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二十四章 友達

 千風の天恵で携帯電話を《再生》し、警察に連絡を入れる。

 連絡の後、千風は愛理に話しかける。

「愛理、警察への説明は、私一人でも十分ですから。帰っていてもいいですよ」

 千風の気遣いに愛理は首を振る。

「依頼主を一人で家に帰す気? 依頼は、家に帰るまでが依頼でしょ?」

「さっき、依頼はもう終わり、って言ってたくせに……」

 二人は笑いあった。笑う体力も残っていない、と思っていたが、自然に笑みがこぼれた。

「――よく、ブルーシートが絶縁体って知ってましたね」

 千風が何気なく問いかける。

 問いかけられた愛理は、答えにくそうに頭をかきながらも、正直に答える。

「いや、知ってたわけじゃなくて、なんていうか……勘?」

 思わず、ずっこける千風。

「か、勘で思いついた作戦を、あの状況で提案したんですか!? もし、私も知らなかったら、ものすごい賭けになってたんですか!?」

「あれよ。よく言うじゃない、『結果オーライ』って」

「……まさしく、な言葉ですね」

 千風は少し、呆れ気味だったが、笑顔で語る。

 しかし、その表情を、少し曇らせて、愛理に問いかける。

「――愛理」

「何?」

「私、小さい頃から、友達っていなかったんです。両親が死んでからは特に……だから、友達って、どうやってなるものか分からないんです」

「……」

 千風の話を、愛理は黙って聞く。

「愛理は、何で、私と友達だって言えるの? 友達になるために、何が必要なの?」

愛理は、千風に答えた。

「何も必要ないわ。しいて言えば、名前を教えあって、お互いの名前を呼び合って、握手をしたら、もう友達よ」

 愛理の簡単明快な答えに、千風は呆けた表情を見せる。

 しかし、やがてそれは、笑顔へと変化する。

 その千風の笑顔を見て、愛理も笑顔になる。

 二人は、また、笑いあっていた。


 その後、警察が来て、高峰を逮捕し、連行していった。

 愛理と千風も事情聴取のために、警察署まで連れて行かれた。


 この日から、愛理の日常は、少し変化することになった。


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