第三十一章
アイリは三日目に休息へ戻った。
美しく消えたわけではない。
たぶん、神殿の絵師の半分くらいは、この場面を台無しにする権利を与えられたなら、光の花弁に溶けるように描いたはずだ。そうではなかった。ただ朝食の後、彼女は少し静かになった。赤い髪は相変わらず明るく、メイが「空間だか何だかを潜り抜けてくるくせに、食べる量が少なすぎる女神」について何かぶつぶつ言ったとき、緑の目は笑っていた。だがその笑いの奥に、疲れが現れていた。
人間の疲れではない。
もっと深いものだった。
まるで、たとえ女神で、何でもできるふりをしたいほど強くそう望んでいても、休みなく開けておくことはできない扉を、ずっと開いたまま支えているような疲れだった。
彼が最初に気づいた。
彼女も、彼が気づいたことに気づいた。
「そんな目で見ないで」とアイリが言った。
「どんな目だ?」
「今すぐ、あなた自身の頑固さだけで私をここへ留めようとしそうな目」
「無理か?」
「両方を悲しませるだけなら、できるわ」
メイが目を細めた。
「両方?」
アイリは柔らかく微笑んだ。
「私と、この身体をここに留めている彼女」
壁際に盾を置いて座っていたベラが、すでに内心で出していた結論を確認するように頷いた。
「つまり、時間か」
「ええ」とアイリは言った。「私は注意をあちらへ戻して、休んで、二つの喜びに自分を引き裂かれないようにしなければならないの。聞こえは実感よりロマンチックね」
ノエルは当然、もう本へ手を伸ばしていた。
「およそ三日ですか?」
「およそ。私が意地を張らなければ、もっと短いかも。張れば、もっと長いかも。あまり私らしくなりすぎないようにするわ」
メイが鼻を鳴らした。
「信じない」
「正しいわ」
リニは黙っていた。
アイリは自分から彼女へ近づいた。すぐに抱きしめはしなかった。まず見つめた。とてもまっすぐに、とても大切に。そしてこの数日、驚くほど落ち着いていたリニは、不意に、砂の練習場で十年も不可能な師を待ち続け、答えの代わりに嵐そのものを受け取った少女へ戻ったように見えた。
「彼女に伝えるわ」とアイリは言った。
リニは誰に、とは尋ねなかった。
「何を?」
アイリは指で彼女の頬に触れた。
「全部を言葉で、ではないわ。でも伝える」
リニは目を閉じた。
「ありがとうございます」
メイとのほうが簡単だったわけではない。
ただ、見かけは簡単に見えた。
メイは腕を組み、まるで別れを戦いとして耐えるつもりのように立っていた。アイリは近づき、その額へ口づけた。メイは初めてのときのようにびくりとした。だが今度は驚きではなく、待っていなかったふりをしたかったからだ。
「消えるなよ、女神」
「努力するわ」
「彼は見張っていないと馬鹿をやる」
「知ってる」
「私たちが押さえてるけど、重い」
「知ってる」
「笑うな」
アイリはさらに大きく微笑んだ。
ベラとは短い頷きを交わした。
それだけだったのに、長い演説より多くを語っていた。ベラは、来る力と同じくらい、去るべきときに去る力を尊重する種類の人間だった。
ノエルは最後だった。
アイリは彼女へ身を屈め、耳元で何かを静かに言った。ノエルはあまりにも急に赤くなったので、メイがすぐ顔を上げた。
「何言ったの?」
「何も」
「嘘」
「とても」
アイリは笑い、それからようやく彼へ向いた。
そこで、ほかの全員はとても素早く、どこでもいいから彼ら以外の場所を見ることにした。
彼は彼女の手を取った。
「皆に伝えてくれ」
「伝えるわ」
「それと……」
アイリは彼がまた形にならない言葉へ沈み込む前に、口づけで止めた。
「全部伝えるわ。もう約束したでしょう」
「戻ってこい」
「今は、どこへ戻ればいいか知っているわ」
彼女は最後の一瞬だけ、温かく、生きていて、完全に本物のまま彼に身を寄せた。
それから一歩退いた。
そして身体は、まるで空気よりも軽くなったようだった。すぐに消えたのではない。朝の光が、自分は人の形を保たなくてもいいのだと思い出したかのように、柔らかく密度を失っていった。赤い髪が一瞬、金色に燃え、緑の目はまだ笑っていた――そしてアイリは去った。
部屋が残った。
あまりにも普通に。
あまりにも静かに。
最初に息を吐いたのはメイだった。
「綺麗なの、嫌い」
誰も反論しなかった。
---
第一の世界で、アイリは自分の部屋で目を開けた。
銀の髪が肩にこぼれていた。
青い目は一瞬だけ、色ではなく視線の記憶として、内側からあまりにも緑だった。それからそれも消え、彼女は、この世界で皆が見慣れていた姿に戻った。金髪に関するあの古い冗談より前の、赤い髪より前の、緑の目より前の、彼の滑稽で、戸惑った、あまりにも正直な眼差しより前の姿に。
彼女は数呼吸、動かずに座っていた。
こちらの身体は新しく、同時にすり減っていた。長い眠りから覚めたようでいて、その眠りの中で休んでいたのではなく、橋を支えていたかのようだった。
扉の向こうでは、もう待っていた。
もちろん、待っていた。
足音より先に、彼女には彼女たちを感じた。リニ――張りつめた弦。メイ――怒れる火。シリ――深い静けさ。ベラ――敷居の石。テリ――鋭い問い。ヘラ――古い警戒。全員が近くにいる。全員が生きている。全員が、この数日で、待機でさえ喉を掴んで押さえつけられるものだと学んだ者たちだった。
「入って」とアイリは言った。
扉はほとんどすぐに開いた。
リニが最初だった。
入ったのではない。半歩、飛び込むようにして、そして自分の勢いに怯えたように止まった。後ろにはメイ、ベラ、テリ、シリ、ノエル。ヘラは最後に入ってきた。扉が要求する以上に少し身を屈めたので、その瞬間、部屋は一気に狭くなった。
「見たのね」とリニが言った。
問いではなかった。
アイリは微笑んだ。
「見たわ」
メイが目を閉じ、歯の間から息を吐いた。
「彼は生きてる?」
「とても」
「彼は怪我してる?」
「今はしていないわ。疲れている。背負いすぎている。意地を張っている。自分が支配している範囲よりずっと多くを支配しているふりをしている。つまり、彼よ」
ベラがゆっくり椅子の端へ腰を下ろした。
「なら、本当に彼だ」
テリは顔を両手で覆った。泣きはしなかったが、肩が震えた。
シリは窓へ行き、いつも立つ場所に立った。ただ、今の彼女の静けさは違っていた。柔らかいわけではない――シリが柔らかいことは滅多にない。だが、その中には久しぶりに、息をする場所が生まれていた。
リニは、次を尋ねるのが怖いようにアイリを見ていた。
アイリは自分から言った。
「彼は、正しい言葉を探そうとして詰まっていなければ、あなたたちに言ったはずのことを言ったわ。そして、言えなかったはずのことも。生きている。道を探している。『恋しい』という言葉そのものに腹を立てるくらい、あなたたちが恋しい。その言葉が小さすぎるから。愛している。あなたたちを。私たちを。今も。それはどこにも消えていない」
メイが鋭く顔を背けた。
「消えるわけない」
「消えていないわ」とアイリは柔らかく繰り返した。
リニは動かずに立っていた。
動かなさすぎた。
アイリは彼女へ近づき、手を取った。
「そして、ええ。あちらには彼女たちがいる」
リニは目を閉じた。
それだ。
誰も最初に口にしたくなかったが、全員がもう知っていたこと。
彼女たちの別の姿。
リニ。メイ。ノエル。ベラ。
生きている。彼のそばにいる。彼を愛している。もう影でも偶然の反映でもなく、その世界で彼の人生になってしまった人々。
メイが掠れた声で言った。
「彼は彼女たちと?」
「ええ」
「全員と?」
アイリは彼女をまっすぐ見た。
「いいえ。四人と」
部屋が重くなった。
怒りというよりも。
あまりにも多くの真実を一度に抱え込む、人間の不可能さで。
メイは牙を剥いたが、力はなかった。
「うまくやってるじゃない」
ベラが静かに言った。
「メイ」
「何? 私、嘘を言った?」
アイリは腹を立てなかった。和らげもしなかった。嫉妬など小さくて卑しいものだというふりもしなかった。
「あなたは痛みを言ったの」
メイは殴られたように震えた。
「私は……」
「言ったわ。そして、その権利がある」
その言葉には、メイの短い怒りは返せなかった。
リニはアイリの手を握りしめた。
「私は彼女を見ました」
「ええ」
「彼女は理解しました」
「ええ」
「全部?」
「十分に」
リニはゆっくり頷いた。唇が震えた。
「私も理解しました」
アイリは彼女を抱きしめた。
そしてリニは、ようやく壊れた。
大声ではない。美しくもない。ただ顔をアイリの肩へ埋め、泣きはじめた。彼を見つけたあの日のような泣き方ではなかった。あのときは安堵で、深淵の後のほとんど発作だった。今は違った。嫉妬、愛、嫉妬への罪悪感、彼がもう自分なしで生きているのではないかという恐れ、そして彼が生きているのだから喜ぶべきなのに、そんなことを思ってしまう自分への羞恥。
アイリは彼女を支えた。
「それで自分を切らないで」と彼女は言った。「痛むことを禁じたところで、愛が綺麗になるわけではないわ」
シリが窓から振り返らず、静かに言った。
「そして、彼女たちはあちらに残る」
アイリは彼女を見た。
「おそらく、そうね」
その言葉は、今度は全員を打った。
ヘラが眉をひそめた。
「確信しているのか?」
「いいえ。でも十分には理解している。彼を引き抜くこと――呪いで似た世界へ落とされた異物としての彼を引き抜くことは、可能かもしれない。難しいけれど、可能でしょう。でも、あなたたち全員の第二の姿を引き抜くことは別の問題よ。あなたたちが互いの顔を見ることに耐えられないからではない。耐えられるかもしれない。耐えられないかもしれない。でも問題はもっと深い。世界には、耐えられる境界がある」
ベラがゆっくり言った。
「二人のリニ、二人のメイ、二人のベラ、二人のノエル。二つの繋がり、二つの歴史、一つの引力点。それは、人を移すだけではない。構造を混ぜることになる」
ヘラが頷いた。
「隣の枝から反映を引き抜くことは、その枝そのものに穴を開けることだ。おそらく、両方に。ええ、危険だ」
メイが鋭く尋ねた。
「つまり、彼は戻って、彼女たちは残る?」
アイリは一瞬、目を閉じた。
「その可能性があるわ」
「彼は?」
「痛むでしょう」
「私たちも」
「ええ」
「彼女たちも」
「ええ」
メイは拳で壁を打った。強くはないが、木が鈍く応えるには十分だった。
「素晴らしい」
誰も、すべてうまくいくとは言わなかった。
誰にも、その権利はなかった。
それまで黙っていたテリが、不意に尋ねた。
「それで、どうしてまたその姿なの?」
アイリは彼女を見た。
「その姿?」
テリは髪を指した。
「銀髪、青い目。赤くない」
このすべての後では、ほとんど子どもじみた問いだった。だからこそ、一瞬、全員が息を吐けた。
アイリは銀の一房に触れた。
微笑みは静かになった。
「この世界では、今は見せる相手がいないもの」
メイが鼻を鳴らしたが、怒りはなかった。
「出た」
アイリは続けた。
「あちらには彼がそばにいて、私は彼がかつて見たいと思った姿を見せたかった。ここでは彼は見ていない。そして、あなたたちはこの姿の私を知っている。彼が戻ったら……その時に考えるわ」
リニは袖で顔を拭い、弱く微笑んだ。
「彼は正しく見ます」
「ええ」とアイリは言った。「そこは彼の珍しい才能ね」
ベラが尋ねた。
「これからは?」
アイリの顔が少し真剣になった。
「これから、ヘラと私は道を調べる。夢だけではなく。こちらの女神、マルブルクの反映、彼の痕跡、別の姿たちの間の繋がりを通して。彼もあちらで準備を止めない。彼らはマルブルクへ行くつもりよ。本気で」
ヘラが目を細めた。
「あちらの世界で、私は二十一階層にいる」
「ええ」
「なら、こちらでも共鳴点になるかもしれない」
「その通り」
シリがようやく窓から振り向いた。
「続ける」
アイリは頷いた。
「ええ。ただし今度は、盲目ではないわ」
リニが息を吐いた。
「もし道が見つかって、彼が戻り、彼女たちが残るなら……」
アイリはまた彼女の手を取った。
「そのときは、生きていて傷ついた彼を愛しましょう。そして、それを簡単な勝利だと装わない。正直に約束できるのは、それだけ」
リニは頷いた。
メイは黙って近づき、普段ならまったく彼女らしくない動きで、リニの肩に手を置いた。
テリが二人を抱いた。
ベラがそばに立った。
シリが最後に近づいた。
ヘラは彼女たちを見ていた。古い山が、夜の中の小さな焚き火を見るように。そんな弱いものがどうしてここまで頑固に燃えられるのか、完全には理解できないまま、それでももう弱さとは見なさずに。
アイリは中心に残った。
銀髪、青い目、疲れた女神。
それでも、微笑んでいた。
---
この世界で、彼らはマルブルクへ本気で入った。
最初の試しとは違う。
第一階層の確認とも違う。
今は地図があった。曲がっていて、不完全で、ところどころ矛盾していたが、空白よりはましだった。灯火、油、縄、白墨、予備の刃、干し食料、治療包み、危険区域の印をつけた巻物、水筒、ベラの盾の予備の帯、メイの鞘用の新しい留め具、ノエルの手袋、そして彼女が「楽観的」と呼んでいた戦利品用の別袋。
マリィは、マルブルクのアーチ脇にあるギルド詰所の前で彼らを見送った。
顔は保っていた。
ほとんど、ルシアのように。
「計画は?」と彼女は尋ねた。
「第六階層への降り口まで」と彼は言った。「それより下へは行かない。第一階層は完全に把握済み。第二、第三は状況次第。第四、第五は慎重に。第六への降り口まで行き、印をつけ、状態を確認して戻る」
マリィは彼を見すぎるほど見た。
「それより下へは」
「行かない」
「書きます」
「書け」
「もし『もうここまで来たから』という理由で下へ行ったら、私は報告書を持って直々に来て、それで頭を叩きます」
メイが笑った。
「報告書って痛いの?」
「私のは痛いです」
ノエルが真剣に言った。
「第六階層への降り口より下へは行きません。これは入る前に決めたことです。決定変更は、下へ逃げる以外に生存手段がない場合に限りますが、それは可能性が低く、そもそも経路の失敗と見なすべきです」
マリィは尊敬の目で彼女を見た。
「あなたがいると安心します」
メイの耳が動いた。
「長くは続かないわ」
ベラは盾の固定を確認した。
「出るぞ」
マルブルクのアーチは、冷気で彼らを迎え入れた。
前回の完全な掃討の後、第一階層はほとんど楽に進めた。
空だったわけではない。マルブルクは、この前掃除されたからといって安全にはならない。だが見覚えのある通路、印のついた壁、潰した巣、すでに理解した組の動きが、効果を発揮していた。小さな魔物は単独か二体で出た。ベラが引き寄せ、リニが敵の大半を叩き落とし、メイが残ったものを仕留め、彼が支え、ノエルが横穴と罠を見た。
第一階層の石壁は灰色で、乾き、ところどころ他の組の白墨の印で覆われていた。床は不揃いだが、まだ人間的だった。古い段、通路、支柱のある低い広間、冷気の流れ込む裂け目。ここには埃、灯油、石、古い血の匂いがした。
第二階層で、匂いが変わった。
湿気。
菌類。
何か獣のようで、重いもの。
天井は低くなり、通路はより頻繁に枝分かれしていた。壁には暗く濡れた筋が現れ、まるで石が汗をかいているようだった。時々、奥で擦れる音がした。そしてそれは、後で光の中へ出てくるものとは必ずしも同じとは限らなかった。
最初の本格的な戦いは、三本の柱がある広間で起きた。
盲目の骨砕きの群れ。狼ほどの大きさの魔物が六体。頭と肩に沿って白い骨板が並んでいた。音と熱で位置を探り、跳ねるように動く。ベラがいなければ、すぐ組の中へ散っていただろう。
彼女は盾で床を打った。
強くではない。
正しく。
技能がそいつらを彼女へ引いた。四体はすぐ向かった。二体はメイへ流れかけたが、ノエルが見つけた。
「右に二体、低く!」
メイは柱のそばで迎え、一体目の首を斬り、二体目は彼へ流した。彼は短く、魔法で脚を打ち、続けて刃を入れた。リニはベラの盾の前にまとまった四体を、正確な一撃で片づけた。
綺麗だった。
第三階層で、悪くなった。
通路は、誰かが直線を憎んで作ったようだった。折れ曲がり、行き止まり、低いアーチ、何が潜んでいてもおかしくない横の窪み。石はより暗く、湿り、壁の苔は淡い緑がかった光を放っていた。暗闇の中で何かが息をしていることを忘れれば、美しいと言えたかもしれない。
彼らは罠で足を止められた。
機械式でさえない。
生きている罠だった。熱で破裂し、刺激性の粉を吐き出す菌の膨らみ。ノエルは一つ目を見つけたが、二つ目がメイの近くで弾けた。その後半刻、メイは治癒用の煎じ薬で喉の焼ける感じが治まるまで、掠れた声で罵り続けた。
「菌類、嫌い」
「あなたはほとんど全部嫌いでしょう」とノエルが指摘した。
「菌類は別枠」
「記録します」
「やってみなさい」
第五階層は、ひどく苦労した。
そこへたどり着いた時点で、彼らはもう疲れていた。
消耗しきっていたわけではない。ただ、脚、肩、注意力に重さが積もっていた。マルブルクは一撃で殺すのではなかった。削るのだ。まず一歩。それからもう一歩。それから、入口の朝と同じくらいの集中を求める曲がり角。それから、最悪ではないが力を要求する戦闘。それから手当て。それから、治癒薬を今使うか、それとも我慢するかの議論。それから、また通路。
第五階層は、中央が崩落した広い広間で彼らを迎えた。
崩れた穴の下で、何か大きなものが動いていた。
彼らは確かめなかった。
縁を、ゆっくり、縄を使って迂回した。そして出口へほとんど到達したところで、横の通路から子牛ほどの甲殻虫が二体、その後ろから骨の頭を持つ長い百足が現れた。
戦闘は汚かった。
ひどく。
ベラは一体目の虫を盾で受け止めたが、打撃が予想より低く、肩を壁へ向ける形に回された。二体目は彼女ではなくリニへ向かった。技能が同時に二体を押さえきれなかったのだ。メイが迎撃し、横の壁へ跳び、そこから蹴って、骨板の隙間へ短剣を突き入れた。虫が身をよじり、彼女を石へ叩きつけた。腕の切り傷と、肩の強い打撲。
彼は二体目の脚へ魔法を打ったが、百足はもう低く、速く、ほとんど音もなく来ていた。
「足元!」ノエルが叫んだ。
そして自分も、かろうじて跳び退いた。
百足の脚の一本がかすめ、彼女の太腿を引っ掻いて、ズボンと皮膚を切った。深くはなかったが、血はすぐ出た。
リニは強く撃ちすぎた。
壊滅的ではない。
だが、強かった。
百足の半分が床と壁に叩きつけられるように潰れ、衝撃の余波が、ちょうど虫を押さえていたベラに当たった。ベラが罵り、盾がぶれ、虫が彼女を半歩押し込んだ。彼はなんとか甲殻の隙間へ刃を差し込み、メイが反対側からとどめを刺した。だが、ぎりぎりだった。
最後の虫がようやく静まると、全員が重い沈黙の中に立っていた。
ノエルのランプが床へ落ちて転がり、奇跡的に割れなかった。
リニは青ざめていた。
「当てました」
ベラが息を整えた。
「強くはない」
「当てました」
「ああ」と彼は言った。「あとで検討する。今は手当てと状態確認だ」
切り傷、打撲、メイの袖の血、ノエルの太腿、ベラの肩、そして彼自身の肋骨が、完全に治ったと宣言するには早すぎたことをまた思い出させた。リニは傷を負っていなかったが、いちばん深く撃たれたような顔をしていた。
物資も語りはじめていた。
ランプが一つひび割れた。治癒薬を二つ使った。包帯は、望んでいたより少なくなっていた。油は足りていたが、これ以上進めば、それは予備ではなく希望になる。
それでも、彼らは第六階層への降り口までたどり着いた。
降りなかった。
ただ、たどり着いた。
石の階段が、低いアーチの下から暗闇へ下っていた。そこから冷気と、濡れた鉄の匂いが流れてくる。入口の壁には古い印があった。別の組の符号、引っ掻き傷、そしてほとんど消えかけた盾の絵。その上には斜めの線が引かれていた。おそらく警告ではない。だが警告に見えた。
ノエルはその場で石の上に座り込んだ。
「ここまでです」
ベラは盾を下ろした。
メイは壁にもたれ、打った肩を押さえていた。
リニは下を見ていた。
彼も下を見ていた。
第六階層。
ただの第六階層。
二十一階層までは、深淵のような距離がある。
それでも、内側で狂った、怒りに似た欲求が持ち上がるのを感じた。
もう一歩だけ。
見るだけ。
そこがどうなっているのか理解するだけ。
ここまで来た。階段は目の前にある。もしかすると、少し下に安全な踊り場があるかもしれない。入口に印をつけられるかもしれない。今戻れば、次はまた、この重い道のりを全部通らなければならないかもしれない。もしかすると、彼らはもう少しなら耐えられるかもしれない。
その考えが、どう聞こえるかを彼自身が聞いていた。
愚かに。
危険に。
そうやって考える者たちは、たいてい戻ってこない。
それでも、下へ行きたい欲求は消えなかった。
ああ、自分で決めた。第六階層への降り口までだと。
ああ、マリィにまで繰り返させられた。
ああ、ノエルは記録した。
ああ、組の状態は許さない。
ああ、理屈は明白だった。
だが下には道があるかもしれない。
ここではない。第六階層では、もちろんない。だが一歩下りるたびにヘラへ近づく。答えへ近づく。夢や女神の恵みにただ待つのではなく、知っているかもしれない相手へ自分でたどり着く可能性へ近づく。
彼は階段へ一歩踏み出した。
最初に言ったのはベラだった。
「だめだ」
大きな声ではない。
ただ、盾のように言葉を置いた。
彼は止まった。
「見るだけだ」
「だめだ」
メイが顔を上げた。
「ご主人」
それは、より強く彼を止めた。
言葉そのものではない。
声の調子だった。
遊びなし。いつもの半分噛むような響きもなし。温もりもなし。
警告。
ノエルが太腿の痛みに顔をしかめながら、ゆっくり立ち上がった。
「下へは行きません。それが条件でした。あなた自身が置いた条件です。ここで破れば、私たちの計画はもう計画ではなくなります。あなたの衝動になり、その代価を私たちが血で払うことになります」
リニが静かに言った。
「お願い」
たった一語。
その中に、あまりにも多くがあった。
彼は階段の前に立ち、彼女たちが正しいことを憎んだ。
彼女たちを憎んだのではない。
自分を憎んだ。
なぜなら、これだ。完璧な英雄でも、常に冷静な賢い主人でも、いつも正しい判断を下す鉄の師でもない。進んではならないとわかっていながら、さらに進みたがっている。自分で作った規則だと理解している。今、彼女たちに行けと言えば、彼女たちは行くとわかっている。愛ゆえに、忠誠ゆえに、頑固さゆえに、組の義務ゆえに。そしてそれは、胸糞が悪い。
不完全な男が欲しかったのか?
なら、両手で受け取れ。
ベラが彼と階段の間に一歩出た。
盾は上げなかった。
だが、立つだけで盾はいらなかった。
「私たちは戻る」と彼女は腰を据えた声で言った。「第六階層に怯えたからではない。弱いからでもない。目的が小さくなったからでもない。今日は課題を達成したからだ。降り口まで来た。第五階層の値段を知った。物資を減らした。傷を受けた。だから戻り、失敗を検討し、治し、さらに強くなってまた来る。今ここで下へ行けば、あなた自身が私たちに求めてきた準備をすべて無価値にする」
彼は彼女を見ていた。
ベラは視線を逸らさなかった。
「そして必要なら」と彼女は付け加えた。「本当に盾で殴る」
メイが短く言った。
「手伝う」
ノエルが手を上げた。
「記録します」
リニは笑わなかった。
それで彼は、ようやく息を吐いた。
怒りはすぐには消えなかった。最初に残ったのは空洞で、それから羞恥、それから疲労だった。
彼は階段から顔を背けた。
「戻る」
誰も「正しい」とは言わなかった。
賢い。
帰り道は、予想以上にきつかった。
新しい戦いのせいではない。むしろ、それはほとんど完全に避けられた。疲れのせいだ。決断した後の上りは軽くなるどころか重くなったせいだ。身体がもう前へ進まなくていいと理解した途端、傷がさらに痛みはじめたせいだ。マルブルクが、背を向けた者を離すことを好まないように思えたせいだ。
第三階層で、ノエルがつまずき、ベラが肘を掴んで支えた。
第二階層で、メイは打った肩を壁の出っ張りにぶつけ、危うく罵声をこぼしかけた。
第一階層で、リニがあまりに長く黙っていたので、彼はようやく隣で足を止めた。
「リニ」
彼女は顔を上げた。
「私、ベラに当てました」
「ああ」
「もっと強かったら……」
「上で検討する」
「わかっています。でも……」
彼は彼女の肩に触れた。
「上で」
彼女は頷いた。
これも規律の一部だった。
通路の中で自分を裁かない。
次の何かが暗闇から出てくるかもしれない場所で、失敗を抉らない。
マルブルクのアーチからようやく出ると、昼の光がほとんど痛いほど目を打った。外の空気は、あり得ないほどの贅沢に感じられた。汚く、騒がしく、馬と焼き肉とギルドの台所の匂いがしたが、それでも生きていて、広く、頭上に石の天井がなかった。
ギルドでマリィは彼らを見ると、最初の数秒、何も言わなかった。
それから近づいた。
「第六より下は?」
ノエルが青ざめた顔で、包帯を巻いた太腿をかばいながら答えた。
「降りていません」
マリィは彼を見た。
彼は頷いた。
「降りていない」
「よろしい。先に治癒師です」
「先に戦利品を――」とメイが言いかけた。
マリィは彼女へ向いた。
「先に治癒師です。そのあとで、ほかのことです」
メイは口を開けた。
ベラが言った。
「治癒師が先だ」
メイは口を閉じた。
「盾、嫌い」
「知っている」とベラが言った。
治癒師。包帯。苦い煎じ薬。どこが痛むかの確認。そして誰かが嘘をつこうとしたときの不満。次に戦利品の提出。金額は大きかった。費やした力に見合うほどではないが、ノエルが疲れていても丁寧に数え、しまい込むには十分だった。
宿へ戻ったのは、ほとんど夕方だった。
そして検討はすぐにはしなかった。
まず食事。
次に水。
次に沈黙。
その後で、彼は始めた。
彼女たちの失敗からではなかった。
自分の失敗からだった。
「俺は下へ行きたかった」
誰も驚かなかった。
「それは間違いだった」と彼は言った。「ただ危険だったのではない。間違いだった。俺たちはあらかじめ境界を決めた。その境界へ、中より悪い状態でたどり着いた。物資は減っていた。傷もあった。第五階層は重かった。そこから進む判断は勇気ではなく、衝動だった」
メイは卓を見ていた。
リニは彼を見ていた。
ノエルは羽ペンを紙の上で止めていたが、書いていなかった。
ベラは壁際に座り、盾をそばに置いて、疲れているのに落ち着いていた。
「止めてくれて、ありがとう」と彼は言った。
メイがぼそりと言った。
「当然」
ベラが頷いた。
「そのための盾でもある」
「ああ」
彼はリニを見た。
「次は君だ」
彼女は身を硬くした。
「第五階層での一撃は強すぎた。ベラとの位置関係に対して向きも悪かった。大惨事ではなかったが、近かった。原因は?」
リニはすぐには答えなかった。
「百足がノエルへ行くと思って、怖くなりました。それに……メイがもう打たれているのが見えました。すぐ終わらせたかったんです」
「覚えのある失敗だ」
彼女は頷いた。
「はい」
「どうする?」
「恐怖を力で治そうとしない。先に線。それから威力」
「いい」
ベラが付け加えた。
「盾の近くを撃つなら、私へ警告をくれ。短い言葉でいい。そうすれば別の構えで受けられる」
リニは彼女へ向いた。
「はい。ごめんなさい」
「受け取った」
それだけだった。
余計な言葉なしに。
だがリニには、おそらく長い慰めより大事だった。
メイは、甲殻虫の間へ深く入りすぎたことと、肩を打った後も同じ腕でさらに二つの場面を処理し、傷を悪化させたことを指摘された。ノエルは百足のときの位置と、ランプをすぐ安全な方向へ投げずに長く手に持ちすぎたことを。ベラは最初の虫をまっすぐ受けすぎたことと、盾のずらしが遅れたことを。
検討は重かった。
だが、働いていた。
最後に彼は言った。
「俺たちは第六階層への降り口まで行った。それは良い結果だ」
すぐに笑った者はいなかった。
それからノエルが静かに言った。
「そして戻りました」
「そして戻った」と彼は確認した。「そちらのほうが重要だ」
メイは壁にもたれた。
「次は?」
「傷を治し、物資を戻し、第五階層の計画を修正し、境界を保つ訓練をしてからだ。それに、俺が階段を馬鹿みたいに見なくなるまで」
ベラが落ち着いて言った。
「思い出させる」
「信じている」
リニはその夜はじめて、わずかに微笑んだ。
夜は遅く来た。
メイは最初に眠った。ほとんど座ったまま、彼の肩に頭を落として。ノエルは本の上でうとうとし、最後の一行を書き終えないままだった。ベラは扉が閉まり、包帯が全部替えられたことを確認してから、ようやく自分の部屋へ戻った。リニは長く隣に座り、黙って、五つではなく一つだけの小石を指の周りに回していた。
彼は彼女を見て、下へ続く階段のことを考えていた。
ヘラのことを。
第一の世界のことを。
目的というものが、どれほど簡単に愚かさの言い訳へ変わるのかを。
そして今日、彼らが本当に組になったのは、ほとんど第六階層まで行ったからではないのだと考えていた。
彼を止めたからだ。
そして彼が、止まったからだ。




