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蛍が丘高校野球部の再挑戦 ~悪夢の舞台『甲子園』へ~  作者: 日下田 弘谷
第6章 女子野球? ~秋季島根県大会~
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最終話 言いたかった一言

 そうして終わりかけた1日目だが、以降も淡々と予定通りに、しかし時折突発的なイベントも挟みながら日程進行。



 1日目深夜


「お前らぁぁ。何やってんだ。テントに戻れぇぇぇぇ」


「ちょ、待てよセンコー。せめて秋の大三角形を見せてくれよ」


「秋の大三角形って、デネブ、アルタイル、ベガだっけ?」


「あのねぇ、秋は四角形よ。それと新田(アンタ)が言ってるのは夏の大三角形」


 生徒会副会長以下、不良学生数名が夜中にテントを抜け出して地元では見られない夜空を展望。それを見つけた体育教師と20分にも渡る鬼ごっこが繰り広げられるといった緊急イベント。



 2日目午前


「こんな感じで切り込みを入れて……」


「新田、定規取ってくれ」


「見てみて~、私の名前~」


「近江ちゃん、文字のバランス悪いよ」


 グループに分かれての小物作り。春馬班の場合、春馬はペン立て、最上はブックスタンド、近江がドアプレートで、楓音が自然の草を使っての栞。かれこれ上手に出来たとか。



 そして2日目午後。


「見て~、大きいカエル~」


「ぎにゃあああああああ」


 巨大ガエルを素手で捕まえた楓音に近江がドン引き。そんな女子2人をよそに、


「最上、あそこのプレートを見てくれ」


「えっと……Eの308」


「Eの308、っと」


 最上の飛び抜けた視力を生かしてスコアオリエンテーリング。ちなみに全体で5位タイだったようであり、上には上がいると痛感したところである。



 様々な企画を消化して幕を閉じた野外活動。


 行きのバス内では皆でゲームをして楽しんでいたものだが、一方で帰りのバス内では疲れて寝る人が多数。半分どころか7~8割方寝ているとみていいだろう。


 4組野球部勢も、最上が暇つぶしの小説片手に窓へと寄りかかって熟睡。近江が春馬の足を枕にして爆睡、その足が使われている春馬も少し席を倒して静かに睡眠中。

一方、疲れはあるものの眠気はない楓音。彼女はしばし遠く離れていく山々を見つめていたが、出発から十数分経過したくらいだろうか。景色に飽きてきたのもあり、ふと倒された前の席の上から顔をのぞかせる。そこには睡眠中の春馬の頭。


 行きの時のように彼の前髪を軽く撫でる。


『(無理しないでって……1人で抱え込まないでって言いたかったけど……)』


 楓音としては春馬に声をかけたかった。しかしかれこれ機会を逃し、彼女が奥手であることも相まってそれを言うことができなかった。そしていざそれを言おうと思っても、自分で実際にできることがほとんどないことも、言うのをとどまらせる理由にあったのだろう。


 ただ、春馬が寝ていると簡単に言葉が出てくるもの。


「春馬くん……無理しないでね」


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