信じ難い事に
「まだ、まだ終わるわけにはいかないのに……」
俺は雑木林を走りながら呟いた。
「はぁ、はぁ、やっと追いついたぞ!殺人鬼が!」
男は俺に飛びかかって馬乗りになり、言葉と共にナイフを俺の背中に刺した。
「ぐあぁぁぁ!はぁ……あぁぁぁぁ!」
刺された場所に強い熱と痛みを感じ、悲鳴が口から漏れる。
「いっちょ前に悲鳴なんかあげてんじゃねえよ!俺らの家族を殺しといてよ!今までにやってきた罪の重さを思い知れよ!」
何度も体にナイフを刺され、痛みが全身を巡り徐々に頭がクラクラしてきた。
(俺のやってた事は正しかったのだろうか。
人を殺しておいてそんなわけないか。あれに……気付けて…ればこんな…事には……あ…も…いし…き…が)
俺の視界はブラックアウトした。
* * *
ろくなやつじゃなかったな、俺も親も。結託して人を陥れて、あまつさえ人の命を奪ったクソ野郎だ。
あぁ結局、清算できなかったな。むしろ罪を重ねてしまったかな。
もっと早く気づければ、疑っていれば、知っていれば、失わなかっただろうか。あの娘との日常を。
償いたい、あの罪を。
あの娘と面と向かって話せるようになるために……。
* * *
(…………うっ……ここは?)
気がつくと目に光が差していた。
(光?どうして、天国だとでも言うのか?俺が行けるような場所じゃないだろ)
なんて考えていると、大きな男の声が頭に響いた。
「────!!!」
(何て言っているんだ?全く聞き取れない)
周りを見渡すと、俺は謎の装置が設置された白い部屋に、男と複数の人間と一緒にいるようだ。
(この男と周りの人達は誰だ?捕まった?いや確実にあれは致命傷だったはずだ。
何が起きたんだ?あの後俺はどうなった、それよりもこいつらは敵なのか、何なのかをはっきり─)
身構えようとした時、俺は先ほど大きな声を発していた男に抱き抱えられた。
部屋全体、状況を見て察した。
信じ難い事に俺は転生して、赤子となってしまったと言う事を。
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