表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法を捨てた最強格闘家、現代日本へ ~異世界最強なのに法律では最弱でした~  作者: 伝説の男前
第一部 転移・順応編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/107

第19話 「空が、軋む」

 異変は、深夜二時に来た。


 枕元の現場スマホが震えた。理央からの着信、二十七件。


『空!! 空見て!! 新宿の北北西!!』


 縁側に出た俺の隣に、屋根から降りてきた真琴が音もなく並んだ。


 見えた。


 夜空の一角に、細い、細い、光の筋。長さは月ふたつ分。まるで、夜という布に入った、ほつれ。


 俺の左腕の腕輪が、ジ、と低く鳴った。


「……レオン様。あれは」


「裂け目だ。俺が落ちてきたものの、ずっと小さいやつ。……真琴、下がっていろ、とは言わん。だが何が出てきても、手を出すな。まず俺だ」


 だが、何も出てこなかった。


 裂け目は数分間、夜空に細く光り、そして、閉じた。あとには何も残らない。星が、何事もなかったように瞬いていた。


 ――何も出てこなかったことが、逆に、恐ろしかった。


「今のはね、『ノック』よ」


 翌朝、機材を担いで駆けつけた理央は、寝癖のまま断言した。


「向こう側の誰かが、扉を叩いて、強度を確かめた。本命を通すための予行演習。……観測データが全部そう言ってる。裂け目が開いた瞬間、あなたの腕輪の漏出が、跳ねた。同期してるの、完全に」


「俺の魔力が、扉の蝶番に使われている、ということか」


「蝶番っていうより、たぶん――鍵穴」


 その日のうちに、動きは連鎖した。


 美咲の署では「未確認飛行現象の通報多数」の報告が上がり、氷雨の事務所には官邸筋から「例の少年の件で内密に」と打診が入り、そして夕方、与太郎邸に黒い車が三台、静かに停まった。


 降りてきたのは、いつかのスーツの男。真琴の上司、内閣官房の鷹峰(たかみね)と名乗った。


「単刀直入に申し上げる。政府は、昨夜の現象と、あなたの関連を把握している。……レオン・アークライト君。近く、あなたの『同郷の方々』が来ると考えるべきかね」


「おそらくは」


「それは、軍隊かね。それとも」


「わからん。だが、最初に来るのは軍じゃない」


 俺は、断言できた。理由は簡単だ。俺があの世界の連中なら、英雄の捜索に誰を出すか、考えるまでもない。


「――一番足が速くて、一番諦めの悪い奴が来る」


「ほう。それは厄介な相手かな」


「厄介だぞ。なにせ」


 俺は、遠い夜空を見上げた。


「俺の幼馴染だ」


(第19話・了)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ