第6話 首相到着
「ちなみに他の皆さんもそんな感じですか?」
アルマートが聞く。
「知り合いのモデルが使ってくれって言うから、モデルにしたんだ」
応募する気はなかったさ。
別の絵を出すつもりだったが、色をつけたらなかなかいい具合になったから、応募したのさ
人物画を描いたチャラめの男性が。
「わたしはTVを着けたら穴場スポットとして紹介されていたから」
ちょうど新しい画材を貰ったから試しに何かを描こうとは思っていたんだ。
良い出来だったからそのまま応募した」
と風景画を描いた壮年の画家。
「ええっと、久しぶりに静物画を描こうと思って」
モデルのモノ達を並べて、新調した筆と画材で描いた。いい感じに描けたから応募した
静物画を描いた若い男性。
「あー何かないかってネット漁って、何も無いって画材を見たら筆と目があって、
それから沸いて描き始めたの。それだけ」
抽象画を描いた女性。
「ペポーナに行った時に出会ったアルピノキリン!」
外敵に狙われやすい、密猟されやすいキリンの保護を訴えようと筆をとったのだ!
キリンを描いた老人が力強く言う。
「画材と筆の新調した方が多いのかな?
ちなみに筆持ってます?あとどこで買いました?貰った方は誰からとか分かりますか?」
「持ってるぞ、なあ?」
「俺も。持ってるといい事あるから」
「わたしもです」
「僕も・・・」
と皆取り出す。
「いや、匿名でポストに入ってた」『貴方の絵のファンです。応援したくて贈りました』
そんな感じだったかな?メッセージの内容は。と人物画を描いた男性。
「私のファンからの贈り物だな」いつも何かしらくれる人がいてな
風景画の男性。
「僕は宅配で。」僕の方も匿名でしたけど・・・
静物画を描いた男性。
「ドールが持って来た」お手伝いのドールが。郵便受けに入ってたって。名前は知らない人からだった。
抽象画の女性。
「ペポーナで絵を描いていたのを見ていた者から」「応援しています。これはほんの気持ちです」と
メッセージ付きで贈られてきた。
ペポーナからの郵便だな
キリンの絵の男性。
「え?画材メーカーの社長から贈られてきたぞ?」
新製品のサンプルです。貴方に書いて確かめてほしいのでお贈りしました。
よければ今度の感謝祭用にこの製品をお使いください
そんなメッセージが付いてた。これだな
そう言う"悲しみのドール達"の作者のマルコ。そして胸からメッセージカードを取り出す。
「皆匿名で最後はメーカー?皆何も疑わずに受け取って使用したと。
メーカーの方には問い合わせたんですか?」
「お礼の電話はしたかな?ありがとうございますって返事が来た」
「筆持ってる方、ここに置いてくれませんか?鑑定したいので。
嫌なら見せるだけで・・・上に上げるとかで。
はい、ありがとうございます。鑑定」
皆腕を上げ見せてくれた(一部イヤイヤ)ので鑑定する。
結果
「高級なてんや豚毛、馬もある?皆希少種か保護された子達だね」
無理矢理採取したから怨みや痛みの念が籠ってる。
それを吸収して力に変えるって感じで金運上昇とか開運とかのまじないがかかってる。
描いた人たちの運が良くなったのはこのまじないのせいかな。
流石に念の全てを変える事は出来なかったから、怨念は家族とか身内に行ってるね。
術者の力量はうん、悪くはないけど2流ってトコかな。
きちんと学んだわけじゃ無いみたいだ。
部分的におざなり。勿体無いな。雑な所があるし、と言うアルマート。
「そこまで分かるのですか?」
フランシスカが聞く。
「術ってクセとか出るからね。術者の。分かる人は分かる。
これ皆1人の人間がまじないをかけてるよ」
そう断言する。
ドールの絵の方も同じだけど。うーん?これは・・・
ドールの絵は画家さんと筆の波長が合っちゃってるみたい。
筆の材料と画家に通づるものがあったのかな?効果が倍増してとんでも無いことになってる
とアルマートが言うと、画家たちがマルコからササッと離れる。
「それはまた、厄介な事になっているのね」
見知らぬ声が響く。
声のする方に目を向け驚くフランシスカ。
「総理!いつの間に!」
後ろからひょこりと審査員も顔を見せる。
「あーこれはまた、皆さんお揃いで。絵画達も元気みたいだねぇ。
"悲しみのドール達"も相変わらずの禍々しさ」
その後ろからも人が出て来て会釈をする。
「どうも皆さん」
隣に男性。秘書だろうか。
さらに後ろから。
「なぜ私も?あまり近づきたくはないんだが」
嫌そうな顔の男性。
警備員が申し訳なさそうに出てくる。
「ご案内したら丁度話の途中で・・・。申し訳ありません」
「リリカ・デュモン首相と、特別審査員のフリードラン・コラルさん。
絵画展の会場の美術館館長のマルグリット・ルロワさんと秘書の方。
そして審査員の1人で絵の具メーカー社長のカロージェロ・ルッソさんです」
フランシスカが紹介する。
「皆嫌がって、くじ引きで私がここに。私にも用があるのだろう?」
カロージェロがチラリとアルマートを見る。
「ええ、色々と。"悲しみのドール達"の画家に絵の具を贈ったかどうか、とか。ないですよね?」
「ああ、ないぞ。確かに彼のファンではあるが」
絵の具を贈る場合はスポンサー契約を結んでから贈る。パトロンと言った方が正しいか。
ルールを作ってな。我が社を騙った詐欺だろうな
とカロージェロが言う。
「え?そうなのか?この番号あんたのトコのだろ。ロゴも本物だったし」
メッセージカードを見せる。
アルマートが受け取り社長に渡す。
「確かに我が社の番号だが・・・この番号はもう使っていない」
「は?」
「あ、ホントだ。数年前に引越しした時にやめてますね。詐欺に使われた? ロゴは本物だ」
端末で調べたアルマートが言う。
「じゃあ誰かがロゴを使ってヤバい絵の具達を贈りつけたって事?」
とコラルが口を挟む。
「他の人も似たようなものかな?」
でもなぁとアルマートは考える。
密猟・密輸組織の手の人が贈って絵を描かせて、出展させて混乱に・・・ってなんか意味分からん。
落選する可能性を全然考慮に入れてないなんて、ずさんな気がする。
必ず『鑑定』かけてから絵の審査をするって聞いた事あるんだけど。
以前絵に『魅了』をかけた人がいて、その対策だっけ?だから鑑定スキル待ちにはバレる。
審査員達は勘がいいから絵はここに保管したんだし。
首相はきちんと公務もしており支持率も高い。




