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第14話 終わりの地へ、案内人の残した道

総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。

エイルが消えたあと、湖の源泉は静まり返っていた。

 だが、その静寂は決して安らぎではない。

 恒一の胸に吸い込まれた“光”が、微かに脈打っている。


「……エイル……」


呼んでも返事はない。

 だが、胸の奥で光が震え、まるで“まだそばにいる”と告げているようだった。


残響が静かに言った。


「行こう、恒一。

 影は“終わりの地”へ向かった。

 お前の物語が本来終わった場所――そこが決戦の場だ」


「……雨の夜、か」


少女を助けたあの瞬間。

 自分の物語が一度終わった場所。


そこへ戻るということは、

 “自分の終わり”と向き合うということだ。


リオが駆け寄ってきた。

 聖剣は完全に抜け、刃は眩い光を放っている。


「恒一さん……行くんですよね?」


「ああ。

 影を止めなきゃ、また誰かの物語が奪われる」


リオは強く頷いた。


「俺も行きます。

 勇者としてじゃなく……

 恒一さんの仲間として!」


その言葉に、恒一は微笑んだ。


「頼りにしてるよ、リオ」


◆終わりの地への道

源泉の奥にある“白い扉”が開き、

 三人は光の回廊へ足を踏み入れた。


そこは時間も空間も曖昧な場所だった。

 歩くたびに景色が変わり、

 過去の断片が浮かんでは消えていく。


リオの村。

 王女の玉座。

 復讐者の荒野。

 そして――

 恒一が少女を抱えて倒れた、雨の夜の道路。


「ここが……」


恒一は息を呑んだ。

 雨の匂い、アスファルトの冷たさ、

 少女の震える声――すべてが鮮明に蘇る。


残響が言った。


「ここが“終わりの地”。

 お前の物語が一度、終わった場所だ」


そのとき、黒い霧が道路の中央に集まり、

 影が姿を現した。


――来たか、つなぎ手よ。


影は恒一と同じ姿をしていた。

 だが、その瞳は深い闇を宿している。


「……俺の影。

 お前は何がしたい?」


影は微笑んだ。


――簡単なことだ。

――“終わりを返してもらう”。


「返したら……俺は消えるんだろ?」


影は頷く。


――つなぎ手は“終わりを抱えた存在”。

――終わりを返せば、おまえは本来の場所へ戻る。

――つまり“死ぬ”。


リオが叫ぶ。


「そんなの絶対にさせない!!」


影はリオを一瞥し、冷たく言った。


――勇者よ。

――おまえの物語は“つなぎ手の終わり”の上に成り立つ。

――守れると思うな。


リオは震えながらも剣を構えた。


「守るよ……!

 俺は、恒一さんの物語を守る!!」


◆案内人の光

そのとき、恒一の胸の光が強く輝いた。

 エイルの声が微かに響く。


――恒一さん……

――あなたは“終わり”を抱えても……

――“続く物語”を選べる人です……


影が苛立ったように唸る。


――案内人の残滓か。

――だが、つなぎ手の終わりは変わらぬ。


恒一は影を見据えた。


「俺は……終わらない。

 エイルが信じてくれた“続き”を選ぶ」


影は笑った。


――ならば証明してみせよ。

――“終わりを抱えたまま進む”ということを。


黒い霧が渦巻き、影が巨大な刃を形成する。


「リオ、構えろ!」


「はい!!」


光と影がぶつかり、

 “終わりの地”が激しく揺れた。

面白かったらブックマークと高評価お願いします。また、noteにて紹介動画等を投稿中ですので、ぜひご覧ください。

次回予告

影の刃が振り下ろされる瞬間、

恒一の胸の光が爆ぜ――


その光の中から、

エイルの声ではない“誰か”が現れた。


『……恒一。

  お前の物語は、まだ終わらない』


その声は――

恒一自身の声だった。

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