竜①
ドラゴン
爬虫類の様な鱗の身体と鋭い爪と牙をもち、口から炎の息を吐く。有翼で空を飛ぶことができるが、地下の洞穴をすみかとしている事が多い。
体色は様々な色、模様が伝えられている。これは四大元素を体現する存在でもあったためである。
その存在は近代まで信じられていたが、想像上の生き物となった現代でも愛され物語に多く描かれている。
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洞窟からバッカスが出ると、騎士達から歓声があがった。
長年この地域を苦しめていた真祖の吸血鬼の討伐成功という偉業を前に、流石の騎士達も興奮を抑えることが出来ずにいた。
次に、アドニス隊の4人が次々と出てくる。だが、小隊長のアドニスと聖女は、その入り口から出てくる事はなかった。
「私はもともとそう言う手はずになっていたので大丈夫ですが、良かったのですか?」
「何がでしょうか?」
「なにも、殉職扱いにしなくても良かったでしょう。生き辛くなりますよ?」
「私はどうも器用に生きられないようです。騎士の中にいても同じでしょう。それならばいっその事、と思いました」
仙女は、くすくすと笑った。確かに器用ではないな、と。
アドニスは今は鎧を脱ぎ、剣も聖騎士の物ではなく仙女が用意したものだ。簡易な旅の鞄を片方の肩に掛け、丈の足りないボロボロのマントを羽織っている。それらは仙女の持ってきていた旅の一式だ。
仙女は戦闘の時と同じ服のまま歩いている。動き易さ重視の、丈夫なだけの布の服なので旅には支障ない。
2人は並んで歩いているが、アドニスのにじみ出る騎士の所作が、どうしてもどこかの令嬢と護衛の騎士という図式に見せている。
「おい、お前。名はなんと言う」
長い髪を小さく揺らして、仙女は振り返った。
不機嫌で怠け者の吸血鬼は、太陽の上りきった森でもきちんと付いてきているようで、後ろから声をかけた。
煙の羽を今はローブに変えて全身を覆っている。それは、明るい中で見ても真っ黒で、その空間を闇が切り取って居るようだった。
太陽の光に焼かれチリチリと蜃気楼のが上っていて、少し削られては内側から修復されて、風も無いのにはためいている。
「佳唯よ」
「じゃウえイ」
「ジャウェイ」
「ジャうえイ」
「ジャウェイだ」
アドニスがスラリと発音すると、ルシュフはますます不機嫌を深めた。
「今はフローラを名乗っているからそれでも良いわよ」
「じゃウえイ」
「ならば、佳唯様ではなくフローラ様とお呼びした方が良いですか?」
「ジャ、ウェーイ」
「そうですね。フローラで。……出来れば、そんな畏まらず前の様に話してください」
「…………」
「分かりました。……なら、フローラも」
「…………」
「……佳唯なら言える?」
「……ケイユイ」
「それで大丈夫よ。ちゃんと私の名前だから」
佳唯はにこりと微笑んだ。それを見たルシュフは納得してない顔で横を向いた。
だが、もう佳唯の名を連呼する事はなくなった。
「アドニス。今、フローラと呼んでと言った所だけど、ケイって呼んで!」
「……貴女がそう言うのなら」
「それに、これから行く所は人里での呼び名は必要ないもの」
「何処へ連れて行くつもりだ」
眉間の皺を深めてルシュフは聞いた。それは尋ねると言うより、「行きたくない」という言い方だ。
佳唯はいたずらっ子の顔でニヤニヤと『アドニスを』見ながら得意気に言った。
「竜の国!」




