父の仕事
「クライド、部屋に行く前に少し父さんと話しをしないか?」
珍しく真剣な表情で父は話を切り出し、俺は立とうとした席に座り直した。
「前に俺の仕事について、気になっていただろう?
お前も15歳になって物事の分別が正しくできるようになっただろう。だからそろそろ、本当のことを伝える良い頃合いだと思ってな。」
不意に来たその話題に俺は身構えた。
(前の世界の常識なんか通じない、一体どんなことを…?)
「俺の仕事、それは……。」
俺はゴクリと息を呑んだ。
「それは…?」
「それは……
住民達の依頼を受け、解決することだ!」
俺は呆気に取られた。
「ああ、言いたいことは分かる。何でそんな事を重大そうに隠していたのか…だよな?」
父は焦ったように言葉を付け足した。
「俺みたいな領主は稀だ。
だけどそんなことを知らずに、中途半端な領主の知識を持ってるやつに、依頼を解決するのが領主の主な仕事だって伝えてしまったらな、元々あった正しい知識が丸々間違ったものに変化してしまう。
そんな間違った情報は自分だけで持っているだけならまだしも、他領土の住民に伝わってしまうとどうなる?
領主ってのがただの依頼をこなす住民の使いっ走りに成り下がっちまう。元々、強い力を持ってる者が領主になるんだ。だからもし、依頼をこなしてくれない!仕事をしない!
なんて言って暴動が起きたら鎮圧してないといけない、場所によってはあり得ないほど大きな暴動が起きて、それを鎮圧するってなったら、一瞬で領土は焼け野原になる。だから正しい知識をつけて、正しい判断ができるようになってからじゃないと伝えられなかったんだ。」
分かってくれるか?そう繋げて父は話を締めた。
(確かに納得は出来なくもない。だけど……)
「はああぁぁぁー。」
俺は身構えていた分、余計に衝撃が強く、無意識に大きなため息をついた。
(そんな事に俺は何年も警戒していたのかぁ。まあ、これが本当なら大事じゃなくて安心だな…)
なんて安堵の気持ちになったのも束の間、
「理解してもらえたところでよかった。これで本題へ移れるな。」
(これまでが前置きかよ!?)
一体どんなでかい話が来るのかグルグル頭の中で考えていると、直ぐに答えが父の口から告げられた。
「今日も住民から依頼が来てる。
そこでだ!今日、お前には依頼をこなして、経験を積んでもらうことにした!」
俺は斜め上の回答に、目を見開いて絶句した。
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