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薄曇り2
「ふぅん」
心の薄曇りに蓋をして、にやりと笑う。
「刺激が足りなくなってきたころに、主任にチクってやろうかしら」
頬杖を突きながら見上げている私を見下ろして、玉地はふふんといつもの調子で笑った。
「ふゆたろがそんなスリルを求めるタイプには見えないけどねぇ」
「私はいつだって刺激的な女さ」
ふはは、と笑うと、煙草をポケットにしまった玉地はぽんと軽く頭に一度手を置いてすいと私の横からオフィスに向かって歩き出した。
私も立ち上がって追いかけると、ぽつりと玉地は呟いた。
「残念なことに、七瀬さんは知ってるよ。
…ぜーんぶね」
「まぁじ」
思わず玉地を見上げると、玉地は見下ろしてにやりと笑った。
「そ」
「只者じゃないね、さすが主任」
玉地はどこか寂しそうに笑って、「かなわないよね、ほんと」と呟いた。
初めて見る顔に、心臓がほんの一瞬チクリと刺された感覚がした。
そして先ほど蓋をした薄曇りが、過る嫌な予感を餌に、大きく、濃く広がっていくような気がした。




