終わり
これで終わりです。
織り成した結界を解除し中に入ると、
茫然自失の貴族達と
口に布を噛ませられた王太子達がいた。
「大尉お帰りなさい。
任務完了したんですね。
あ、あの布は王太子達がうるさかったんで
うちの職員がキレてつけました」
見ると右手に腕輪、左手に本を持った女性職員が。
「ミューラの魔術師職員がいたのですね。
ムシャールの出身?
無機物召喚とはやるね!
布はそのままでいいよ」
ぺこりとお辞儀する職員。
そこにベアトリーチェが近づいてきた。
そして綺麗なカーテシーをする。
「お初にお目にかかります。
ベアトリーチェ・リューゼムと申します。
終わったのですね?」
「ええ、今は処理班待ちです。
初めましてアルマート・ヴァータイト大尉です。
貴女も10年間お疲れ様でした。
この展開『未来視』で視ていたのでは?」
気になっていたことを聞く。
「ええ、だいぶ前に。
変えたかったのですが叶わず・・・」
落ち込むベアトリーチェ。
「これからは、この国は併合されて無くなる。
新しく統治する方が政務に慣れるまでは
貴女が国を回していく。
王妃・・・もう元か。
元王妃も協力するとの事。
リューゼム嬢、この地域と従弟をよろしく頼みます」
中佐が貴族の礼をする。
この国の作法。
「貴方は・・・もしや」
何かに気付いたベアトリーチェ。
微かに微笑む。
「自分を責めないで。
貴女に救われた民は多い。
慕っている貴族も。
それを忘れないで下さい。
爵位を剥奪され追放された者達も、
貴女を責めてはおりません。
それを忘れないで」
「ありがとうございます。
クレメンス・ハフナー元子爵。
貴方もお元気で」
涙ぐみながらも微笑む。
(中佐も王に進言して爵位を剥奪された、
この国の元貴族って事は端末で見たけど。
新たに統治する人、
同じファミリーネームだったな、そういえば。
従弟か。確かまともな伯爵家だったっけ。
爵位剥奪時に助けなかったから、
恨んでるのかとも思ったけど。
そうでもないか。
これまでと違って、いい関係を築けるな)
これまでは気の弱く、宰相のいいなりだった王と
暴君王太子のせいで組織との関係は良くなかった。
だがこれからは大丈夫だろう。
「組織も影ながら協力します。
健康に気をつけて」
アルマートがニコリと微笑み敬礼する。
「ありがとうございます。
アルマート・ヴァータイト大尉」
ベアトリーチェは微笑みを返し敬礼をした。
その後、やってきた処理班
(後始末に長けた専門チーム)
により速やかに残骸処理、罪人の連行等が行われた。
兵器の残骸は残らず片付けられ、
王太子達も連行された。
ちなみに王太子は
「私は悪くない!何故だああ」と叫んでいた。
他は「脱走してやり直す」
ぶつぶつ呟くなどだった。
貴族達は王城で長〜い取調べを受け
(湯浴みや着替えは最低限で不満を溢していた)
この国が他国に併合されると聞かされた瞬間、
卒倒する人が絶えなかった。
「他国に併合!?馬鹿を言うな!」
と怒号を張り上げた者もいたが、
キレた職員が懇切丁寧に説明
(経緯を国の借金額、王太子達の散財額、
兵器にかけた金額、貴族の罪状を
召喚したゴーレムが紙芝居してくれた)すると
最後は崩れ落ちていた。
ちなみに
ゴーレムを召喚したのは布を噛ませた職員である。
何やかんやありながら半日で終了させた。
後は新しく統治する人を迎えるだけ、
という所である。
国王は隣国で治療を受けていだが完治。
そのままのんびり暮らしてもらうとの事。
(緑の多い所で一応監視付き)
王妃は王城の執務室でベアトリーチェと再会し、
統治する人に諸々教え込む気満々でゆったり過ごしている。
ベアトリーチェは王妃とお茶をしたり、
庭園を散策したりしてのんびり過ごしている。
脅されていた兵器研究者は、
簡単な取調べ(と言う名の聞き取り)後、
研修を受けて組織の職員になる事が決まっている。
「と現地から司令に報告が来たと。
暫くは王妃とリューゼム嬢が補佐を続けるそうです。
その間にお披露目の準備や元王家の物の処分や
新しい旗の準備やら色々あるようで。
貴族だった人達は厳正な処分と領地の再分配し、
取り潰しの家が多くなりそうで問題になり、
分家の家を本家に替えたり
爵位を下げたり上げたりして
対応するそうです。
高位貴族は軒並み降格であたふたしてるとか。
そんな感じですかね」
とオトハ達に伝えるアルマート。
処理班の護衛後グラジオスに乗艦し、
すっかり馴染んでいた。
「一国が無くなると大変なのね。
貴族の階級はまだ残しておくの?」
レンが尋ねる。
「身分制度を撤廃すると色々弊害が出るので。
いきなり平民だと秩序が乱れますから。
徐々に無くしていくそうです。
まだまだ先の話」
「騎士団見なかったけれど
待機をさせられて、そのまま放置されていたとか?
今はどうなっている?」
イジュンが聞く。
「今はきちんと仕事をしていると。
元々怠けていて、規律が緩んでいた所を、
アース国から派遣した騎士団長がボコボコにして立て直したそうで。
泣いて退団した団員もいたらしいです」
「情けない」
バッサリと切り捨てたイジュン。
「まあ騎士団いたら面倒だったね。
僕は対人はあまり得意じゃないから」
そう言ったのはイーサン。
「剣も銃も並み以上に扱えるのに
何言ってるんスか。
小隊全員の中じゃリュカが1番弱いんじゃ?
イーサンに負けてたし」
口を挟むマサトシ。
「僕はレイピアが得意なんです!
剣で戦ったら負けますって!
銃は成績は良でしたよ!
皆さんが強いだけです!」
ぷんすかと怒るリュカ。
「ここのメンバーは対人成績も優秀な者達も選ばれているからな。
今度銃の訓練に付き合うぞ、リュカ」
そう言って肩を叩くルーファス。
生身の射撃で1番なのである。
「ありがとうございます!
テイラー少佐!」
嬉しそうに笑うリュカ。
「さすが切り札部隊、皆優秀ですね」
アルマートがそう言うと
「ヴァータイト大尉は剣も使えるとか?
一手手合わせ願いたいわ」
黒い笑みでオトハが言う
「あー、人並みレベルなのでお手柔らかに。
切り札部隊と言ったのは謝ります!
申し訳ございませんでした」
90度のお辞儀をし、笑いに包まれた。
1章完。
次回軽く登場人物紹介と、用語の説明パート。




