表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
盲目遊戯 2  作者: Svolik
43/47

第四十三章

知らせを待つ時間は長かった。


ただ、長かった。


最初のうちは、その言葉もまだ耐えられるように思えた。たしかに、別の国への道だ。旅。準備。交渉。古い地図。よその権力。国境。ゴルゲラニスでさえ語りたがらず、アイリがあまりにも真剣に語った迷宮。


だがやがて、「長い」という言葉の味が変わりはじめた。


日々は日々ではなくなり、アイリが戻ってくるまでの間隔になった。


最初、彼らは普通に生きようとした。訓練、手紙、ギルド、家、エル=ラエンからの報告、サイラエルからの慎重な知らせ、買い出し、デイロンやカイレンとの話し合い、街が彼らの庭を巡礼地に変えないよう抑える試み。


だが明確な答えが来ない時間が長くなるほど、普通のことは生活ではなくなり、扉を見ないための方法になっていった。


アイリは来た。


疲れていた。


ときには、この身体の足でその道を歩いたわけではないのに、目の奥に遠い道の埃を宿していた。ときには、冷気と、死んだ石と、何か乾いた白い骨のような匂いをまとっていた。彼女は卓につき、水を受け取り、彼ら全員を見て、言った。


「まだ進んでいるわ」


それでは足りなかった。


その次は。


「オルム=サーイに着いたわ」


その次は。


「白き陥没孔へ入るのは、思っていたより難しい」


その次は。


「ヘラが言うには、あそこはマルブルクとは似ていない。いるのは魔物というより、時々、生きているほうが気に入ったと決める魔物の記憶だそうよ」


そのときメイは短く言った。


「詩、大嫌い」


ノエルはすべてを書き留めた。


一語一語を。


断片の一つ一つを。


実用的な意味がなくても。いや、ないものほど。知らせと知らせの間の空白が大きすぎて、記録がその縁になったからだ。


ベラは家を保った。


文字どおりに。


誰かが崩れかけると、彼女はそばにいた。長く慰めはしなかった。ただ肩を置き、言葉を置き、視線を置いた。メイが苛立てば、ベラは彼女が倒れるまで訓練を与えた。リニが沈黙へ落ちれば、ベラは黙って水を持ってきて、彼女がまた均等に息をしはじめるまで隣に座った。ノエルが計算に溺れれば、ベラは本を閉じて「食べろ」と言った。ゴルゲラニスが長すぎるほど北東を見つめていると、ベラは邪魔をせず、ただ視界の中に残った。ここにも場所があると思い出させるように。


マリィは、ほとんど家とギルドの間に住みついた。


手紙を運び、好奇心の強すぎる者たちを追い払い、供給業者と口論し、デイロンとやり合い、あまりにも多くの書類を書いた。そしてある日、ノエルに認めた。


「待つほうが遠征よりひどい理由が、わかりはじめました。遠征なら、少なくとも手で何かできます」


ノエルは自分の記録を見て、静かに言った。


「はい」


サイラエルは慎重に書いてきた。


最初の兆しはまだ公式な確認ではなかった。だがある日、アイリが手紙を読み、目を閉じ、そして微笑んだ。その微笑みを見て、誰も声に出して尋ねなかった。


サイラエルは、おそらく知っていた。


そしてその知識を、灰の下の炭のように、冠の下で守っていた。


彼女は甘い言葉を書かなかった。書けなかった。いくら守られていても、あまりにも多くの手を通る手紙では。だが行間には十分なものがあった。宮廷は保たれている。評議会は一時的な服従へ入った。近衛は清められた。神官たちはリッチの滅亡を確認した。摂政はもう権力ではなく費用について争っている。それはすでによい兆しだ、と。


ある手紙の末尾には、こう書かれていた。


「いくつかの決断は、すでに根を下ろしはじめています。」


ノエルはそれを三度読んだ。


メイが言った。


「ほらね」


リニは腹に手を置いた。


まだ早い。


皆、まだ早かった。


それでも、その一文の後、部屋は静かになった。


軽くなったのではない。


ただ、深くなった。


アイリは第一の世界から、知らせを断片で持ってきた。


アスタルホルンのもとへ至る道は、遠征というより、生者を好まない大地から、先へ進む権利を少しずつ剥ぎ取るようなものだった。オルム=サーイは、塩の風、白い高原、岩の下の街々、そして「白き陥没孔」については、その名そのものが下から何かを引き寄せるとでもいうように黙る人々で、彼女たちを迎えた。


第一の組は、ひとりでは進んでいなかった。


だが、軍でもなかった。


ヘラが導いた。


リニが魔導の輪郭を保った。


テリは偽の道が本物になる前に見抜いた。


シリが黙っているだけで、現地の案内人たちは嘘をつこうとしなくなった。


メイは「意図の純度を確かめる」と称して呪われた骨を使おうとした白き陥没孔の神官を、危うく殺しかけた。ベラが止めた。神官にその価値がなかったからではなく、その後で現地法に時間を取られることになるからだ。


「その世界のメイも神官が嫌いなの?」こちらのメイが尋ねた。


アイリは疲れた笑みを浮かべた。


「彼女は愚か者が嫌いなの。神官は時々、他より頑張るだけ」


「理性的ね」


白き陥没孔は、彼女たちが考えていたものとは違っていた。


マルブルクのような階ではなかった。


見慣れた階段で区切られた階など、そこにはなかった。


あったのは、層だった。


塩の層。


乾いた骨の層。


死んだ風の層。


自分が通り過ぎてから一分後、背後で足音が繰り返される層。


顔ではなく、あり得た死を映す白い水の層。


彼女たちは人を失った。


主力組ではない。


だが、失った。


それもまた、石を水に落とすように、アイリを通して届いた。


「案内人が二人、横の層から戻らなかった」


「ギルドの魔導士が一人、直近五年の記憶を失った」


「ベラは負傷。でも進んでいる」


「メイは怒っている。つまり、生きている」


「ヘラが、燃えるはずのないものを焼いた」


ここでゴルゲラニスが初めて、静かに言った。


「よい」


アイリは彼女を見た。


「彼女は、あなたの気に入ると思うわ」


「知っている」


その後、一週間知らせがなかった。


普通の、あり得ない一週間。


アイリは来なかった。


家は張りつめた弦のようになった。


メイはほとんど冗談を言わなくなった。リニは夜ごと庭に座り、時間を速めるのを恐れているかのように、手首の周りで五つの物をゆっくり回していた。ノエルは遅延のあり得る理由の一覧を作り、作り直し、それから自分で焼いた。どの行も拷問だったからだ。ベラはいつもよりさらに寡黙になった。ゴルゲラニスは街の外へ出て、夜明けに戻ってきた。煙と冷たい石の匂いをまとって。


彼は眠らなかった。


正確には、目を閉じたが、眠らなかった。


そういう夜、待機は胸の上に横たわる獣になる。


行けない。


助けられない。


彼女たちが生きているのかさえ、知ることができない。


できるのは待つことだけ。


そしてそれを憎みすぎて、その憎しみさえほとんど空っぽになる。


八日目に、アイリが戻った。


中庭に直接現れた。


美しくはなかった。


軽やかでもなかった。


彼女は膝から崩れ落ちた。


石に打ちつける前に、彼が受け止めた。


「生きてる」と彼女はすぐに言った。


最初の一言で。


全員が固まった。


「主力は全員、生きているわ」


メイはそのまま地面へ座り込んだ。


リニは両手で顔を覆った。


ノエルは本を落とした。


ベラは頭を下げた。


ゴルゲラニスが息を吐くと、炉の炭が燃え上がった。


アイリは疲労で震えていたが、笑っていた。


「たどり着いた」


彼は彼女を抱きしめた。


すぐには尋ねなかった。


息をさせた。


唇に水を触れさせた。


せめて話せる程度に、手の震えが収まるのを待った。


それからアイリは語った。


骨の竜へは、ただ「たどり着いた」のではなかった。


その言葉は正しくなかった。


彼のもとへは、許されて入らなければならなかった。


白き陥没孔は、マルブルクがゴルゲラニスの広間へ続いたように、一つの広間へ導くものではなかった。そこはふるい分ける。記憶で、恐れで、喪失で、偽りの声で、もし道が違っていれば生きていたかもしれない者たちの幻で。最後の層で、彼女たちはそれぞれ、自分だけを止められるものを聞いた。


リニは――彼の声が、自分は間に合わなかったと言うのを。


メイは――鎖の音を。


ベラは――間に合わず立てられなかった盾のひび割れる音を。


シリは――もう誰も自分の沈黙を必要としない静けさを。


テリは――誰も連れ出せない夢を。


ノエルは――伯爵と両親の顔を。


ヘラは――


アイリは黙った。


ゴルゲラニスが目を上げた。


「彼女は何を聞いた?」


「自分自身を」とアイリは言った。「彼はもう別の女竜を選んだ、と言う自分を」


部屋はとても静かになった。


ゴルゲラニスは視線を逸らさなかった。


「それで?」


「通ったわ」


「どうやって」


アイリは疲れた笑みを浮かべた。


「まず彼自身に直接聞く。それから誰を焼くか決める、って言った」


メイが静かに鼻を鳴らした。


「尊敬する」


アスタルホルンは白い広間で彼女たちを待っていた。


玉座の上ではなく。


財宝の上でもなく。


骨の中でもなく。


彼自身が広間であるのとほとんど同じくらい、広間そのものが彼だった。


骨の竜。


あまりにも古く、ゴルゲラニスの竜としての古さでさえ、その隣では、火は暖めるだけでなく滅ぼすこともできると初めて理解した子どもの成熟のように見えた。


その体は、人間の意味での骨格ではなかった。


死んだ枠ではなかった。


骨は白く、滑らかで、巨大で、その内側には古い魔法の細い線が走っていた。まるで一枚一枚の板が、かつて支えていた筋肉ではなく、形そのものの理念を覚えているようだった。眼窩には火は燃えていない。そこには他人の生を映す空虚があった。翼は膜のない骨の弧だったが、それが動くと、空気はまるで膜がまだあり、ただ世界にはそれを見る権利がないかのように動いた。


彼は話したがらなかった。


まったく。


怒っていたからではない。


彼女たちが小さすぎたからだ。


彼にとって、彼女たちの悲嘆も、愛も、嫉妬も、願いも、世界間の災厄でさえ、最初は古い骨のそばで鳴く虫の羽音のようなものだった。


そしてここで、普段は彼だけが得意だったことが起きた。


戦いではなく、会話。


だが、そこに彼はいなかった。


彼女たちは学ぶしかなかった。


最初にリニが話した。つかえながら、熱すぎるほどに、アスタルホルンにはほとんど意味あるものとは見なされなかった痛みを抱えて。


次にテリが話した。より正確に、冷たく、夢と反映の繋がりを通して。


次にヘラが話した。誇り高く、鋭く、ほとんど要求するように。


骨の竜は空ろな眼窩を彼女へ向け、若い竜の火はいつも自分を論拠だと思い込む、と言った。


ヘラは危うく切れかけた。


ベラが止めた。


力ではない。


言葉で。


「私たちは、自分たちが値する者だと証明しに来たのではありません。そうしなければ、何度でも戻ってくるから来たのです」


アスタルホルンは初めて、彼女へ注意を向けた。


そして会話が始まった。


頼みではない――論争。


論争ではない――包囲。


ほとんど一週間。


骨の竜のそばでの一週間。白い広間での一週間。そこでは時間が、まっすぐでいることに飽きたように振る舞った。彼女たちは話した。世界の枝について。異物について。上位の悪魔の呪いについて。二つ目の身体を見つけた愛の女神について。現地の女神について。サイラエルについて。子どもについて。別の世界で加わった女竜について。二つの現実は、もはや誤りだけでなく、選択によっても結ばれていることについて。


アスタルホルンは聞いた。


拒んだ。


また聞いた。


また拒んだ。


彼は言った。世界にはそれぞれ固有の慣性がある。異物を戻すことは、放り出すより危険だ。愛は現実の構造を測るには悪い物差しだ。神々は、しばしば「奇跡」と呼んだものを、あとで誰からも感謝されない古い存在が直さなければならない。


そこで、当然メイは耐えきれなかった。


「結局、いくら必要なのかをただ言うのに、どれだけかかるのよ」


アスタルホルンは彼女を見た。普通の人間なら、母国語を忘れたかもしれない目で。


メイは忘れなかった。


ベラは後で、それは非常に悪く、そして非常に必要な瞬間だったと言った。


その後、会話は高尚ではなくなった。


正直になったからだ。


彼女たちは去らない。


それを骨の竜は理解した。


すぐにではない。


ほとんど一週間かけて。


去らない。


悪魔の女も、女竜も、女神も――それぞれの側から――彼を放っておかない。リニとテリはまた夢を探す。ヘラは古い竜の名へ戻る。アイリは愛を通って来る。シリは必要なだけ入口で黙って立つ。ベラは毎回、新しい到達方法を組み上げる。メイは、古さそのものが、自分には聞く能力などなければよかったと後悔しはじめるまで、厄介な問いを投げ続ける。


そして追い払っても、彼女たちは消えない。


また来る。


そしてさらに悪くなる。


さらに悪意を持つ、という意味でさえない。


さらに頑固に。


さらに正確に。


さらに危険に。


アスタルホルン――あまりにも古く、誇りでさえとっくに鉱物になった存在――は、ついに耐えきれなかった。


古い生存の論理だった。


英雄的ではない。


感傷的でもない。


単純なものだった。


これはもう、払いのけても去らない。


彼は同意した。


代価は意外なものだった。


「彼が要求したのは」と、アイリは家の中庭で、マントに包まれたまま言った。「儀式の後、彼を放っておくこと」


こちらのメイが瞬きした。


「全部?」


「全部」


ノエルが眉をひそめた。


「『全部』とは?」


「もう探さない。呼ばない。頼まない。もう一度白き陥没孔へ入ろうとしない。彼の名を論拠として使わない。神官、魔導士、竜、女神、夢、手紙、あるいは特に質問を持ったメイを送り込まない」


メイは牙を見せた。


「賢い」


ゴルゲラニスが静かに笑った。


「非常に」


アイリは疲れた笑みを浮かべた。


「だからこそ、その代価は全員に都合がいいの。忘れて、触れない。その代わりに、儀式を」


リニが静かに尋ねた。


「彼は、できるのですか?」


アイリは彼を見た。


それからゴルゲラニスを。


それから、他の者たちを。


「彼は、儀式を準備できると考えているわ。すぐではない。こちら側なしでもない。こちらからの作業が必要になる。ゴルゲラニス、現地の女神、私、リニ――両方のリニ。鎖としてではなく、世界に組み込まれた証として。それが大事なの」


ノエルはもう書いていた。手が震えていた。


「儀式は具体的に何をするのですか?」


「全員のための通路を開くのではない。世界を混ぜるのでもない。組を移すのでもない。ただ、その異物自身が同意し、両方の枝が受け入れ点と手放し点を示した場合に限り、異物を戻す」


「かなり失礼な言い方ですね」


「でも、事実としては正しいわ」


メイが鋭く言った。


「つまり、彼が同意しなきゃいけない」


全員が彼を見た。


それだった。


初めて、儀式は抽象的な希望ではなくなった。


選択になった。


今すぐではない。


だが、もう見えている選択に。


戻る。


この世界を残す。


あるいは、拒む。


アイリは静かに言った。


「ええ。彼の同意なしに、アスタルホルンは何もしない」


ゴルゲラニスが付け加えた。


「そして正しい。そうでなければ、それは帰還ではなく拉致だ」


メイは顔を背けた。


リニは目を閉じた。


ノエルは書く手を止めた。


ベラだけがまっすぐ見ていた。


彼は、古い痛みが内側に立ち上がるのを感じた。だがそれは、以前とは違うものだった。以前は、そもそも可能なのかもわからなかった。今、「可能」が現れた。そしてそれと同時に、アスタルホルンの代価ではない代価も現れた。


代価は、ここにあった。


彼女たちの顔に。


サイラエルに。


あり得る子どもたちに。


家というものが何かを理解しはじめたばかりのゴルゲラニスに。


リニに。未来の痛みは今の幸福を失う理由としては悪すぎると、すでに一度言った彼女に。その痛みは今、さらに近づいていた。


メイに。泣き崩れないために怒っている彼女に。


ノエルに。儀式を書き留めようとしているのに、本当は失わずに済む方法を書き留めたがっている彼女に。


ベラに。目を逸らさない彼女に。盾は目を閉じる権利を持たないからだ。


アイリに。世界の間を歩けるが、彼の代わりに選ぶことはできない彼女に。


「いつだ?」彼は尋ねた。


アイリはすぐには答えなかった。


「明日ではないわ。両側で準備が必要。アスタルホルンは白き陥没孔に骨の輪郭を作らなければならない。こちらには対応する結び目が必要。おそらくアステル。でも、必ずしもそうとは限らない。ゴルゲラニスが形を助ける。現地の女神が受け入れを。私が繋がりを。リニが保持を。ノエルはたぶん、インクの精度に世界がかかっているみたいに全部を記録することになるわ」


ノエルはとても静かに言った。


「もしかすると、かかっています」


「もしかするとね」とアイリは認めた。


マリィが手を上げた。


「ギルドは?」


アイリは彼女を見た。


「ギルドはいつも通りのことをするの。奇跡が崩れないために必要な、あまりにも多くの実務を」


マリィはうなずいた。


「わかりました。ようやく普通の説明ですね」


ゴルゲラニスが言った。


「余計な者には一言も漏らすな」


マリィは彼女を見た。


「マルブルク、リッチ、女神、竜、骨の竜の後で、私がまだ余計なことを話せると思いますか?」


メイが短く。


「うん」


マリィはため息をついた。


「公平です」


夕方は長くなった。


彼らはすぐに準備を始めた。


別れのためではない。


まだ。


儀式のために。


可能性のために。


だが内側では、誰もが理解していた。儀式の準備と別れの準備は、前者のほうが書きやすいという点でしか違わない。


ノエルが作業を分けた。


ベラは、理由を説明せずに家と周辺の警護に誰を使えるか確認した。


マリィは、デイロンのところへ質問の山を持って出ていった。おそらく彼は、彼女が生きて戻ってきたことをまた後悔するだろう。


カイレンにも知らせる必要がある。すべてではなく、衛兵が邪魔せず、他人に邪魔もさせないだけには十分に。


ゴルゲラニスは庭へ出て、長く火のそばに立っていた。それから、ただ一言だけ言った。


「アスタルホルンは正しい。同意したということは、耐え続けるより助けるほうが安いと計算したのだ」


「それは良いことですか?」リニが尋ねた。


「信頼できる、ということだ」と女竜は答えた。「良い、とは別の言葉だ」


メイは最後に彼のところへ来た。


皆はもうそれぞれの用事に散ったか、散ったふりをしていた。


彼女は隣に立ち、彼を見なかった。


「つまり、儀式がある」


「ああ」


「で、あんたは選ばなきゃいけない」


「ああ」


「今じゃない」


「今じゃない」


「でも、じきに」


彼は黙った。


メイは勢いよく振り向き、彼のシャツを指で掴んだ。


「私は高潔にはならない」


「ならなくていい」


「簡単に送り出すなんて言わない」


「知ってる」


「あなたが行くなら、笑って幸せを祈るなんてしない」


「信じないだろうな」


「よし」


彼女は額を彼の胸に押しつけた。


「でも、それが唯一の帰る道なら……私は何を言うかわからない。憎い。でも、わからない」


彼は彼女を抱きしめた。


「俺もわからない」


「じゃあ黙ってて」


彼は黙った。


家で。


中庭で。


ギルドで。


第一の世界で。


白き陥没孔で。


エル=ラエンで――サイラエルがおそらく、まだ見えない未来に手のひらを置いているその場所で。


準備が始まった。


両側で。


アスタルホルンは代価を受け取る。


安寧。


忘れて、触れないこと。


その代わりに、儀式を。


そしてカールヴェスの頭が黒い塵となって崩れて以来、初めて、帰る道は希望でも、夢でも、推測でもなくなった。


すでに始められた仕事になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ