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次元守護者の任務執行記〜《疾風の魔導師》が試験部隊と共に魔術と科学の混合メカで因果律『災厄』を吹き飛ばすまで  作者: 麻の葉りり
第6章 聖女の呪い

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第3話 女神と呪い


「やっぱりそうなの?」


メルーナが顔を険しくして聞く。


「うん。術者と他の力も感じるし、術者も強い。

でも呪いを増幅させるナニカが働いてる。


それが何かは分からないけど」


増幅させるナニカの正体を突き止めるのが先かな。

それを破壊すれば術者だけになるから、少しはやりやすくなる。


考えを纏めると口を開く。


「とりあえず、呪いを抑え込む術をかけるね。

ちょっと離れて」


皆が離れ、確認すると杖を取り出し詠唱を開始する。


「命を絞め 刈り取るもの その動きは鈍り しばしの間静かに眠る 


ー闇ノ沈黙 シュティレ イン デア ドゥンケルハイト」


黒い闇が聖女を包み込み、黒い縄の動きが緩やかになり止まる。荒かった呼吸が静かになっていく。


ふうと息をつくアルマート。


「一時的に抑えたけど、長くは持たないな。

ああそうだ、女神様にも挨拶しないと。

シャルヴァン師団長。祈りの間、今使えます?」


振り返ってメルーナに聞く。


「使えますよ」


「大尉、挨拶とは?女神様の声を聞くことが出来るという事は知っていますが」


小首を傾げてターニャが聞く。


「魔導師や魔術師達は、異なる魔術の世界で自分の国の魔術を発動させる前に、

その世界で信仰されている神に祈りを捧げて挨拶をする決まりがありまして。


『これから使用しますのでよろしくお願いします』と。


異なる世界と交流する時に、神々と取り決めをしたんです。

基本は術を行使する前に行うのがルールで、緊急時は術後でいいと。


魔法武術の方は、使用後に演武をする決まりになっているとか。

挨拶する前に体が先に動くから、使用後でいいとなったとか。


陰陽式はどちらでもいいとなってると」


イジュンが頷く。


「僕は女神様の声も聞けるので、祈りの間で祈りを捧げてきます。

【センチュリオン】からの報告は後で。時間が惜しい」


「祈りに時間がかかるの?」


オトハが聞く。


「いつもは数分程度ですけど、今回はどうなるか。

聞きたい事は沢山ありますが、

女神様の声が聞き取りにくいとなると・・・」


どうだろうと首を傾げる。


「私は【センチュリオン】からの報告を聞いた後、

艦に戻ります。クリハラ隊長達をどう動かすかは、報告の内容次第ね」


「分かりました。祈りを捧げ終わったら、報告します。シャルヴァン師団長」


「こっちよ。【センチュリオン】の方は祈りの間の手前の部屋に。案内します」


メルーナが歩き出しついて行く。

看護の女性に視線を向け、頷き聖女の方へ歩いていく。


廊下を歩いていている途中、気になったオトハが質問をする。


「あの部屋にいた女性は、看護の方ですか?」


「聖女様の侍女です。所属は神殿だけれど、元は貴族で礼儀作法も完璧。皆”神聖魔術”が使えます。


聖女様は貴族出身者が多いから、成人して貴族籍から抜ける人が侍女に選ばれてお世話をするんです。

孤児もいるけれど下働きがほとんど。


こちらの部屋に【センチュリオン】の方がいます」


茶色い扉の前で止まる。


「ありがとうございました。シャルヴァン師団長。


それでは大尉、また後で」


敬礼をして扉をノックし入るターニャ達。

見送ると祈りの間まで歩き出す2人。

白く重厚な扉を開け一礼して中に入り、女神像の前まで近づくアルマート。


メルーナは入り口で待機する。


像の前で一礼し、立ったまま両手を握り目を閉じる。


「我は異なる世界の魔術師。この世界で異なる魔術を行使する者。 願いを聞き届け 許しの祝福を授からん」


弱々しい金色の光がアルマートに降り注ぐ。

それを確認後、また目を閉じる。


「女神ヴェラニスーンに祈りを捧げ奉る」


そのまま集中する。


…なんだか雑音がうるさいな。誰かが妨害してるけど、

知らない気配。似ているので近いモノは・・・。


そう考えていると


「あら・・久し・ぶり・・ね?レンネ・ス・の疾・風さ・ん」


女性の声が響く。


「お久しぶりです女神様。声が聞き取りにくくてしょうがない」


「そう・なの・・。その・・せい・でわた・し、の・かわ・い子・がの・ろわ・れて。

何・者・にじゃ・・まさ・れて。たぶ・・んやく・さ・の・・た・ねが、この・・しに。


レン・ス・で・し・ぱい・し・た・ら、て・た・がたね・をこち・・に・ま・た。


それ・をひと・・は・・もの・とり・・んじゃ・・てる」


…妨害が強くなった。話されたくないのか?


「聞こえなくなってきてます!」


「ほ・の子に・・もつた・・たけど、じゃま・・れ・つ・・わ・て・い。

早、くうごい・・・て。アレ・・を・た・おし・・た・・へ・・な・・とに・・る。


あと・・・きょ・こ・く・・なに・・」


そこでプツリと途切れる。表情が険しくなるアルマート。


なんとか聞き取れた所もあったけど、呪いをかけたモノって・・・。

それに最後、あれは・・・


顎に手を当て考え込むアルマートに、メルーナが近づいてきて尋ねる。


「どうしたの大尉」


「声が聞こえなくなった。もう、僕の祈りは届かない」


嘘でしょうと叫ぶメルーナ。そして両手を組み祈り始める。


「女神ヴェラニスーンに祈りを捧げ奉る」


そのまま沈黙が降りる。


「・・・だめ、何を言っているか分からない。こんな事って・・・」


泣きそうになるメルーナ。


「僕は艦長達の部屋に行く。早くしないとまずそう。師団長はここにいて」


扉を開けて隣の部屋へと急ぐ。コンコンコンと扉をノックし開ける。


「大尉、早かったですね。どうかしましたか?」


こちらを見たターニャが驚く。


「女神様に祈りを捧げていたら、途中で声が聞こえなくなりまして。急ぎここに」


皆が険しい表情を作る。その中に見慣れぬ人物。


「ミューラの【センチュリオン】の方?」


アルマートが尋ねる。


「ダレン・アルドゥーン少尉であります」


赤毛に緑の瞳の男性が敬礼する。


「女神様との会話は聞き取りにくかったのですが、呪いをかけたモノの正体はかろうじて聞き取りました。あと怪しい場所も。今どこまで報告を?」


驚くダレン達。すると


《敵は未知数。一番怪しい場所はエレノス共和国です》


左胸に付けているブローチから男性の声が。


「【センチュリオン】職員に支給されているAIだね。共和国か」


「自分の相棒の"ウィル"です」


ダレンが紹介する。


《よろしくお願いします》


丁寧に挨拶する。


「よろしく"ウィル"。これは推測ですが、 

敵はおそらく"『災厄』の種を取り込んだ、人ではないもの"です」









女神像は白い石像イメージ。

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