!
だが、エイルは静かに微笑んだ。
「……恒一さん。
あなたの物語は……終わりません」
光が爆ぜ、
影の意志が吹き飛ばされる。
エイルの影が消え、
そこには――
光を纏った“本物のエイル”が立っていた。
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次回予告
エイルが恒一の手を取った瞬間、
恒一の影が――
勝手に動き出した。
影は笑いながら囁く。
「……終わりを越えるなら、
“始まり”も越えてみせろよ、恒一」
影は闇へと消え、
新たな“物語の裂け目”が開いた。




