第三章
衛兵は呼ばれなかった。
少なくとも、すぐには。
リニは砂の円の縁に立ち、まだ彼を見ていた。その目つきは、危険を前にしているというより、最初の数行から条件が噛み合わない問題を前にしているようだった。ノエルは彼女のそば、わずかに前に出て、彼とリニの間に立っていた。もっとも、その手の構えを見るかぎり、彼が今動けば、彼女はおそらく素手で止めようとするだろう。
愚かだった。
そして、とても彼女らしかった。
彼は二人を見て、それから白い石を見て、自分の掌を見た。裂け傷と血と、呪われた土地の灰色の塵に汚れていた。
立っている力は、もうほとんど残っていなかった。
彼は砂の上に座り込んだ。美しくも、確かでもなかった。重く、押し潰されるように腰を落とし、脇腹と肩の傷がすぐに存在を主張した。視界が一瞬にじんだ。彼は片手を地面につき、歯の間から罵った。
ノエルが動きかけた。
リニが半歩前に出た。
「来るな」と彼は言った。「倒れてはいない。まだな」
「あなたは怪我をしています」とノエルがまた言った。
「ああ。今、俺が確信できる数少ないことの一つだ」
リニは眉を寄せた。
「なら、治療師が必要です」
「必要だ。だがその前に、俺がどこへ放り込まれたのかを理解する必要がある。君たちも、たぶんな」
リニは答えなかった。
彼は彼女の目をまっすぐ見た。
同じ目だった。
完全に同じ眼差しではない。生きてきた重さも違う。彼の内側を慣れたように止めるあの近さもない。だが、目そのものは同じだった。それが、ほとんど耐えがたい。
彼のほうが先に視線を逸らした。
「これは童話みたいに聞こえる」と彼は言った。「馬鹿げていて、狂っていて、長すぎる童話だ。信じなくていい。俺が君たちの立場でも信じない。だが、俺にはほかの話がない」
「話してください」とリニが静かに言った。
ノエルは素早く不安そうな視線を彼女へ投げたが、黙っていた。
彼は息を吸った。
そして最初から話しはじめた。
カールヴェスからではなかった。呪いからでもなかった。彼が彼の女たちの手から引き剥がされ、異世界へ投げ込まれたことからでもなかった。
店からだった。
夜からだった。
あまりにも日常的で、だからこそ滑稽なほどあり得ない場所。そこで一つの人生が終わり、別の人生が始まった場所から。
「俺の現実で、俺は夜、店の前で君とハズレットに会った」と彼は言った。「ここではない。この世界ではない。魔法なんて本来存在しないはずだった、俺の古い世界でだ。君は怪我をしていた。彼は死にかけていた」
リニは青ざめた。
ほんのわずかに。
だが彼は気づいた。
「ハズレット?」彼女が聞き返した。
「君の最初の師匠だ」
ノエルが鋭くリニへ顔を向けた。
「その名前を知っているの?」
リニはすぐには答えなかった。
「ええ」
今度は彼が固まった。
「ここにもいたのか?」
リニは彼を見ていた。彼の一語一語が、彼女の奥深くに隠された何かを引き出しているような目だった。
「続けてください」と彼女は言った。
彼は無理に踏み込まなかった。
その反応にすぐ掴みかかることはしなかった。
今は、話す。
「ハズレットにできたのは一つだけだった。俺と君を門へ押し込んだ。死に際に。俺はほとんど何も理解していなかった。ただ山の中にいた。別の世界で。自分の力を完全には制御できず、うっかりすれば自分も俺も周囲の斜面の半分も焼きかねない少女と一緒に」
リニはさっきより強く震えた。
だが遮らなかった。
「俺たちは山を越えた。まともな食料もなく、どこへ向かうべきかもわからずに。君は信じられないほど頑固で、誇り高く、怖がっていて、怖がっていないふりをしていた。時々そのふりが下手すぎて、怒鳴りたいのと、世界の全部から隠してやりたいのが同時に来た」
ノエルはゆっくり手を下ろした。
完全に気を抜いたわけではない。だが、もう違う聞き方をしていた。
「その頃の俺は、ほとんど何もできなかった」と彼は続けた。「魔法も、戦いも、この世界で生きることも。ハズレットは俺に才能と技能の一部を渡してくれたが、それは……まだ言葉も読めないのに、他人の図書館を渡されたようなものだった。歩きながら理解するしかなかった」
彼は歪んだ笑みを浮かべた。
「出来はひどかった。だが、俺たちは生き残った」
リニは動かなかった。
動かなさすぎた。
「その後、俺は君が制御を覚える方法を探しはじめた。魔法を押さえつけるためではない。閉じ込めるためでもない。力に習慣を与えるためだ。リズムを。常に保てる、小さな継続した負荷を。呼吸のように」
リニが鋭く息を吸った。
彼は顔を上げた。
「小石だ」と彼は言った。「最初は、ただの小さな石。そばに保つ。手の周りで回す。力みではなく、急な命令でもなく、まるでそれが自分の呼吸の一部であるかのように。食べている間も。歩いている間も。話している間も。寝ている間は――いや、あの頃は睡眠中はうまくいかなかった。だが君は、もちろんそれでも試した」
リニが手を上げた。
そして彼は黙った。
彼女が求めたからではない。
彼女の手首の周りで、物が回っていたからだ。
小さな石。金属片。木片。硝子片。骨の欠片。
それらは滑らかに、静かに、ほとんど怠惰に円を描いていた。落ちず、揺れず、乱れない。かつて彼のリニの手首の周りで小石が回っていたのと同じように。最初はぎこちなく、その後少しずつ確かになり、最後には彼女自身にとってもほとんど意識しないものになった、あの動きと同じように。
似た技ではなかった。
まさにそれだった。
彼の方法。
いや、正確には彼らの方法だった。
彼は回る小さな物たちを見つめ、足下の地面がまた下へ抜け落ちるように感じた。
「どこで覚えた?」彼はとても静かに尋ねた。
リニは答えなかった。
彼女の顔は真っ白になっていた。
ノエルが彼女の肘を掴んだ。
「リニ?」
リニは聞こえていないようだった。
彼女は彼だけを見ていた。
「あなたは……」
彼女は言いかけて、言い終えられなかった。
小石が揺れたが、落ちなかった。木片が円から外れかけ、また軌道へ戻った。硝子片が陽光を捉え、一瞬、小さな眩しい火花を散らした。
リニは唾を呑み込んだ。
「あなたは、リニの師匠だったのですか?」
彼はすぐに質問の意味を理解できなかった。
それから理解した。
「私の師匠」ではない。
「あなたは私の師匠なのですか」でもない。
あくまで、「リニの師匠」。
あのリニの。
そのせいで、さらに冷たくなった。
「ああ」と彼は言った。
リニの膝が折れた。
ノエルが間に合った。彼女の肩を抱え、円の縁の砂の上へ慎重に座らせた。リニはそこに座り込んだ。突然、立っていられなくなったかのようだった。彼女の手の周りを回っていた小さな物たちは、ぱらぱらと落ちた。小石が最後に落ちた。
数秒、誰も話さなかった。
庭では葉が静かに擦れていた。
どこか遠くで鳥が鳴いた。
彼は自分の呼吸を聞いていた。乱れていた。重すぎた。
リニは下から彼を見上げていた。
その目には、もう単なる衝撃だけではなかった。
そこには、不可能なものを認識した光があった。
「では、あなたがあの人なのですね?」彼女はかすかに尋ねた。
ノエルが彼女のほうへ振り向いた。
「リニ、何の話?」
リニは彼から目を離さなかった。
「師匠」と彼女は言った。「彼女にとって、彼ひとりで、世界より重い人」
彼は何かを言おうとした。
どこでそれを知った。誰に聞いた。いつ。どうして。
そんなことはあり得ない、と言いたかった。
ここ数日、不可能なことが多すぎる。せめて世界は順番待ちくらいしろ、と言いたかった。
だがその代わりに、視界が暗くなった。
まず縁から。
それから全体が。
彼は、体が前に倒れるのを感じるところまでは間に合った。砂があまりに速く近づいてくる。ノエルが声を上げる。リニが立ち上がろうとする。
そして彼は沈んだ。
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今度の目覚めは、前より柔らかかった。
それがすぐに警戒心を呼んだ。
彼が動かなかったのは、まず体のほうが、動くのは悪い考えだと告げたからだ。肋骨が疼いた。肩はきつく包帯で縛られていた。脇腹は鈍く深い痛みで焼けていた。口の中は乾き、頭の中は重く濁った綿で詰まっているようだった。
部屋。
牢ではない。
彼はすぐにそう判断した。
天井は高く、明るい。窓は開いていて、その向こうで枝が揺れている。薬草と清潔な寝具と薬膏、それから少し蝋の匂いがした。壁にはアルヴェン家の紋章を織ったタペストリーが掛かっていた。だが古く、色褪せ、見せびらかすためのものでは明らかになかった。家具は上等だが、王宮らしい輝きはない。ここにあるものはすべて、かつて贅を許されていたが、その後もっと静かに生きることを覚えたように見えた。
彼は顔を横へ向けた。
寝台のそばに、一人の女が座っていた。
その瞬間、心臓が一度おかしな打ち方をした。
彼はその顔を見たことがあった。
自分の世界で、見た。
ただし、そこでは彼女は王妃だった。
より年上で、より硬く、より威厳があった。あまりにも多くの宮廷の汚泥を生き抜いた結果、自らが絹に包まれた冷たい刃になった女。あちらの彼女の目には、権力と、命令に慣れた習慣と、顔を少し動かすだけで広間を沈黙させる力があった。
ここで彼の前に座っているのは、未亡人だった。
同じ美しさ。同じ血筋の品格。同じ姿勢。だが抑えられている。まるで折られたわけではない。いや、この手の女は簡単には折れない。だが、長く丁寧に光の外へ押しやられてきたようだった。飾りのない暗い衣。きつくまとめられた髪。顔には、哀れみを求めない疲れがあった。
彼女は、彼が目を覚ましたことに気づいた。
「起き上がらないでください」と彼女は言った。
声も知っているものだった。
少し柔らかく、少し静かだった。
だが、同じくらい危険だった。
彼はそれでも体を起こそうとした。
女は身じろぎすらしなかった。ただ見た。
彼はその視線に従い、横たわったままでいた。
「賢明です」と彼女は言った。
「どれくらい?」
「三日です」
彼は目を閉じた。
「すばらしい」
「あなたは死に近い状態でした。ですから『すばらしい』は、それほど不正確な言葉でもありません」
彼はもう一度目を開けた。
「リニは? ノエルは?」
「生きています。無事です。怯えています。怒っています。質問が多すぎます。この順番です」
彼は思わず笑みを浮かべ、すぐに後悔した。脇腹が痛んだ。
「ああ。彼女たちらしい」
女がわずかに目を細めた。
「それほどまでに?」
彼はすぐには答えなかった。
忘れてはいけない。
これはあの王宮ではない。あの王妃ではない。あのリニではない。あのノエルではない。ここで見知った顔の一つ一つが、新しい失敗への扉になり得る。
「あなたは誰ですか?」彼は尋ねた。
彼女はその問いを落ち着いて受け止めた。
「エリアナ・アルヴェンです」
リニの母。
彼の世界では、正確に言えば王太后。ここでは、王位争いに敗れた候補者の未亡人、失寵中か、ほとんど失寵中の宮廷人。強すぎる魔法と目立ちすぎる血を持つ娘を抱えた女。
彼はゆっくりうなずいた。
「衛兵を呼ばなかったことに感謝します」
「それは賢明ではありませんでしたから」
「俺が危険だから?」
「あなたが東翼の閉ざされた庭に黒い裂け目から現れ、私の娘を名で呼び、彼女が決して他人に話すべきではなかった言葉のあとで意識を失い、そのうえ上位の呪いの痕跡を持ち込んだからです。そんな人間を王宮の衛兵に渡すのは、まず腹と記憶を開かれ、その後で質問される相手に贈るようなものです」
彼女は平坦に言った。
特別な恐れもなく。
宮廷の仕組みを信じた先に何が待っているか、よく知っている者の声だった。
彼は彼女をより注意深く見た。
「つまり、あなたは失寵している」
彼女の顔は変わらなかった。
「あなたは結論が早いのですね」
「遅くする時間があまりない」
「完全に正しいわけではありません」
「だが、近い」
彼女はしばらく黙った。
「十分に近いです」
彼はゆっくり息を吐いた。
だから衛兵を呼ばなかったのだ。
信頼からではない。
慎重さから。
王宮に知られすぎることへの恐れから。
「リニはあなたに話しましたか?」彼は尋ねた。
「すべてではありません」
「だが、何かは」
「私の娘に、宮廷の師匠も、家の記録も、私も教えていない魔法制御の方法があると知るには十分でした」
彼は黙った。
「その方法が、彼女が初めは話すのを拒んだ一つの幻視のあとに現れたと知るには十分でした」とエリアナは続けた。「もし誰かがいつか同じことを口にするなら、その者は極めて危険な嘘つきか、私が長年声に出せなかった問いへの答えか、そのどちらかだと理解するには十分でした」
彼は胸の中に緊張が集まるのを感じた。
夢。
つまり、ハズレットではない?
それともハズレットも?
違う。彼女は、一つの夢のあとと言った。
どんな夢だ?
彼が尋ねる前に、エリアナは自分から続けた。
「ハズレットなら、もっと知っていたかもしれません」
彼は鋭く彼女を見た。
「ここにも彼がいたのか?」
「はい」
「生きている?」
「いいえ」
間。
「公式には」と彼女は言った。「病死です」
彼は「公式には」という言葉を聞き逃さなかった。
「非公式には?」
「証拠はありません」
「だが信じていない」
「この王宮では、病は都合のよい時に来ることが多すぎます」
知っている。
あまりにも知っている。
彼は窓のほうへ顔を背けた。
三日。
向こうでも三日経ったのか? それとも時間の流れが違うのか? 彼女たちは探しているのか? 生きているのか? アイリはリニが呪われた土地を根こそぎ焼くのを止められたのか? シリは印の残骸に飛び込まなかったか? メイは最初に見つけた黒い裂け目へ突っ込んでいないか? ヘラは痕跡を探すために王国の半分の上を飛んでいないか?
三日。
彼は掛布の下で拳を握った。
弱っていることが、ほとんど狂おしいほど腹立たしかった。
「リニと話す必要があります」と彼は言った。
「彼女も同じことを望んでいます」
「可能ならノエルとも」
「彼女は最初の一日、ほとんどずっと扉の前に座っていました」
彼は目を閉じた。
当然だ。
別のノエル。
彼のものではない。
それでも、当然だ。
エリアナは彼をとても注意深く観察していた。
「あなたは彼女たちに、別の世界から来たと言いました」
「似た世界からです」
「そして、そこで私の娘を知っていたと」
「はい」
「彼女は何者でしたか?」
彼はすぐには答えなかった。
ここでは一語一語が刃になり得た。
「王女」と言えば、死んだ父と、失われた王位と、他人の運命を刺すことになる。
「俺のもの」と言うことはできない。
この女に。今は。ましてや、このリニについては。
少なすぎることを言えば、嘘になる。
「強い人でした」と彼はようやく言った。「頑固で、誇り高く、愛する者を脅かされるととても危険になる人でした」
エリアナは笑わずに見ていた。
「それは私の娘にも当てはまる描写です」
「はい。もうわかりました」
「あなたは答えを避けています」
「はい」
「なぜですか?」
彼は顔を戻した。
「まず彼女と話す必要があるからです。あなたを信用していないからではありません。俺はまだここで誰も完全には信用できませんが、理由はそれだけではない。彼女が何を知っているのかわからない。どこから知ったのかわからない。ほかに誰が知るべきかもわからない。今ここで俺があなたたちに全部話したら、彼女を傷つけてしまうかもしれない。」
エリアナは黙った。
彼はその視線を受け止めた。
難しかった。
恐れているからではない。彼は、別の彼女をあまりにもよく覚えているからだ。王座にいた女。彼を、庭で拾われた見知らぬ負傷者としてではなく、自分の娘の大きな物語の一部として見ていた女。
だがここでの彼は問題だった。おそらく脅威。おそらく希望。そして彼女はまだ、どちらがより危険かを決めていなかった。
「賢明です」と彼女はやがて言った。
彼は弱く笑った。
「この会話で二度目です」
「思い上がらないでください。まだ信頼ではありません」
「そうでなければ驚きます」
彼女は立ち上がった。
動きは滑らかで、抑制されていた。失寵していても、冠がなくても、東翼の静かな部屋にいても、彼女は尊厳を簡単に奪われる女ではなかった。
「娘をここへ呼びます」とエリアナは言った。「ですが会話は短く。治療師はあなたに休息が必要だと言っています」
「治療師は俺が何に傷つけられたか知っていますか?」
「いいえ」
「なら、その意見は価値があるが、不完全です」
「あなたの体は、三日間目を覚ますこともできなかったようですが、それにはそれなりの意見があるようです」
彼は反論しようとした。
力がなかった。
エリアナがほとんど笑った。ほとんど。
「それで結構です」
彼女は扉まで行き、そこで立ち止まった。
「もう一つ」
彼は彼女を見た。
「もしあなたが本当に、私の娘が語ってきたその人なら、あなたはおそらく今見た目より重要な人です」
「今の俺はひどい見た目ですか?」
「今のあなたは、死に損ねた失敗のあと、砂の上で拾われた人に見えます」
「妥当です」
「ですが、もし嘘をついているのなら」エリアナは同じように静かに言った。「私があなたを衛兵へ突き出さなかったことを、あなたに後悔させる方法を見つけます」
彼はうなずいた。
「もし俺がそんな嘘をついているなら、当然です」
彼女はもう一瞬だけ視線を留めた。
それから出ていった。
扉は静かに閉じた。
彼は一人になった。
部屋はあまりにも静かだった。あまりにも清潔だった。呪われた土地の灰から、咆哮するヘラから、印が閉じた瞬間のシリの顔から、あまりにも遠かった。
彼は横たわり、天井を見つめた。
問いは増えただけだった。
このリニは、彼についてどこから知ったのか。
正確には何を知っているのか。
世界が違うのに、なぜ制御法はこちらへ渡ったのか。
戻れるのか。
少なくとも、向こうに残った者たちへ連絡できるのか。
そして、もしできないなら――
彼はその思考を最後まで行かせなかった。
駄目だ。
今ではない。
まだだ。
彼は顔を窓へ向けた。向こうには庭があった。彼が呪いから吐き出された、あの庭だ。リニが手を上げ、その手首の周りに石、金属、木片、硝子、骨が回った場所。
彼の方法。
彼らの方法。
彼が存在してはならなかった世界で。
彼は低く罵った。
疲労がまた押し寄せてきたが、今度は彼は意識にしがみついた。頑固に、ほとんど怒りで。リニを待たなければならない。彼女からすべてを聞かなければならない。母からではない。ノエルからでもない。自分の推測からでもない。
彼女から。
なぜなら、世界と世界の間には、すでに一度細い糸が通っていたからだ。
そして一度通ったなら、もしかすると、もう一度見つけられるかもしれなかった。




