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Galaxy Trail  作者: 紀之
人類側の反撃

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第三十六話 反撃の狼煙




 シュトロン星系・惑星トマ近海


「これは・・・?」


FOカンナエのコクピット内でサークレイスは困惑していた。


ペイリオコン級大型偵察艦から(もたら)されたデータ。


そこには標的の1つである、カデシュの姿が見た事のない姿へ変わっていく。


20秒後にはフォトンスマッシャーがカデシュを飲み込み、背後のコルンをぶち抜きその背後にあるカルブンクルスと数千キロ離れた直線上にある秘密基地ともう1つの艦であるガランを宇宙の藻屑としてしまうはずなのだ。


『サークレイス、もう一度出る!仮にスマッシャーを防ぎ切ったとしてもカデシュもボロボロのハズだ。奴だけは確実にここで破壊しておかねば!』


「オーシャ、それなら我が部隊のスペースタイプのバノックバーンを連れていけ。あの形態は機動性や運動性は低い。確実に遠距離から落とせ!」


「恩に着る」


惑星コルンでの戦闘での破損を修理したオーシャ率いるエスノセントロン級強襲揚陸艦が6機のバノックバーン・スペースタイプを積み込むと即座に発進、カンナエの目の前で再びコルン近海へとスペースジャンプした。


「同じ5柱のハズだ・・・なぜ奴だけが強化や変身機能を発現させることが出来るのだ?」


サークレイスは自身の呟きが機械人間と有機人間の立場を逆転させうる事になる事に気が付くと考えを即座に改める。


「同じ5柱だ!同じ条件ならば奴を倒す事が出来るのが道理というものだ!」


彼の意思に応えるようにカンナエのフォトンスマッシャーのエネルギーが上昇、最大出力を3割以上上回るオーバーフローを引き起こしながらカンナエの全身から咆哮(ほうこう)に似た軋みをトマ近海に響かせた。



シュトロン星系・惑星コルン近海


フォトンスマッシャーの青白い極光を前にカデシュ・ダンType・Dのメインパイロット、牧野琴音は翼を本体から分離させる。


大きく上下2つのパーツで構成されるType・Dの翼は巨大な白い羽の部分と紫がかった青いスラスター部分がそれぞれ菱形に合体する。


「フォトンフィールドを前面に、プラズマシールドを真後ろに。出力調整を優歌ちゃんと北条君にお願いします!レンさんは索敵を!」

「「分かった!」」


青い菱形(ひしがた)の周囲に緑色のフォトンの『盾』が発生すると同時に白いシールド表面が電磁エネルギーでオレンジ色に発光する。2つのシールドを担当する相羽優歌と北条翔はカデシュ・ダンType・Dの目の前に展開させる。


「了解!連中も取りこぼしの可能性を考えるだろうからね」


(後は私にこの子を上手く扱えるか・・・皆が助けてくれるとしても最後は私の腕次第なんだ!?)


「来るよ!」


「全員衝撃と光に備えて!!」


優歌の掠れた声とレンの警告がコクピット内に同時に響く。


膨大な熱量を持つフォトンスマッシャーと同じくフォトンフィールドが干渉しあい、昼間のような明るさのスパークがコルンを包む。カデシュ・ダンのコクピットモニターは自動で減光処理を行うがそれでも翔達が外を直視する事は不可能なレベルだった。


「ウソ・・・こっちが溶けちゃう!?」


「想定以上の威力!?これじゃどっちも持たない!!北条君、シールドを繋げて!?」


本来なら2つの盾を並べてスマッシャーの威力を殺して防ぎきるつもりだったのだ。だがスマッシャーの威力はカデシュどころか後ろの惑星さえ貫通し、シュトロン星系を文字通り横断するだけの威力と射程を持っていた。


「よし!頼むぞ!?」


サブモニターの3Dモデルとレーダーを頼りに翔はプラズマシールドの中央にフォトンフィールドに接続する。


「フォトン偏向機・・・発動!」


琴音もサブモニターを見ながら2つの盾の合体時の機能を遠隔操作によって発現させた。


合体盾は中央で受けていたスマッシャーとの間に不可視のフィールドを形成、フィールドはスマッシャーを無数の細く青いフォトン光に変えて周辺へと拡散させていく。


光が消えた時スマッシャーのエネルギーも大盾も消滅した。静寂の宇宙空間がカデシュ・ダンの目の前に広がっていた。


「やったか?コルンへは!?」


「当たってないよ!琴音最高!」


それは背後のカルブンクルスには1発も攻撃が当たっていない事を意味していた。


快哉(かいさい)を上げると翔と優歌、安堵のため息を吐く琴音。だがレンの緊張した声でコクピットの空気は再び緊張に包まれる。


「真上から熱源!!さっきのトリモドキのいた戦艦だよ!」


彼女の声より少し遅れてセンサーが警告音を立てる。円状のレーダーには彼女の言った通りの場所を指し示していた。同時に円内にカデシュ・ダンに向かって猛烈な火線が示され、同時にヘイスティングスのフォトンスナイパーライフルの直撃がType・Dの右肩に直撃する。


「ウイングの生成に時間が掛かってる!?さっきのバリアーは出来ないよ!」


揺れるコクピットで優歌は悲鳴を上げる。


「なら攻撃に転じるしかない!牧野さん、動きを止めたらダメだ!トリモドキに掴まったらどんな装甲も意味をなさない!」


「はい!皆さんサポートをお願いします!!チャリオットモードチェンジ!」


琴音はカデシュ・ダンType・Dの両脚前面部分が90度跳ねあがり、元あった足の前面に両腰の拍車部分がレールに沿って移動する。


カデシュ・ダンType・Dの簡易可変による高速機動形態・チャリオットモード


原型機のType・Dの機動性の低さを補う為にカデシュの電子頭脳が弾き出した強化形態である。


カデシュ・ダンType・Dは拍車部分からスラスターを吹かし、宇宙空間をドリフトしながら滑るように敵の光弾を回避。Type・Dの機体が270度回転したのとテルモピュライの鋭利な爪の踵落としが左肩アーマーを斬り飛ばした。肩アーマーはすぐさま半分ほど生成される。


「だが、懐に入れば!」


オーシャの気合一閃、回し蹴りと同時に右足のアンカークローを射出。


「前に・・・出る!!」


琴音は機体の上半身を90度捻ってスレスレで躱すと言葉通りアンカーに沿って前進し、アンカークローを左腕を水平に振って鏃状の刃でリールを斬り捨てた。


「聞いていた戦い方と違っている!?」


振り抜かれた敵の左腕を上昇して躱したオーシャはすぐさま急降下をテルモピュライに命じる。


「北条君はプラズマバリスターの起動を!レンさん、照準を!!」


琴音はカデシュ・ダンの脚部のスラスターを吹かし機体の位置をテルモピュライと敵艦を一直線に並ぶ位置へ飛ばすと同時に両腕を敵に向けて伸ばす。


「バリスターセット!」」


「照準いいよ!」


「バリスター発射!!」


両前腕部の(やじり)状のパーツが音速で飛ぶ。1つはテルモピュライのインパクトキャノンで吹き飛んだが、もう1つは衝撃波を抜けてテルモピュライの右足を切断、その後ろで砲撃を続けていたバノックバーン・スペースタイプの胸部を貫いた上にエスノセントロン級強襲揚陸艦の右舷に縫い付ける恐るべき威力を見せた。


「信じられん!質量射撃兵器がここまでの威力と射程を見せるだと!?」


言葉と裏腹にオーシャの口元には笑みが浮かぶ。目の前の強敵を前にしていかにして攻略するかという1人の戦士としての戦闘回路がフル回転を始めたのだ。


彼女の回路は先程の武器が直線しか飛ばない以上、機動力を生かして相手の死角に回り込み続ける事を瞬時に回答として弾き出す。


「う・・・!?」


突如ヘーレム軍の上方からフォトンの雨が降り注ぐ。完全な想定外の攻撃にヘーレム軍に動揺が広がる。


『司令、人類連盟の別部隊が出現。新型FOと思われる機体10機と新型艦1隻を確認』


「・・・・引き上げる!エスノセントロンは直ちにスペースジャンプの用意!」


直掩(ちょくえん)についていた、ヘイスティングスの1機がフォトンバズーカに撃ち抜かれ爆散。爆光に照らされながらエスノセントロンは加速しつつ、砲撃を行い艦載機が格納庫へ帰還するのを援護する。


機体を全て回収した揚陸艦はズングリムックリした寸胴のFO、コルトレイクのフォトンバズーカを回避しつつ、コルン宙域から消え去った。


「あれ!もしかしてレガスさんの部隊かな?」


「かもな・・・」


翔は1列横隊でこちらへやってくるコルトレイクの動きをはしゃいでいると感じる。


カデシュ・ダンは形容しがたい形をした新型艦の集合合図の光通信に従い、機体を上昇させた。


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