最終話 新人戦
「今日から新人戦。これで上位に食い込めば、秋季大会のシード権がもらえるから、頑張っていこう。それじゃあ、今日の石見高校戦。先発メンバーを発表するぞ」
試合前の更衣室で、春馬はメンバー表を読み上げる。
「1番、センター、大崎」
「はい」
元気な返事の大崎が定位置。
「2番、レフト、因幡」
因幡はいつものように静かに頷く。
「3番、ファースト、寺越」
「へい」
ふざけて変わった返事を返す寺越。
「4番、サード、猿政」
「うむ。任せよ」
こちらはいつも通り変わっている返事。
「5番、セカンド、近江」
「はい。は~い」
大崎と張り合うような大声での返事は近江。
「6番、ショート、新田春馬。7番、ライト、新田楓音」
「はい。分かりましたぁ」
楓音は頷きながら答えた。
「8番はキャッチャーで皆月。ラストバッター兼先発ピッチャーは最上」
「頑張ろうな、義光」
「お前もな。むしろお前がな。僕は言われずとも完封するつもりだし」
最上は早くも完封宣言。しかしそこで春馬が最上に告げた。
「今後の試合だけど、大量得点差が開いた場合、どれほど好投していても温存目的で最上は降板させる。最上、いいか?」
「別にいいけど、新田が投げるのか?」
「それをしたら意味ないだろ。ピッチャーの温存にならん。だから大量得点差の場合、ピッチャーはお前だ。近江」
春馬が彼女を指さした。
「わ、私?」
「任せた。3番手投手としてな」
「が、頑張る」
小さくガッツポーズの近江。
「それはいいけど、そしたらオーダーは? 新田がキャッチャーすんの?」
「いや。ピッチャーが近江時の守備は、キャッチャー皆月、ショートに最上で僕がセカンドでいいだろ」
「春馬君、セカンドできるの~? 大丈夫? エラーしないでよ?」
「エラーしないかどうかは保証できんな。だけど、少なくとも『ショートよりは得意』だ。一応、本職はセカンドなもので」
「ショートよりも得意って、お前のセカンド守備は怖いな。いい意味で」
最上が漏らすと、更衣室のドアがノックされ、そこから係員の人が入ってきた。
「それでは蛍が丘高校のみなさん。まもなく試合が終わると思われますので、ベンチに入る準備をお願いします」
各々、自分の荷物を背負ってグラウンドへと向かう。
「さぁ、みんな。新生・蛍が丘高校、甲子園に向けてまず1勝しようか」
新人戦1回戦試合結果
蛍が丘高校 7―3 石見高校
《投手成績》
最上 5回無失点・2奪三振・0四死球・被安打2
近江 4回3失点・1奪三振・3四死球・被安打8
《野手成績》
大崎 5打数3安打4盗塁
因幡 3打数0安打1打点1四死球1盗塁
寺越 5打数1安打2打点 失策1
猿政 5打数2安打2打点1本塁打
近江 4打数0安打(4打席連続三振)
新田春 1打数1安打3四死球2盗塁 失策2
新田楓 4打数1安打1盗塁
皆月 3打数0安打1打点
最上 2打数0安打2四死球2盗塁
新人戦2回戦試合結果
蛍が丘高校 2―3× 天陽永禄 (延長10回サヨナラ)
《投手成績》
最上 7回1失点・0奪三振・0四死球・被安打5
新田春 2・1/3回2失点・2奪三振・1四死球・被安打6
《野手成績》
大崎 5打数1安打
因幡 5打数1安打
寺越 4打数0安打
猿政 2打数1安打1打点1四死球
近江 4打数1安打2打点1本塁打
(前試合から続いて7打席連続三振)
新田春 1打数0安打2四死球 失策1
新田楓 3打数1安打1四死球
皆月 4打数2安打
最上 2打数0安打四死球1
最終結果
蛍が丘高校。新人戦2回戦で天陽永禄にサヨナラ負けを喫し、シード権獲得ならず




