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Galaxy Trail  作者: 紀之
人類側の反撃

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第三十三話 廃星コルンの死闘(前編)




頭から倒れ込んだカデシュ・ダンType・Gはカルブンクルスの格納庫の床を火花を上げて滑る。ハリオら整備員やカルブンクルス艦長ルツは怒声や悲鳴を上げて機体を避ける。


「く・・・グッ!?」


レンは機体の四肢を踏ん張る。金属を引っ掻く嫌な音が格納庫中に響く中、カデシュは機材を吹き飛ばしながら奥の壁から数ミリの場所で停止した。


「急げ!機体の金属分子を採取!そん後で分子カプセル注入!」


カデシュの周りに群がる整備員が早急に作業を開始する。


「ラナは大丈夫なの!?」


コクピットハッチが開くなりレンは整備員に尋ねる。


だが畑違いの整備員に分かる訳はない。


格納庫を時に大きく、時に小さく振動が襲う。


「カルブンクルスがこの程度ならまだ生きているんじゃない?」


「わかるもんか!?大体・・・」


相羽優歌の言葉に拳を振り上げるレン。だがそれが彼女なりの励ましだと気が付いてドスンとシートに座り直す。


「補給はどの位かかるんです?」


「5分だな」


整備員の1人が自分の質問に答えてくれた事に北条翔は短く礼を言うとドリンクをレンに投げ渡す。


「長い!」


「短いよ!艦の外壁塞いで惑星コルンに突入準備しながらカデシュに最低限の『栄養補給』してカーカスと交代させるんだから」


ルツがこれからの行動をパイロット4人に手短に話す。


「そんな・・・振り切れないんですか!?もしかしたら私達を釘付けにする為の捨て駒部隊かもしれないのに」


牧野琴音はその決定が自分達は今の敵と正面から戦う事だと悟る。そしてそれが敵の思う壺だと考えたのだ


「相手の艦は新型らしい。それをむざむざ消し飛ばすなんてことはしないはずだ」


「ワクチン投与完了!!通信も直に回復する!!艦長は元の席に帰んな!」


ルツの声を遮るようにハリオの声が響く。


ルツは肩をすくめてウインクすると格納庫から去って行く。


「本当に5分で終わらせる気なんだ・・・」


優歌と目が合ったハリオは矢継ぎ早に(まく)し立てる。


「カデシュも発進準備しておけ!!カーカスじゃ大気圏突入は未知数だからな!」


「あたし達もやった事無いよ!」


「タラスに出来るんならそれより強いカデシュだって出来るってモンだろ!」


大気圏突入


ロボット物の定番の状況。


だが翔の心は弾むどころか緊張感による雁字搦めで沈没寸前だった。


(確か、大気圏突入って科学的には物凄く危険なんだよな・・・それを戦いながら出来るのか?)


チラと3人の少女達を盗み見て彼は言った。


「レン、地球に来た時大気圏突入ってどうだったんだ?」


「戦う事は難しいよ。ただ突入するだけならグラビティ・リフターが働くから楽だけど」


「なら俺に代わってくれ。敵FOも新型の可能性もあるし、消耗しているレンには大変だろ?」


「何とかするよ」


「いや、少し休んでおいた方が良い。強化形態は何だかこっちの力が吸い取られる感じがするだろ」


「・・・そうだね。ここは経験者の言葉に甘えるか」


レンは翔柔らかい笑顔を返すと真っ赤になっている優歌をわざと無視して再びシートに座りこんだ。


『カデシュ!発進態勢へ』


カルブンクルスのオペレーターからの通告が休憩時間の終わりを告げる


「いつでもいけます!発進後Type・GからType・Nへ変身します」


 『了解!』


「カデシュ・ダンの金属分子内のサンバルテルミワクチンのおかげで回復速度が早まりましたね」


オペレーターは安堵の表情をブリッジに戻って来たルツに向ける。


「元々一緒にあったんだ。いわば兄弟みたいなもんだからね」


彼女は目元をキリっと上げると


「カデシュ発進後艦体を反転!全員耐ショック体勢!!カーカス収容後コルンに入る!」


たった数時間の事なのに艦内に響き渡るルツの声をクルーは久々に聞いた様に感じた。その後の彼らの動きと表情は目に見えて希望に満ちていた。



「カデシュ発進を確認。敵移動砲台は後退を開始」


エスノセントロン級強襲揚陸艦ブリッジのオペレーターは淡々とした戦況の報告を告げる。


「来たか!エスノセントロン加速!カルブンクルスより先に惑星コルンへ突入後私を含めた第二部隊を展開。連中を挟撃する。第一部隊は敵を釘付けにしておけ。ヘイスティングスとはいえ油断すると落とされるぞ」


『ハ』


穴だらけの四分の一カットに切り取られたケーキ状の攻撃砲台カーカスを追い抜いてエスノセントロンは猛スピードでコルンへと突っ込んでいく。


「あいつら!こっちを挟み撃ちするつもりか!?」


「ラナ、カデシュが来た!交代しよう」


「助かった!もう頭が限界だったんだ!!」


「連中の狙撃に気を付けるように光信号を出して!スピードの緩急が肝要、てね!?」


ラナは自分の言葉の通りにカーカスのスピードを落とすと3秒待って再加速させる。


フォトン光がカーカスの眼前の空間に切り裂いていく。


カーカスは総舵手2人とガンナー1人の3人のパイロットによって運用される。ただしリミッターを解除する事で誰か1名が機体の操舵と攻撃両方を兼任する事が出来る。


「クッソ!こっちをおちょくりやがって!」


ラナの左前方の男性パイロットが頭を押さえながら後方の闇を睨みつける。反撃をしないのは単に届かないのが判っているからだ。


「余計な事言ってないで機体を左右に動かして!」


敵の新型は狙撃砲で相手の中枢部を撃ち抜いて撃破もしくはこれによって釘付けにした相手を高速機動による格闘戦で破壊する戦法を得意とするようだった。


それらの情報を圧縮した構文を光暗号で受け取った翔はカーカスと交錯する一瞬機体の速度を上げると同時にカーカスを庇うように前に出た。瞬間、1条のフォトン光とその左右から4つの鉤爪が振り下ろされた


「しまった!警告されたのに反応が遅れた・・・!」


両腕をクロスしてフォトンを防いだカデシュを2機のヘイスティングスの両脚にガッシリ掴まれて振り回される。


「また変なのが出てきた!?」


優歌の指摘通りだった。彼女のモニターには異形すぎるシルエットに挟まれていた


暗褐色の機体、ヘイスティングスは頭部そのものがスナイパーライフルになっており両腕はコウモリの様に翼と一体化している。腕が事実上存在しないも同然な為脚部と爪の可動範囲は非常に広い。


(3機目の狙撃で倒すつもりか・・・?ならば!)


翔はカデシュの両腕の前腕装甲をフォトンライフルに変形させ本体から分離、ヘイスティングスの拘束を逃れると1つを盾替わりにスナイパーライフルを防ぎつつもう一方で右上のヘイスティングスを撃つ。


「華奢な見た目で直撃を耐えるの!?」


琴音の言う通りだった。


彼女らは知らなかったがヘイスティングスにはメカニオームの技術が数多く投入されている。その為見た目に反して非常に頑健な可変機として完成したのである。


3機のヘイスティングスはカデシュに反撃することなく眼前の惑星コルンへ、いやコルンへ突入を図るカルブンクルスへ向かって突っ込んでいった。


「速い!スラスター光が見えなかった!?」


「もしかして、あのメカニオームの反重力装置が組み込まれているんじゃないでしょうか?」


「牧野さんの言う通りかもしれない。アイツはミニ・メカニオームと思って対応しないといけないな」


3機を追う翔はライフルの出力を上げると敵中央の『首筋』目掛けて狙撃。左右のヘイスティングスが散開、中央の1機はスナイパーライフルのスコープを回転させると同時に回避3本の手指に当たる部分からのフォトンバルカンの斉射を3機が同時に行った。


「仕留める!」


3方向からのバルカンを受けつつも体当たりを掛けるカデシュに機体を反転させたヘイスティングスの爪が襲い掛かる。


「カケル!?」


「く・・・!」


クワガタに似た顎で敵機の爪を咥え込むとカウンターのハンマーパンチでスナイパーライフルを破砕し、クローがヘイスティングスの胴体にめり込んだ。



「ヘイスティングス1号機信号途絶・・・!」


エスノセントロン級強襲揚陸艦ブリッジのオペレーターは生まれて初めて動揺した声音を発する。


『5柱は5柱で対処する。他機は陣形を崩さぬように!』


「まさか・・・」


『テルモピュライは大気圏を離脱し、カデシュを抑える!』


オーシャは白い鳥人そのものといった5柱の1機、テルモピュライの巨大な翼を広げるとヘイスティングスに似た飛行形態に変形すると頭上の星々目掛けて一直線に機体を加速させた。


コクピットのモニターの景色が暗いグレーから真っ暗闇へ変わった瞬間、オーシャは遂にカデシュをその目で捉える。相手は仕留めたヘイスティングスを盾にしてその影に隠れた。


「なるほど・・・良い判断だが、それはテルモピュライには無駄な行為だ!」


テルモピュライがカデシュを通り過ぎた瞬間、盾に隠れていたカデシュの首筋に爆発が2発炸裂し、体勢を崩す。


明らかに動揺しているカデシュをテルモピュライは両脚の爪で掴むと惑星コルンへ諸共に落ちて行った。


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