第十章
シリは泣かなかった。
たぶん、そのほうが楽だった。
もし彼女が崩れ、叫び、黒い印の痕跡の前に膝をつき、たとえ数瞬だけでも、目の前で大切な人を奪われた者になってくれたなら、ほかの皆は少なくとも何をすればいいかわかっただろう。抱きしめる。押さえる。意味のないことを言う。泣き叫ばせる。
だがシリは泣かなかった。
彼女は呪われた土地の真ん中、灰の中に立っていた。唇には血がつき、手には刃があった。ついさっき黒い印が彼を呑み込んだ場所を見つめ、沈黙していた。その沈黙は、竜の姿のヘラでさえ唸るのをやめるほどだった。
最初に痕跡へ突き進もうとしたのはリニだった。
アイリが彼女を止めた。
腕の力ではない。光でだ。細く、柔らかく、ほとんど優しい結界が、リニと黒い円の間に立った。
「どけて」とリニは言った。
声は落ち着いていた。
落ち着きすぎていた。
「いいえ」とアイリは答えた。
「どけて」
「今あなたが撃てば、痕跡を壊すわ」
「見つける」
「彼を戻せたかもしれないものまで、あなたは焼くことになる」
リニは数秒、彼女を見ていた。
それから彼女の周りの魔法が揺れ、地面の灰が輪になって浮き上がった。
戦いの後でかろうじて立っているベラが、一歩近づいた。
「リニ」
一語。
命令ではない。
願いでもない。
ただ、錨だった。
リニは目を閉じた。
灰が落ちた。
メイは泥と血と怒りにまみれ、すでに円の縁を掘り返していた。まるで痕跡を手で見つけられるかのように。彼女の短剣は緊張で震えていた。恐怖ではない。怒りで。
「道があるはずだ」と彼女は歯の間から絞り出した。「あるはずだ。このクソみたいなものが、ただ勝手に……」
彼女は言い切らなかった。
言い切れば、「消えた」という言葉を認めなければならないからだ。
そして誰一人、その言葉を認めるつもりはなかった。
ヘラは巨大な頭を地面へ下げた。鼻孔が広がる。彼女は空気を吸い込み、もう一度吸い込み、爪で印の周囲の土を裂いた。
「彼の匂いがする」とヘラは低く言った。「それから魔族の匂い。そして空虚」
「どこへ?」テリが尋ねた。
彼女はもう弓弦に矢をつがえていなかった。両手は下がっていたが、その視線はまだ鋭かった。もし世界の間の穴がもう一度瞬きをしたなら、その穴そのものを射抜けるかのように。
ヘラは答えなかった。
アイリが黒い痕跡のそばに膝をついた。彼女の周りの光は細くなった。明るくなったのではなく、深くなった。彼女は笑っていなかった。そのせいで、皆にとってはなお悪かった。
普段のアイリは、恐ろしいことが起きているときでさえ笑っていた。
今は違った。
彼女は灰の上に指をかざした。黒い塵が浮き、渦を巻いたが、彼女の肌には触れなかった。
「これは転移よ」と彼女は言った。「でも普通のものではない」
「彼は、まだ生きているの?」シリが尋ねた。
印が閉じてから、彼女が初めて発した言葉だった。
アイリは顔を上げた。
そして、とてもゆっくり言った。
「ええ」
全員が固まった。
「確かか?」ベラが尋ねた。
「ええ」
リニが鋭く息を吐いた。まるで今になって、呼吸しなければならないことを思い出したかのようだった。
メイは灰の中にそのまま座り込んだ。
「なら、引き戻す」
「ええ」とシリが言った。
静かに。
まるで、どの世界にもほかの選択肢など存在しないかのように。
アイリはまた黒い痕跡を見た。
「でも、まっすぐな道は見えない。呪いは彼をただ転移させたのではない。彼を……本来の位置から外した」
「どこへ?」テリが繰り返した。
アイリはゆっくり首を振った。
「わからない」
ヘラが頭を上げた。
「なら、知っている奴を探す」
その言葉には脅しがなかった。
脅しとは、選択肢があるときのものだからだ。
世界にはもう、選択肢などなかった。
リニは目を開けた。
その目に、もう恐慌はなかった。
冷たく、まとまった怒りだけがあった。
「ギルドへ」と彼女は言った。「それから父のところへ。それから、上位魔族、転移、呪い、黒い印について少しでも知っている者全員へ」
「誰も知らなかったら?」メイが尋ねた。
シリがようやく振り向いた。
顔は白かったが、目は乾いていた。
「そのときは、世界に知ることを強いる」
ベラは盾を拾った。
テリは無言で矢を矢筒へ戻した。
アイリが立ち上がり、彼女の周りにまた光が現れた。柔らかく、金色で、ほとんど温かい光だった。ただ、笑みは戻らなかった。
彼女たちは一分で変わった。
壊れたのではない。
違う。
壊れるつもりなどなかった。
彼女たちは怒り、沈黙し、まとまった。痛みはそれぞれの場所に置かれ、恐慌は内側に閉じ込められ、涙は後回しにされた。その「後」が来るかどうかもわからないまま。彼女たちは不可能を信じなかった。たとえ今、死そのものが目の前に出てきて「だめだ」と言ったとしても、メイはその膝を殴ろうとし、ヘラは踏み潰そうとし、リニは焼こうとし、テリは目を射抜こうとし、ノエルは喉を切ろうとし、ベラはほかの全員を生かそうとし、アイリは死が考え直すような笑みを浮かべ、そしてシリは――
シリはただ、先へ進んだだろう。
見つけるまで。
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アステルを出たのは早朝だった。
街はまだ完全には目覚めていなかった。門のところでは衛兵があくびをし、野菜を積んだ荷車が石の上を軋ませ、どこかで焼きたてのパンと糞の匂いがした。朝は涼しく、端のほうは灰色だったが、太陽はすでに屋根の上へ昇りつつあり、暖かい日になることを約束していた。
リニは黙って歩いていた。
ノエルも黙っていた。
その沈黙は、昨日の疲労とは違っていた。今日はその中に、最初の本当の仕事を前にした緊張があった。訓練でもなく、語りでもなく、登録でもない。終わりに誰かが報酬を受け取るか、あるいは戻らないか、そのどちらかになる仕事だった。
彼は少し前を歩きながら、これがどれほど昔の道の始まりに似ているかを考えないようにしていた。
三人。
道。
最初の危険な依頼。
ただ、あのとき彼のそばにいたのは別のリニだった。そしてその後メイが加わり、そこからすべてが転がりはじめ、やがて人生になった。
ここは違う。
覚えていなければならない。
ずっと覚えていなければならない。
カルン村へ着いたのは、昼に近い頃だった。道は柔らかい丘を抜け、それからまばらな畑の間を通った。畑の端では、もう作物が黄色くなりはじめていた。ところどころ、地面は野猪に掘り返されていたが、普通の獣の痕跡はすぐに違うとわかった。小さく、乱雑で、ほとんど怠けているような痕跡だった。村長が説明していたものは、足跡ではなく傷を残すはずだった。
カルンは斜面にある小さな村だった。二十軒ほどの家、共同井戸、古い菩提樹のそばの小さな祠、納屋、山羊の囲い。人々は警戒して彼らを迎えた。敵意はない。だが歓迎もない。ギルドの新人、一人の怪我をした男、二人の若い娘。重い荷車ほどの問題に対する答えとしては、あまり説得力がなかった。
村長ブランは、肩幅が広く、白髪で、風に赤くなった顔を持ち、根のような手をしていた。
彼は長いあいだギルドの証を見た。
次にリニを見た。
次にノエルを見た。
最後に彼を見た。
「三人か?」
「ああ」
「それだけか?」
「ああ」
村長は掌で顔をこすった。
「ギルドは冗談を言っているのか?」
「ギルドは、ひどいことになると警告した」と彼は言った。「冗談とは少し違う」
ブランは渋い笑みを浮かべた。
「魔物は谷にいる。最初は畑を掘っていた。それから山羊のほうへ行った。犬が飛びかかった。一頭はすぐ角に、もう一頭は蹄にやられた。牧夫が追い払おうとして、腿を裂かれた。生きてはいるが、しばらく歩けん」
「一頭か?」
「見たのは一頭だ」
「ほかの足跡は?」
「あいつのだけだ。だが俺は猟師じゃない」
「案内してくれ」
ブランは案内した。
そして谷沿いの畑へ近づくほど、状況は悪くなった。
足跡は巨大だった。
掘り返された土は重い層になって転がっていた。根は引き剥がされている。低い柵の端は、まるでギルドの塔が倒れてぶつかったかのように砕けていた。柱の一本には乾いた血と、硬い剛毛の黒っぽい塊が残っていた。
彼は足跡のそばにしゃがんだ。
指で土をなぞった。
深い。
とても深い。
「どうです?」ノエルが静かに尋ねた。
「大きい」
「どれくらい?」
「俺がまた計画を気に入らなくなるには十分だ」
「計画があるのですか?」リニが尋ねた。
「今から作る」
谷は畑に沿って、長い裂け目のように伸びていた。深すぎるわけではないが、急だった。三、四メートルほど下へ落ち、場所によってはもっと深い。底には低木、乾いた草、棘が茂っている。片側の斜面はやや緩く、もう片側はほとんど崖で、木の根が突き出していた。下には新しく裂けた土と、小さな小川のそばの暗く湿った泥が見えた。
角猪はそこにいた。
彼らはすぐには見つけなかった。
最初に聞いた。
重い鼻息。根が砕ける音。誰かが地面を角で突いたような鈍い音。それから茂みの中で、巨大な暗い背中が動いた。
ノエルが音もなく息を吐いた。
リニは固まった。
彼は手を上げた。
止まれ。
角猪は本当に一頭だった。
それは良い。
長い谷の中にいる。
それも良い。上からのほうが当てやすい。
そして悪い。下へ降りれば、跳び退く場所がない。谷での正面戦闘は挽肉作りになる。たとえ獣がそこまで小回りを利かせられなくても、狭い底は直線突進の通路になる。そして直線突進こそ、角猪に与えてはいけないものだった。
彼は斜面を見た。
谷へ横から、上の縁沿いに近づけば、ほとんど真上へ出られる。獣が下にいるうちに、リニが上から撃つ。危険がどこから来たのか理解し、上へよじ登ってくるまで五秒、もしかすると六秒。
足りるはずだ。
何もまずくいかなければ。
彼はその考えがすぐに気に入らなかった。
彼は手振りでリニとノエルを呼び寄せ、地面を示しながら、ほとんど声にならない声で話しはじめた。
「ノエルはあそこ。あの石と木の後ろだ。それ以上近づくな。谷は見える。俺たちも見える。だが、あいつが登ってくる線上には立つな」
ノエルはうなずいた。
顔は白かったが、目は澄んでいた。
「リニは俺と一緒に縁まで来る。ぎりぎりまでは近づくな。上から撃つ。中の強め、上限に近いところだ。目標は、見えるなら頭か首。だめなら肩、前脚。大事なのは当てることだ」
リニはうなずいた。
「もし先に登ってきたら?」
「左へ下がって、太い木の後ろへ。後ろではない。左だ。繰り返せ」
「左へ、木の後ろ」
「もう一度」
「左へ、木の後ろ」
「俺が叫んだら、撃て」
「はい」
彼は彼女の目を見た。
「考えるな。綺麗かどうか評価するな。撃て」
彼女は唾を呑み込んだ。
「はい」
ノエルが静かに言った。
「何かおかしければ?」
「笛を吹くか、叫ぶ」
「わかりました」
彼らは谷を回り込みはじめた。
ゆっくり。
とてもゆっくり。
乾いた草が足に絡んだ。枝がズボンを引っかいた。どこか下で角猪が鼻を鳴らしていた。小川のそばの根に夢中で、どうやらまだ彼らの匂いには気づいていない。風は横から吹いていた。彼らからまっすぐではない。幸運だった。
あと十歩。
それから七歩。
それから五歩。
そのとき、リニが乾いた枝を踏んだ。
音は小さかった。
普通の日なら、ほとんど笑えるほどだっただろう。
だが谷の上の静けさの中では、それは雷鳴のように響いた。
下のすべてが止まった。
次に、重く鼻を鳴らす咆哮が響いた。
「左へ!」彼は鋭く言った。
ノエルはすでに安全な位置にいた。よし。
リニは動いたが、そちらではなかった。半歩、後ろへ。
悪い。
「左へ、木の後ろ!」彼は叫んだ。
そして自分は前へ加速した。
近接戦闘をしたかったからではない。
角猪がもう斜面を登ってきていたからだ。
蹄の下から土が飛んだ。茂みが裂けた。巨大な暗い胴体が谷から這い出してくる速度は速すぎて、すべての計算を一気に悪くした。彼は角を見た。二本の主角。汚れた灰色で、前へ曲がっている。そして曲がった小刀のような、小さな横の突起。頭は兜のように骨化した突起で覆われていた。目は小さく、獰猛で、怒りでほとんど赤かった。
感染していない。
ただ、とても生きていて、とても怒っている。
刃では無理だ。
角猪が半分這い上がったところで、彼はすぐに理解した。
あの頭へ剣で近づくのは、世界に会話を終わらせてくれと頼むようなものだ。
彼は魔法で撃った。
強く撃つことはできなかっただろう。魔力の流れを深く引こうとしただけで、体は肋骨と肩の鋭い痛みで応えた。だが正しく当てるなら、強くなくてもいい。
前脚。
関節。
頭の鎧ではない。太い首ではない。胴体ではない。
関節。
一撃は細く、硬く、ほとんど乾いていた。美しくはない。明るくもない。
だが正確だった。
魔法は、角猪が上へ這い上がるため左前脚に体重を移したその瞬間、そこへ叩き込まれた。
音。
大きくはない。
だがはっきりした音だった。
角猪は吠え、前蹄で谷の縁を抉りながら、鼻面から地面へ崩れた。胴体が歪んだ。角が芝土に打ちつけられ、土塊が横へ飛んだ。
「リニ!」彼は叫んだ。
リニは木の後ろに立っていた。
完全に必要な場所ではなかったが、少なくとも突進の線上ではなかった。
手は上がっている。
手首の周りの小石は、整った円から外れていた。
彼女は獣を見ていた。
その頭を見ていた。
撃たなければならないことを見ていた。
そしてためらっていた。
一秒。
二秒。
角猪が身をよじり、立ち上がろうとした。折れたか外れた前脚は崩れたが、それでも三本脚でほとんど立ち上がった。信じがたい、愚かで獣じみた力が、その体を上へ、彼らのほうへ引きずっていた。
「リニ!」彼は声が裂けるほど叫んだ。「今だ!」
彼女はびくりとした。
そして撃った。
かつて上位魔族の背中を裂いた、あの白い怒りではない。
みすぼらしい火花ではない。
地面に逸れた暴発でもない。
良い中威力の一撃だった。
昨日、石と低木と失敗と怒りの中で探していた、あの一撃だった。
力は短い弧を描いて上から下へ走り、角の根元に近い頭部へ当たった。
骨化した突起が、訓練用の石のように割れた。
ただし音はもっと悪かった。
鈍く、湿って、重かった。
獣の頭が横へ弾かれた。体はまだ一歩進んだ。まるで、もう死んでいることを体がすぐには理解していないようだった。それから角猪は地面を揺らして横倒しになった。
沈黙。
本当の沈黙。
埃がゆっくり降りていった。
どこか遠くで鳥が鳴いた。
ノエルはすぐには木の後ろから出なかった。
正しい。
リニは手を上げたまま立ち、死んだ角猪を見ていた。まるで、自分がそれをしたことを信じていないようだった。
彼は死体へ二歩近づき、止まり、待った。
角猪は動かなかった。
後ろ脚が一度だけ、もう命のない痙攣で動いた。
「やれました」とノエルが言った。
声が妙だった。
細い。
ほとんど子供のようだった。
彼はリニへ向き直った。
「手を下ろせ」
彼女は聞こえていないようだった。
「リニ」
彼女は瞬きをした。
手が下りた。
小石、木片、硝子片が地面へこぼれ落ちた。
「私……」彼女は言いかけた。
「後だ」と彼は言った。「まず確認する」
彼はすぐ頭へは近づかなかった。角から距離を取り、横から回った。もうほとんど意味はないはずだったが。それから槍で死体を突いた。もう一度。呼吸を確認した。目を確認した。血を確認した。
死んでいた。
完全に。
そこでようやく、彼は息を吐くことを許した。
肋骨はすぐに、魔法の一撃も負荷だったことを思い出させた。
彼は顔をしかめた。
ノエルが気づいた。
「怪我ですか?」
「元からだ」
「答えになっていません」
「今のところは耐えられる」
リニが膝をついた。
倒れたのではない。
ただ、脚が支えなくなったようだった。
「私は遅れました」と彼女は言った。
「ああ」
彼女は指を握りしめた。
「撃たなければならないのは見えていました。でも撃てませんでした」
「ああ」
ノエルが彼女のそばへ来たが、触れはしなかった。
リニは死体を見ていた。
「もしあなたが叫ばなかったら……」
「だから叫んだ」
「私は私たちを殺していたかもしれません」
「あり得た」
彼女は鋭く彼を見上げた。
だが彼は和らげなかった。
今は違う。
「それでも、最後にはよく当てた」と彼は言った。
彼女は黙った。
それも言う必要があった。
失敗だけではなく。
「検討は後だ」と彼は付け加えた。「今は村長に報告する。それから証拠を集める」
ブランは死体を見たとき、まず長く黙った。
それから罵った。
その後、近づき、割れた頭、傷ついた脚、蹄で耕された谷の縁を見て、もう一度罵った。今度はもっと低く、敬意を込めて。
「上で仕留めたのか?」
「自分で登ってきた」
「しぶといクソ野郎だ」
「だったな」
村長はリニを見た。
彼女は少し離れたところに立っていた。まだ白い顔だったが、まとまっていた。
「あなたの一撃か?」
リニはうなずいた。
「良い一撃だ」
彼女は答えなかった。
彼が代わりに言った。
「ああ。良かった」
証拠の処理は、村らしく単純だった。村長と二人の男が小さな横の突起と主角の一部を切り落とし、依頼書に印を押し、証人の署名を加えた。死体は村人たちが引き取った。正確には、その場で解体しはじめた。その実務的な喜びを見れば、さっきまで脅威だった角猪が、今は肉と脂と皮と、炉端で語られる話へ変わっていくのだとわかった。
彼らには巨大な肉の塊が切り分けられた。
あまりに巨大だったので、ノエルはそれを一つの別問題として見た。
「これは私たちに?」
「あんたらにだ」とブランは言った。「稼いだろう。焼き物にするといい。焼くのが面倒なら、宿で売れ」
ノエルはすぐに生気を取り戻した。
「売れるんですか?」
「売れる。だが食ったほうがいい」と村長は言った。「あの獣の肉は荒いが、腹にはたまる」
「考えます」とノエルは、すでに選択肢を計算している人間の声で言った。
帰り道は遅かった。
肉は粗い布に包み、交代で運んだ。主に彼とノエルが。戦いの後のリニはあまりにも静かで、彼は彼女が死体の一部を手にしてまで、自分の有用性を苦しげに証明しようとするのを見たくなかった。
アステルへ戻ったのは夕方だった。
ギルドでマリは彼らを見て、次に角を見て、村長の印を見て、最後に肉を見た。
「皆さん全員、ご無事で何よりです。」と彼女は言った。
「俺たちも嬉しい」と彼は答えた。
「証拠も持ってきた」
「ああ」
「肉も」
ノエルが包みを床へ置いた。心底ほっとした顔だった。
「とても重い証拠です」
マリは書類を受け取り、印を確認し、角を調べ、記録をつけた。それから報酬を取り出した。
硬貨が財布の中へ、気持ちのいい音を立てて落ちた。
一週間分の生活。
ノエルがすでにやる気になっているように支出を管理すれば、もしかすると少し長く持つ。
「どうでした?」マリが尋ねた。
彼はリニを見た。
それからノエルを見た。
「ぎりぎりだ」
マリは、ほかの答えを期待していなかったようにうなずいた。
「でも終わった」
「ああ」
「振り返りは?」
「これからだ」
「よろしい。運で助かった後に振り返りをしない新人は、すぐほかの新人の見本になります」
ノエルが静かに尋ねた。
「悪い見本ですか?」
「死後の」
「わかりました」
宿では、主人が肉の一部を調理し、一部を明日に回し、一部を夕食代と交換することに同意した。ノエルは短い交渉のあと、彼が予想していたより良い条件を引き出した。主人は彼女に少し敬意さえ払った。大人の商人が、若いが歯のある相手を尊重しはじめるときの、あの慎重さをもって。
夕食は腹にたまった。
その日の後としては、重すぎるほどに。
だが彼は食べる前に検討を始めた。
それは厳しかった。
怒っているのではない。
まさに、厳しかった。
彼らは部屋に座っていた。卓の上には水差し、パンの塊、小さな塩の皿、まだ冷めきっていない肉入りの煮込みがあった。だが、まだ誰も食べていなかった。
「良かった点から始める」と彼は言った。「俺たちは生きている。角猪は死んだ。報酬は財布の中。肉は二日分。これは幸運と呼んでいい」
ノエルが息を吐いた。
「ほとんど喜ばしい響きです」
「次は悪かった点だ。それ以外全部」
リニが指を握った。
彼は彼女へ向き直った。
「枝」
「わかっています」
「違う。ただの『わかっています』ではない。君は足下を十分見ていなかった。目標へ近づくとき、大きな力を持つ魔導士は敵にとっても組にとっても最大の脅威になる。早すぎる段階で聞かれれば、計画は壊れる」
「わかっています」と彼女はさっきより小さく繰り返した。
「二つ目。音の後、君は最初に後ろへ動いた。命令は左、木の後ろだったのに」
「はい」
「なぜだ?」
リニは黙った。
それから言った。
「怖かったんです」
「よし」
彼女は顔を上げた。
「よし?」
「正直に言ったのがよしだ。怖がるのは普通だ。だが体は、恐怖より先に命令を知っていなければならない。それは訓練で作る」
彼はノエルへ向き直った。
「君は正しい位置にいた。飛び出さなかった。余計な悲鳴も上げなかった。それは良い」
ノエルは明らかに、こんなに早く褒められるとは思っていなかった。
「でも?」
「だが角猪が這い上がってきたとき、君は一秒、俺たちを視界から外した。あいつだけを見ていたからだ」
ノエルは眉を寄せ、思い出していた。
それからうなずいた。
「はい」
「君の役目は全体を見ることだ。怖いときでも」
「わかりました」
「次が本題だ」
彼はまたリニを見た。
「君は止まった」
彼女は青ざめた。
「はい」
「命取りになり得た」
「はい」
「俺の命でも、君の命でも、ノエルの命でも。誰でもだ」
「はい」
声はほとんど聞こえないほどになった。
だが彼は止まらなかった。
「戦いでは、内側の確信を待つことはできない。そんなものは来ないかもしれない。綺麗で正しい瞬間など感じられないかもしれない。ときには叫びと、泥と、獣がほとんど立ち上がっている状況だけがある。そしてその場で撃たなければ、一秒後には遅い」
リニは卓を見ていた。
ノエルも黙っていた。
「なぜ止まった?」
長い沈黙。
「あれが生きているのを見たんです」とリニは言った。「的ではなく。石でもなく。低木でもなく。見ていて。怒っていて。立とうとしていて。それで私は……一瞬、強く撃ちすぎればあなたたちを巻き込むと思いました。弱ければ、怒らせるだけだと。外したら……」
「そして秒を失った」
「はい」
彼はうなずいた。
「正直だ。そしてこれは経験でしか治らない」
彼女は苦く笑った。
「素晴らしいですね」
「不愉快だが、そうだ」
彼はその言葉をその場に残した。
それから言った。
「次は良かった点だ。最終的に君が撃ったとき、あの一撃は正しかった」
リニは目を上げた。
「そうですか?」
「ああ。まさに中の層だった。上限寄りだが、暴発していない。狭く、正確だった。あいつの頭は石のように骨化していた。君はそれを訓練用の的のように裂いた。良い一撃だった」
彼女はすぐには信じられないように見ていた。
「とても良かった」と彼は付け加えた。
ノエルがうなずいた。
「私も見ました。怖かったけれど、綺麗でした」
「綺麗は大事ではありません」とリニは呟いた。
「でも嬉しいです」とノエルが言った。
彼は続けた。
「ノエル、君は戦士のふりをしようとしなかった。それも良い。隣で戦いが起き、自分には待って見ることを命じられているとき、それに耐えられない者は多い」
「私はとても遠くにいたかっただけです」
「それが役に立った」
「それが勇気なのかは、よくわかりません」
「それは規律だ。最初には、そのほうが大事だ」
ノエルは考え込んだ。
彼は椅子の背にもたれた。
肋骨は疼き、体は食事と眠りを要求していたが、検討は正しく終わらせる必要があった。
「結論だ。俺たちは上手くやったから勝ったのではない。計画が完全には悪くなく、角猪が一頭で、俺が関節に当てられて、リニがあいつが完全に立ち上がる前に仕留めるのに間に合ったから勝った。これは幸運と、いくつかの正しい行動だ。組としての熟練ではない。まだな」
リニはうなずいた。
ノエルも。
「だから、思い上がらない。次に難しい依頼は取らない。もう大型の魔物を狩れるふりもしない。接近、合図、恐怖への反応、動く標的への一撃を訓練する」
「はい」とリニが言った。
「はい」とノエルも言った。
彼は二人を見た。
「そして今なら認めていい。初戦としては、君たちはやり切った」
二人は同時に目を上げた。
「悪く、失敗もあり、ぎりぎりだったが、やり切った」と彼は言った。「そして失敗のあとに壊れなかった。それは大事だ」
リニが息を吐いた。
ノエルは不意に笑った。疲れていたが、とても生きた笑みだった。
「つまり、私たちは大惨事ではない?」
「今のところ、マリの報告書に対する脅威程度だ」
「それなら何かではありますね」
彼は立ち上がり、リニのそばへ行き、ほとんど考えずに彼女の頭へ掌を置いた。
軽く撫でた。
かつてそうしていたように。
「いい娘だ」
リニが固まった。
そのときになって、彼は理解した。
世界が違う。
リニが違う。
彼にとってその動きは癖で、温もりで、難しい一日の後、うまくいった授業の後、彼女がやり遂げ、同時に周囲全員を死なせかけた後の、古い仕草だった。
彼女にとっては、初めてだった。
反応は遅れて彼を打った。
リニは動かずに座り、目を大きく見開いていた。怯えてはいない。怒ってもいない。まったく違う。むしろ、十年待っていた何かが、不意に、望んだ形ではなく、望んだ瞬間でもなく、内側に備えもないまま彼女へ当たったようだった。
彼女の頬はすぐに赤くなった。
とても速く。
ノエルは、今この場では何も言わないと決めたが、必ず全部覚えておく人間の顔で二人を見ていた。
彼は手を引いた。
「すまない」と彼はすぐに言った。
リニが瞬きをした。
「何がですか?」
「癖だ」
それは彼が望んだより悪く響いた。
なぜなら「癖」とは、別の彼女とのものだという意味だったからだ。
彼女は理解した。
当然、理解した。
顔がわずかに変わったが、彼女はすぐ自分を立て直した。
「何でもありません」と彼女は言った。
落ち着きすぎていた。
彼は内心で罵った。
失敗は戦いの中だけにあるわけではない。
「君がそう言われるだけのことをしたのは事実だ」と彼は付け加えた。「ただ俺は、君にとってはこれが初めてだと覚えておかなければならなかった」
リニは視線を落とした。
それから静かに言った。
「怖くありません」
だがその声は、まさに怖い声だった。
悪いという意味ではない。
ただ、危うい。
ノエルがいきなり両手で卓を叩いた。
「料理が冷めます」
祝福されるべき賢い娘だった。
リニはびくりとし、それからうなずいた。
「はい。食べなければ」
「それに肉です」とノエルは言った。「私たちは今日、二日分の肉のために命を危険にさらしました。獲物への敬意を要求します」
「報酬のためです」とリニが訂正した。
「報酬は財布の中です。肉は皿の中。優先順位は明白です」
彼は言葉にできないほど彼女に感謝しながら、椅子へ戻った。
夕食はほとんど普通に過ぎた。
彼らは角猪の肉入りの煮込みを食べた。肉は硬く、締まっていたが、本当に腹にたまった。ノエルは、あの獣は生きているときは不愉快で、死んだ後も頑固だと宣言した。リニは静かに笑った。彼は短く返事をし、時々言葉を挟んだが、それ以上に聞いていた。
耐えられる一日だった。
乾いた枝を忘れる努力をすれば。
崩れた計画を。
リニの遅れを。
彼の肋骨の痛みを。
角猪がほとんど立ち上がった一秒を。
そして古い癖が、新しいリニのいちばん無防備な場所に、どれほど簡単に触れてしまうかを。
すべての失敗を忘れるなら、その日はほとんど良い日だった。
だが彼は、残念ながら、忘れるつもりはなかった。
だからこそ、おそらく彼らは次の日を生き延びる。




