第15話 終わりを越える声
総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。
影の刃が振り下ろされる瞬間、
恒一の胸の光が爆ぜ、空間全体が白く染まった。
その光の中心から――
恒一自身の声が響いた。
『……恒一。
お前の物語は、まだ終わらない』
影が驚愕に揺らぐ。
――なに……?
――つなぎ手の“終わり”が……声を持つだと……?
光の中から現れたのは、
残響とも違う、影とも違う――
“第三の恒一”だった。
姿は恒一と同じ。
だが、その瞳には影でも光でもない、
“強い意志”が宿っていた。
「……お前は……誰だ?」
恒一が問うと、第三の恒一は微笑んだ。
「俺は――
お前が“続きたい”と願った未来そのものだ」
◆続きたい未来
影が苛立ち、黒い霧を揺らす。
――ふざけるな。
――つなぎ手は“終わりを抱えた存在”。
――未来など持てるはずがない。
第三の恒一は影を見据えた。
「確かに俺は“終わった物語”から生まれた。
でも――
終わりを抱えたまま進むことは、できるんだよ」
影が震える。
――終わりを抱えたまま……進む……?
「そうだ。
終わりを恐れて止まるのが影なら、
終わりを抱えて進むのが“つなぎ手”だ」
恒一は息を呑んだ。
「……それが……俺の役目……?」
「役目じゃない。
お前が選んだ生き方だ」
第三の恒一は恒一の胸に触れた。
エイルの残した光が共鳴し、温かい波動が広がる。
「エイルは、お前の“続きたい”という願いを信じた。
だから光を託した。
その光は――
“終わりを越える力”だ」
◆影の動揺
影が後退し、黒い霧が乱れる。
――そんな力……ありえない……
――物語は終わりへ向かうもの……
――終わりを越えるなど……
「越えるんだよ」
恒一が前に出た。
「俺は死んだはずだった。
でも少女を助けて、
その後の物語を見届けたいと思った。
リオの物語も、エイルの想いも……
全部、続いてほしいと思った」
影は震える。
――つなぎ手よ……
――おまえは……“終わりを否定する”のか……?
「違う。
終わりを受け入れた上で、続きを選ぶんだ」
第三の恒一が続ける。
「終わりは消えない。
でも、それを抱えたまま進むことはできる。
それが“つなぎ手の本質”だ」
◆勇者の光
影が咆哮し、巨大な刃を形成する。
――ならば証明してみせよ!!
――終わりを抱えたまま進めるというのなら!!
影が刃を振り下ろす。
「リオ!!」
「はい!!」
リオが聖剣を掲げ、光を放つ。
完全に抜けた聖剣は、影の刃を受け止め、
光と闇が激しくぶつかり合った。
「俺は……勇者としてじゃなく……
恒一さんの仲間として戦う!!」
聖剣の光がさらに強くなり、
影の刃がひび割れていく。
◆つなぎ手の決意
恒一は第三の恒一と並び、影へ向かって歩いた。
「影。
お前は俺の“終わり”だ。
でも――俺は終わらない」
第三の恒一が言う。
「終わりは“始まり”にもなる。
お前が恐れているのは、
終わりではなく――
続きが生まれることだ」
影が震え、黒い霧が崩れ始める。
――やめろ……
――続きなど……
――続きなど認めない……!!
「認めろよ」
恒一が叫んだ。
「俺は――
俺の物語を続ける!!」
その瞬間、
恒一の胸の光と、リオの聖剣の光、
そして第三の恒一の光が重なり――
影の身体が、
完全に砕け散った。
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次回予告
影が砕け散ったあと、
地面に“黒い核”が残っていた。
それは脈打ち、
まるで心臓のように動いている。
リオが震える声で言った。
「……これ……まだ終わってない……?」
核がひび割れ、
中から――
ひとりの少年が現れた。
その少年は、
恒一とリオを見て微笑んだ。
「はじめまして。
ぼくは――“影の勇者”」




