第二十七章
第一の世界で、絶望はすぐには来なかった。
最初にあったのは怒りだった。
次に仕事。
さらに仕事。
そして、止まれば静寂があまりにも墓に似てしまうため、動き続けることでどうにか保たれている日々だった。
彼女たちはギルドを、王宮を、記録庫を、古い魔導士の塔を、閉ざされた保管庫を、半ば崩れた転移陣を、遠い昔の魔族儀式の跡を、神官たちがあまりにも柔らかく、あまりにも慎重に話す神殿を巡った。少しでも何かを知っていそうな者を、全員揺さぶった。見つかりたがらない者も引きずり出した。他人を脅すことに慣れた者たちを、逆に怯えさせた。
ある時点で、メイでさえ「不可能」と言う者すべてに唸るのをやめた。
諦めたからではない。
唸る力すら、もう残っていなかったからだ。
ただ見た。
それで十分だった。
シリはほとんど眠らなかった。地図と報告書のそばに座り、情報の切れ端を指でめくりながら、その中に生きた糸を触れるのではないかと探っていた。ヘラは何時間も、ときには何日もどこかへ消え、石のような顔と、遠い山々の匂いを衣服にまとって戻ってきた。ベラは誰にも完全に崩れることを許さなかった。言葉ではなく、誰かが一点を長く見つめすぎたとき、必ずそばにいることで。アイリは落ち着いたままだった。けれど、その落ち着きはもう慰めではなかった。むしろ崖の上に渡された最後の板になっていた。
「彼は生きています」と彼女は言った。
彼女たちは、それにしがみついた。
他のすべてが絶望に染まりはじめてからも。
リニは、誰よりも悪く持ちこたえ、同時に誰よりもよく持ちこたえていた。
悪く、というのは、答えのない一日一日が彼女を刃のように裂いていたからだ。
よく、というのは、彼女が自分に一分たりとも止まることを許さなかったからだ。新しい魔導士がいなければ、古い記録を読み返した。記録がなければ、地図を確かめた。地図が行き止まりへ導けば、呪いの痕跡へ戻った。痕跡が消えれば、最初からやり直した。
テリは長く黙っていた。
彼女たちがもうほとんど住みついてしまったギルドの一室で、窓辺に座り、夕方のアステルを見ていた。そばの卓には、地図、矢、開かれた三冊の本、そしてとっくに冷めた薬草湯の杯が置かれていた。
リニは壁際に立ち、両手を卓の縁につけていた。
「何もない」と彼女は言った。
問いではなかった。
嘆きでもなかった。
ただ、もう口にしないわけにはいかなくなった事実だった。
テリが彼女のほうを向いた。
「あなた、自分に夢を見せようとしたことを覚えている?」
リニが顔を上げた。
「何?」
「あのとき。過去へ何かを伝えようとしたときよ。ほとんどうまくいかなかったと言っていた。でも何かはあった。どこへなのか、どうやってなのか曖昧でも、接触はあった」
リニは、まだ意味が届いていないような顔で彼女を見ていた。
次の瞬間、届いた。
「あなたは……」
「彼の夢に出てみるのは……どう?」
壁際に座っていたメイが、勢いよく顔を上げた。
「それ、できるの?」
テリは静かに答えた。
「わからない」
「最高ね」とメイは言った。「『わからない』から始まる計画、大好き」
「今はもう、何を試すかに差はない」とテリが言った。
それは事実だった。
馬鹿げている。
ほとんど無意味だ。
彼はもともとこの世界の人間ではない。その後、彼女たちの世界にいた。そして今は、どこかわからない場所へ放り出された。眠りの夢は、道ではない。門でもない。掴んで引き戻せる手でもない。あのとき、リニ自身へ届こうとした試みでさえ、歪で、断片的で、ほとんど偶然だった。
だが今、すべての選択肢がそうだった。
歪で。
断片的で。
ほとんど偶然だった。
アイリは黙って聞いていた。
それから微笑んだ。何日ぶりかで、ほとんど本当に。
「試してみなさい」
ヘラが眉をひそめた。
「危険かもしれない」
「何もかも危険です」とリニが言った。
シリが目を上げた。
「やりなさい」
ベラはもう立ち上がっていた。
「何が必要?」
テリはリニを見た。
「静けさ。円。あのときと同じ品。そして、場所にしがみつかないこと。彼にしがみつくこと」
リニは目を閉じた。
手首の周りに、石、小さな金属片、木片、ガラスの欠片、小さな骨片が浮き上がった。
五つの錨。
呼吸。
記憶。
声に出さない名前。
この物語で、彼は一度も名前ではなかったからだ。
彼は「彼」だった。
それで十分だった。
彼女たちは夜に試した。
リニとテリで。
あのときのように。
ただ今度は、遠い自分へではなく、過去へでもなく、奇妙な反映へでもなく、呪いによって彼女たちの愛が存在しない場所へ投げ込まれた、生きた人間へ届かなければならなかった。
もしカールヴェスが虚無を当てにしていたのなら、彼は、残された者たちの頑固さをわかっていなかったのだ。
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この世界で、彼とリニはちょうど服を着たところだった。
朝はまだ完全には朝になっていなかった。光は柔らかく、灰色がかった早朝のものだった。窓の外ではアステルが目覚めはじめている。どこか中庭で扉が軋み、誰かが桶を石の上で引きずり、下では宿の使用人たちがけだるく言葉を交わしていた。
部屋には夜の温もりが残っていた。
身体の温もりだけではない。
すぐに言葉を始めたくなくなる、あの温もりだ。どんな言葉も、呼吸より粗く感じられるような。リニは卓のそばに立ち、髪を整えていた。指先がわずかに震えていたが、それはもう恐れからではなく、長年の迷いすべてより単純だった決断の後に来る、静かな衝撃からだった。
彼はシャツの留め具を留めていた。
何か普通のことを言おうとしていた。どうだ、と尋ねるか。尋ねないか。近づくか。肩に触れるか。ただ、この朝をあと数呼吸だけ引き延ばすか。
そのとき、二人のそばの空気が揺らいだ。
門のようではなかった。
魔法の打撃のようでもなかった。
むしろ、別の夢から投げ込まれた石が、水面を揺らしたようだった。
リニが鋭く振り向いた。
彼はすでに魔力へ手を伸ばしかけていたが、動きの途中で止まった。
部屋の中央に、二つの姿が現れた。
半透明だった。
光と、記憶と、不可能で織られたように。
リニ。
そしてテリ。
彼のリニ。
彼のテリ。
数歩の距離に。
二人の顔には、夢の透明さでさえ隠せないほど深い疲労があった。そして同じ瞬間、二人のリニが互いを見た。
理解した。
すぐに。
すべてを。
この部屋。朝。ほどけた髪。まだ最後まで留められていない彼のシャツ。こちらのリニの顔。その眼差し。自分自身からは隠せない夜の跡――たとえその自分が、別の世界の自分であっても。
そして、二人は互いが理解したことも理解した。
瞬時に。
言葉なしに。
一瞬、部屋は耐えがたいほど脆くなった。
だが、それは重要ではなかった。
第一の世界のリニは、もう別の自分を見ていなかったからだ。
彼を見ていた。
彼は生きていた。
アイリの感覚としてではなく。
信仰としてでもなく。
そうでなければ崩れてしまうからしがみつく頑固さとしてでもなく。
彼はここに立っていた。
数歩の距離に。
「あなた……」リニが言いかけた。
声は震え、音になった途端に崩れた。
テリは隣に立ち、同じように彼を見ていた。その普段は静かな顔は、今にも笑うか、泣くか、その両方を同時にしてしまいそうだった。
時間は少ない。
彼はすぐに理解した。
夢が震えている。テリの輪郭が揺らいでいる。リニの指先はほとんど透明だった。
急いで話さなければならない。
言いたいことではない。
必要なことを。
「俺は生きている」と彼は言った。「ここは別の世界だ。とても似ている。ここには、君たち一人一人に対応する別の姿がいる。君たち全員によく似ているが、歩んできた来歴は違う。ここのリニは王女ではない。ここのノエルには、生きている両親がいる。ここのメイは、父親の賭けの負け分として奪われかけていた。俺たちが引き戻した。ベラも俺たちが見つけた。彼女はもう、俺たちと一緒にいる」
第一の世界のリニが、彼へ一歩踏み出した。
触れることはできなかった。
彼女の手は、まるで薄い壁が間にあるかのように空気を通り抜けた。
彼も手を伸ばさなかった。
触れて、何も感じられなければ――その一秒を失う。
「帰る方法はわからない」と彼は続けた。「ヘラを探すつもりだった。こちらでは、おそらく彼女はマルブルクの地下、二十一階層にいる。だが、君たちがそこへ潜る必要はない。そちらでは、ヘラはもう君たちの身内だ。彼女に聞け。今、君たちはだいたいどこを探せばいいか知っている。とても似た世界だ。夢そのものが引っかかったのかもしれない。別の姿同士が重なったせいかもしれない。反映で探せるかもしれない。リニを通して探せるかもしれない。世界間の繋がりで探せるかもしれない。わからない」
テリが素早くうなずき、覚えていった。
リニは、彼の言葉をさらに重くするような目で彼を見ていた。
彼は自分に続きを言わせた。
「俺は、ここで君たちを探していた。君たち全員の、もう一つの姿を。あの世界でも、この世界でも、俺に必要なのは君たちだけだからだ。聞こえているか?」
リニは口元を手で覆った。
こちらのリニは卓のそばに立ち、動けないでいた。顔は白く、その目にはあまりにも多くのものが同時にあった。痛み、理解、罪悪感、自分自身への奇妙な嫉妬、そして彼がより強い権利を持つ者へ真実を言っていることへの安堵。
彼は今、どちらにも手を貸せなかった。
ただ、言い切るしかなかった。
「会えて、本当に嬉しい」と彼は言った。
「俺は、君たちのところへ帰れることをほとんど諦めかけていた」
これはもう情報ではなかった。
だが、これなしにはいられなかった。
「本当に」
第一の世界のリニが何か言おうとして、そこから先は整わなかった。
報告ではなかった。
交換でもなかった。
決壊した堤のようだった。
「探したの。私たち、みんな……アイリが、あなたは生きているって言って、でも痕跡がなくて、カイレンはもう……父上が記録庫を開けさせて、ヘラが試して、シリは眠らなくて、メイはもう少しで……ベラがみんなを支えて、テリが思いついて、私、できるかわからなくて、もし虚無が見えたらって、怖くて……」
言葉が混ざっていった。
感情、出来事、恐怖、探索、眠れない夜、ギルド、王、魔導士、報告書――すべてがひとかたまりになって、狭い夢の中へ、彼女たちの国一つ分の痛みを押し込もうとしているかのように、息を詰まらせながら流れ込んだ。
彼は聞いていた。
遮らなかった。
時間があるからではない。なかった。
ただ、その断片がほとんど接触だったからだ。
テリの縁はもう消えかけていた。
「リニ」と彼女が張りつめた声で言った。
「わかってる」とリニは息を吐いた。「わかってる」
彼女はもう一度、彼を見た。
そして今、その顔には一つしかなかった。
言いたい。
間に合わない。
彼は音になる前から、唇で理解した。
愛してる。
だが夢は途切れた。
ただ――途切れた。
リニとテリは、掌で覆われた光のように消えた。
部屋だけが残った。
灰色の朝。
卓。
衣服。
こちらのリニ。
彼は寝室の中央に立ち、ついさっきまで彼のリニとテリがいた場所を見ていた。
数秒、まったく息ができなかった。
それから吸った。
鋭く。
ほとんど痛いほどに。
こちらのリニも黙っていた。
何を言えというのか。
彼女はたった今、別の自分を見たのだ。
十年前の夢ではない。訓練場に現れた透明な奇妙さでもない。彼女の人生がその周囲に組み上げられてきた神話でもない。
生きているリニを。彼を探し、彼を愛し、あと少しでそれを口にしかけ、そして昨夜のすべてを一目で理解したリニを。
そして、彼女自身も、あちらが理解したことを理解した。
重すぎた。
彼は彼女へ向き直った。
「リニ……」
彼女は小さく首を振った。
拒むのではなく。
ただ――今は違う、と。
彼はゆっくり近づいた。
そばで止まった。
触れていいのか、わからなかった。
リニが自分から一歩進み、額を彼の胸へ押しつけた。
言葉なしに。
とても静かに。
彼は彼女を抱いた。
最初は慎重に。彼女が離れなかったので、少し強く。彼女は泣かなかった。すぐには。ただ目を閉じ、彼にしがみつくように立っていた。まるで、この数分で、昨夜決めたすべてをもう一度決め直さなければならなかったかのように。
そして、おそらく決め直したのだ。
そうでなければ近づかなかった。
「あの人、生きている」と、リニはようやくかすかな声で言った。
彼には、それが事実を指しているのではないとわかった。
痛みを指していた。
あちらのリニは生きている。
愛している。
探している。
そして今、知っている。
「ああ」
「そして、見つける」
「たぶん」
「見つけます」と彼女は繰り返した。
そこに怒りはなかった。
むしろ奇妙で、ほとんど痛むような確信だった。彼女は自分自身を見た。自分を知っていた。あちらのリニが手がかりを得たなら、止まらない。
彼は目を閉じた。
「ああ。おそらく、見つける」
リニは彼のシャツを握る指に力を込めた。
「なら、私たちには時間が少なくなりました」
彼は答えなかった。
それが真実だったからだ。
そして今、どんな言葉も刃になり得たからだ。
二人は長くそうして立っていた。
ほとんど動かずに。
窓の外では、街が完全に目覚めていた。下では誰かが笑った。まるで、たった今小さな宿の部屋で二つの現実が触れ合ったことなど知らないかのように、世界は生き続けていた。
先に離れたのはリニだった。
彼女は彼を見た。
目は潤んでいたが、澄んでいた。
「後悔していません」と彼女は言った。
彼は、聞いていないと言いたかった。
だが彼女は彼に答えたのではなかった。
自分に。
別の自分に。
未来の痛みに。
「俺もだ」と彼は言った。
リニはうなずいた。
それで十分だった。
今は。
---
第一の世界で、リニは叫びになりきらない叫びとともに目を覚ました。
むしろ、鋭く息を吸い、それが嗚咽に破れたような音だった。
隣でテリが身を震わせ、目を開き、まるで夢へ落ち戻るか、床を突き抜けてしまうのを恐れるように、円の縁を掴んだ。
数秒、誰も話さなかった。
部屋には全員がいた。
最初に駆け寄ったのはメイだった。
「それで?!」
リニは床に座り、全身を震わせながら、笑おうとしているのか泣こうとしているのかわからなかった。涙はもう顔を伝っていた。彼女は口を手で覆ったが、それでも止まらなかった。震えがあまりにも強く、手首の周りにあった欠片たちはばらけ、床へ落ちた。
「見つけた」と彼女は言った。
静かに。
ほとんど囁きで。
そのせいで、その言葉は叫びよりも大きく響いた。
メイが固まった。
ベラは、脚が一瞬支えを失ったように、卓の端へ腰を下ろした。
シリは目を閉じた。
ヘラが息を吐くと、暖炉の炎が揺れた。
テリが最初に、本当に泣き出した。音もなく、まだ整った顔でいようとして、できずに。
ノエルは隅に崩れるように座り込んだ。慣れた影へ染み込もうとしているかのように。
「生きているの?」シリが尋ねた。
その声は恐ろしかった。
リニは速すぎるほど何度もうなずいた。
「生きてる。生きてた。立ってた。話してた。彼は……」
彼女はまた崩れ、安堵の静かな発作のようになった。笑いと涙が混ざり、言葉は判別できなくなった。メイは隣に膝から落ちるように座り、彼女の肩を掴んだ。
「どこ?!」
「別の世界」と、テリがもう自分を立て直そうとしながら息を吐いた。「とても似ている世界。私たちの似た別版がいる。来歴は違う。彼は帰り方を知らない」
「でも生きてる」とメイが言った。
「はい」とリニが言った。「生きてる。彼は生きてる」
アイリは微笑んでいた。
大きくではない。
勝ち誇るようにでもない。
ただ、身体で、心で、自分の力で、愛の本性そのもので知っていたことを、ようやく世界から確認されたように。
「言ったでしょう」と彼女は言った。
誰も答えなかった。
なぜなら、そうだったからだ。
彼女は言っていた。
そして今、どれほど柔らかな「ええ」であっても、全員を完全に壊してしまいそうだったからだ。
リニはまだ震えながら、語りはじめた。
短く。
途切れ途切れに。
何度も何度も肝心なところへ戻りながら。彼は生きている。別の世界。とても似ている。自分たちの別版がいる。彼はリニ、ノエル、メイ、ベラを見つけた。道を探している。ヘラに尋ねるつもりだった。あの世界では、ヘラはおそらくマルブルクの地下、二十一階層にいる。けれど自分たちがそこへ行く必要はない。こちらにはヘラがいる。彼は、彼女に聞けと言った。今ならだいたいどこを探すべきかがわかる。繋がりは、世界の重なり、反映、夢、リニの別版を通して行けるかもしれない。
ヘラの名が出ると、全員が彼女を見た。
ヘラは動かずに立っていた。
あまりにも動かずに。
「マルブルクの二十一階層?」彼女が聞き返した。
「そこに、あなたの宝物庫がある」とリニは言った。「彼の記憶では。おそらく、あの世界でも」
「わかった」
「できるの?」メイが尋ねた。
ヘラはすぐには答えなかった。
一息で希望を与えるには、あまりにも正直だったからだ。
「今、私たちには方向がある」と彼女は言った。「場所ではない。座標でもない。道でもない。だが、似た構造を持つ世界同士の繋がりなら、もう虚無ではない。もし彼が本当に、あなたたちの別版が存在する反映世界にいるのなら、彼一人ではなく、別版同士の共鳴を探せる」
メイは、五つの単語のうち一つしか理解できなかったが、それでもそれへ食らいつく準備はあるという目で彼女を見た。
「つまり、できるってこと?」
「つまり、今は調べるものがあるということ」
アイリが近づいた。
「夢を通して彼を転移させることはできません」
リニが鋭く顔を上げた。
アイリはすぐに、柔らかく言った。
「違うの、愛しい子。そういう意味ではないわ。たとえあなたたちがまたああした夢へ入れたとしても、私の力だけで彼をそこから引き出すことはできない。私は愛の女神よ。それは私の力ではない。繋がりを感じ、強め、愛着を通して道を探すことはできる。でも世界間の転移は、私の領域ではない。それに彼は、もともとこの世界の人間ではない。ここで生まれた者のように掴める根が、彼の中にはない」
シリが目を開けた。
「でも考えはある」
アイリが彼女へ向いた。
微笑みが細くなった。
「二つほど」
「確かめる?」
「もう始めています」
ヘラもうなずいた。
「私もだ」
ベラが立ち上がった。
「何が必要?」
その言葉が、部屋へ空気を戻した。
完全な安堵ではない。
違う。
彼は生きている。けれど、まだどこかわからない場所にいる。
方向は見えた。けれど道ではない。
夢は声をくれた。けれど手ではない。
それでも世界は変わった。
「不可能」がもう壁ではなくなったからだ。
ただの距離になったからだ。
メイが勢いよく立ち上がった。
「なら、仕事ね」
シリは卓の上にあった魔導士の一覧を手に取り、裏返した。その紙は一時間前まで、絶望のためのまた一枚にしか見えなかったものだ。
「新しい一覧」
テリは袖で顔を拭った。泣いていないふりをするつもりも、もうなかった。
「まず、彼が言ったことを全部書き出す。一語一句。崩れる前に」
リニはうなずいた。
まだ震えていた。
だが、もう保っていた。
「彼は……」と彼女は言いかけ、突然また口を手で覆った。
メイが身を寄せた。
「何?」
リニはまた泣き出した。
だが、その涙にはもう別のものがあった。
「彼、私たちにまた会えて本当に嬉しいって言った」
静けさが柔らかくなった。
シリは窓のほうへ顔を背けた。
ベラは頭を下げた。
ヘラは目を閉じた。
アイリの微笑みが、さらに明るくなった。
「当然よ」と彼女は言った。
リニは息を吸い、吐き、自分に続きを言わせた。
仕事は再び始まった。
けれど今度は、虚無に逆らう頑固さではなかった。
今度は探索だった。
彼女たちは彼を見つけた。
あとは、たどり着くだけだった。




