何も分からないな
(転生したのか?本当に?)
そんな事を思いつつ辺りを念入りに観察していると、
(何だ、この線は)
部屋にいる人間から謎の線が俺に伸びている事に気づいた。
(さっきまでこんなのあったか?)
触れようとして手を振ってみるが、触れられる気配は一向に無かった。
謎の線に気づいた直後、部屋にスーツを着た初老の男が少し焦ったように部屋に入ってきた。
俺を抱き上げていた男に耳打ちすると、彼はそっと元いた場所へ俺を寝かせ、初老の男についていき部屋を出ていってしまった。そんな事を見ている内に、何も情報を得られぬまま、俺は深い眠りについてしまった。
* * *
目が覚めると別の部屋へと移されていたようで、フカフカのベッドの上にいるようだ。
側には目を奪われるような純白のワンピースを着た、金髪のストレートヘアの綺麗な女性がおり子守唄のようなものを歌っていた。
相変わらず何を言っているのかは分からない。
だが不思議と心地いい。母親なのだろうか。
先ほどのように辺りを凝視してみると、また線のようなものがこちらに伸びているように見えた。その線には触れられないはずなのに、不思議と温もりが感じられた。
部屋のドアの隙間から外を見てみると、メイド服を着た女性たちがバタバタと忙しなく動き回っていた。
(さっきの俺を抱き上げた男が父親?そいつは今どこへ行ったんだ?何も分からない。)
だが、この人の服やメイドがいる様子を見るに、ここが裕福な家庭であることは予想がついた。
そして、
ふと『家族』なんて薄っぺらい言葉が頭に浮かんだ。
俺はここの人たちを本当に信じていいのだろうか。
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