第17話 未完の勇気が灯す未来
総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。
影の勇者が残した“黒い欠片”がリオの胸へ吸い込まれた瞬間、
リオは胸を押さえ、息を呑んだ。
「……誰かの声が……聞こえた……」
恒一が駆け寄る。
「声って……影の勇者のか?」
リオは震える声で頷いた。
「うん……
“ぼくの続きを……頼んだよ”って……
まるで……俺に託すみたいに……」
胸の奥で、温かい光が脈打っている。
それは影の勇者の“未完の勇気”が、
リオの物語に溶け込んだ証だった。
残響が静かに言った。
「リオ。
お前は今、“二つの勇気”を持っている。
自分の勇気と……影の勇者が残した勇気だ」
「二つの……勇気……」
リオは胸に手を当てた。
そこには確かに、ひとりでは抱えきれないほどの熱が宿っていた。
◆影の勇者の願い
恒一はリオの肩に手を置いた。
「影の勇者は……お前に託したんだ。
自分が続けられなかった物語を」
リオは拳を握りしめた。
「……俺、絶対に止まらない。
影の勇者の分まで……俺が続く!」
その言葉に呼応するように、
リオの聖剣が淡く光った。
刃の奥に、黒い欠片の光が溶け込んでいる。
「……これ……聖剣が……」
残響が目を細めた。
「影の勇者の“未完の勇気”が、
聖剣に新しい力を与えているんだ」
「新しい……力……?」
「そう。
“未完を恐れない勇気”。
影に囚われた者を救う力だ」
リオは聖剣を見つめ、
その重みを改めて感じた。
◆影の残滓のざわめき
そのとき、地面に散った影の残滓がざわめいた。
黒い霧がゆっくりと集まり、
まるで“何かを探すように”蠢いている。
「……まだ動いてる……?」
恒一が身構える。
残響が険しい表情で言った。
「影の本体は砕けた。
だが“影の意志”はまだ残っている。
影は――“終わりを拒む者”を探している」
「終わりを……拒む者……?」
残響は恒一を見た。
「そうだ。
影はお前を狙っている。
つなぎ手は“終わりを抱えた存在”。
影にとって最も喰いやすい」
恒一は拳を握りしめた。
「……来るなら来いよ。
俺はもう……逃げない」
影の残滓が一斉に震え、
黒い霧が恒一の影へ吸い込まれていく。
「っ……!」
恒一の影が揺れ、
まるで“別の意思”を持ったように動き始めた。
◆影の勇者の声
そのとき、リオの胸の光が強く輝いた。
「……っ! また声が……!」
「なんて言ってる?」
リオは目を閉じ、耳を澄ませた。
「“つなぎ手を……守って”って……
影の勇者が……恒一さんを……」
恒一は驚いた。
「俺を……守る?」
リオは頷いた。
「影の勇者は……
“終わりを抱えたまま進む者”を守りたかったんだと思う。
だって……自分は進めなかったから……」
恒一は胸が締めつけられた。
「……あいつ……」
影の勇者は最後の瞬間まで、
“続けられなかった自分”を悔やんでいた。
だからこそ、続けようとする者を守りたかったのだ。
◆影の意志の復活
影の残滓が恒一の影に吸い込まれ、
影がゆっくりと立ち上がった。
――つなぎ手よ。
――おまえの“終わり”は……まだここにある。
恒一の影が、
恒一とは別の動きをしながら囁いた。
「……またお前かよ……」
影は笑う。
――影の勇者は消えた。
――だが“影の意志”は残る。
――おまえの終わりを喰らうために。
リオが聖剣を構える。
「恒一さんは……俺が守る!!」
影はリオを見て、
冷たく囁いた。
――勇者よ。
――おまえの物語もまた“未完”だ。
リオは震えた。
「……未完でもいい。
俺は……続く!!」
聖剣が光り、影の意志とぶつかり合う。
◆つなぎ手の影との第二幕
残響が恒一の横に立つ。
「恒一。
影は“終わりの地”で完全に砕けなかった。
お前の影に残った“終わりの欠片”が、
影の意志を呼び戻している」
「じゃあ……俺が終わりを抱えてる限り、
影は何度でも蘇るってことか?」
「そうだ。
だから――
お前自身が“終わりを越える”必要がある」
恒一は影を見据えた。
「……終わりを越える……」
影が囁く。
――越えられるものか。
――おまえは“終わった物語”だ。
恒一は拳を握りしめた。
「違う。
俺は――
終わった物語から始まったんだ」
影が揺れ、
黒い霧がざわめいた。
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次回予告
影の意志が恒一へ迫る瞬間、
恒一の胸の光が再び爆ぜた。
その光の中から――
エイルの姿が現れた。
だがその瞳は、
以前の優しい光ではなく――
「……恒一さん。
あなたの“終わり”を……見せてください」
まるで別人のように冷たかった。




