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殺人鬼、異世界で領主となる  作者: 境野 忌月


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4/9

疲労と謎

俺は訓練を終えて、クライナは


「私は食事の用意があるので先に戻ります!」


と言って足早に屋敷へと走っていき、俺もそれに続いて屋敷へと戻った。


* * *


「お待ちしておりました、クライド様。」


俺はその声を発した人物を見て、顔をしかめた。


「何か私の顔に付いているでしょうか。」


「いや、何にも…。」


少し目を逸らして答える。


彼女は普段は屋敷の金銭の管理をしているメイド、『セレン』だ。

そして……。


「ではお勉強の時間です。」


俺に勉強を教えるメイドでもある。


(戦ってきて疲れてるってのにここから勉強かよ…!)


彼女の授業は分かりやすい。だがあまりにも厳しい。少し姿勢を崩したりするだけで鞭が飛んでくるのだ。


(知識が必要なのは分かる。だが少し態度が悪かったり、姿勢を崩しただけで鞭が飛んでくるのはなぜ!?)


そんな無限とも思える地獄の時間が過ぎ、勉強の時間が終わった。


「お疲れ様でした。そろそろ食事の準備が終わる頃でしょうし、食卓へ向かいましょうか。」


俺は立ち上がりフラフラと食卓へ向かった。


* * *


食卓へ着いた時、両親は既に席に着いていた。

そして俺が席に着いた時、丁度料理が完成したようで料理が運ばれてきた。


「いやー!今日もかなり絞られたみたいだな、クライド!」


豪快に笑いながら、そう言う男は俺の父でありここ【カラクス】の領主を務める、『フォルカ•フラスタル』だ。


「お疲れ様、クライド。」


父とは対照的に、優しく労いの言葉をかけてくれるこの女性は俺の母『フォルカ•リリス』だ。


「戦いも勉強もきつすぎるよ。領主って土地の運営とかさ、そう言う事務的なものをやるって本で読んだから勉強するのは分かるけど、どうして僕は戦う訓練までさせられているの?」


俺は疲れた声で質問した。父は


「俺たちの世間での印象、立場は貴族に近い。そしてここら一帯の治安はあまり良くない。だから身代金が目当てでお前を誘拐しようとしてくる輩も出てくる。常にお前に護衛を付けられるわけじゃないから、自分の身は自分で守れるようにならないといけないからだ。」


とキッパリと答えた。じゃあさ、と続けて俺は質問した。


「お父さんはいつも具体的に何をしてるの?」


父の表情は少し曇り、少し間をあけてから口を開いた。


「えーっとだな……そう!領土の自然とかの管理や、領土内の経済の調査とか他の領主と同じようなことをしているな!」


具体性は多少あるものの、曖昧な返答が返って来た。


(少し探りを入れてみたが、やはりはっきりとは答えないな。メイドに聞いても答えないし、尾行も許されない。一体何を隠している?)


怪訝な表情が出てしまっていたのだろうか。父はおもむろに話題を変えて、盛り下がった場の雰囲気を取り繕おうとした。


(息子に伝えられない秘密、裏で動く両親。

今は彼女のような人は近くにいない。だがもし、もし彼女のようなことが起きてしまったら……。)


思考が嫌なもので埋め尽くされて、いつもは美味しく感じる料理は味がしなかった。












読んで頂きありがとうございます。

もし気に入ってもらえたら、今後とも読んで応援してくれると嬉しいです。

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