第1話 北(山陰)のサムライ
総合鈴征戦、信英館戦と休日の試合が続いていた蛍が丘高校。しかし今日は授業を公欠しての平日の試合である。
「頑張る。もの凄く頑張る。めっちゃ頑張る。どえりゃあ頑張る」
授業を休んで野球となると、近江にとっては最高の一日。試合前の更衣室では、じっとしていられないのか、彼女がハイテンションで動き回っている。
「あはは。近江らしいな」
「どうした、新田。元気ないな」
彼女を見ながら笑う春馬だが、彼の笑みはむしろ苦笑い。無理をしている様子がうかがえる。
「まぁ、元気はないな」
「どうしたんだよ。僕でよければ相談に乗るぜ?」
「ありがと。けど、うん……試合になれば分かるよ」
春馬の返しに、最上はなんとなく察する。さしずめ、大野山南の情報を集めた結果、これはもう落ち込まざるを得ない内容だったのだろうと。
「さて、そろそろミーティングしようか」
手を叩いて8人を集める春馬。そこにはしっかり8人集まっており、近江がブラを探していることも、楓音が探すのを手伝っていることも、猿政が焼きそばを作っていることもない。
「先発オーダーは、面倒くさい。前の試合と一緒」
豪快に割愛。
「で、今日の試合に関してだけど、全員注意な。1回戦、2回戦の球場とは違うから、フェンスまでの距離、芝の具合、土の状況。そうしたところはシートノック中に確認しておけよ」
塁間距離やマウンド―ホーム間などは、野球規則によって決められた値で、球場によって差はない。一方で、春馬の言ったような点に関しては、球場によってばらつきがある。そうしたことがプレーに影響することもある。例えば、外野が広い球場だとする。それならピッチャーは一発をそれほど警戒せず、ストライクゾーンを広く使える。しかし逆に狭いと、ちょっとしたあたりがスタンドに入りかねないため、低めを意識することが重要となる。
なお今日の球場は、センターが120メートル、両翼が98メートル。フェンスの高さが5メートルと無駄に大きい。島根の高校球児の間では、なかなかホームランが入らない球場として有名である。逆に言えば、ホームランによる失点の可能性が低いと言う意味でアドバンテージにもなり得る。そこはチーム次第だ。
「ベスト8の常連・総合鈴征学院、そして古豪・信英館。僕らはここ2試合、島根県屈指の強者を破ってきた。次なる相手、大野山南高校は、せいぜい1回戦レベルの相手を破ってきたに過ぎない。勢いは我らにあり。全力を持って、大野山南高校を打ち破るぞ」
勢いとは非常に抽象的なものではあるが、連戦に置いては非常に意味の大きいものであることは、プロ野球で数多くのドラマが作り出されたことからして証明可能であろう。そしてここで、甲子園出場候補である大野山南を撃破できれば、逆襲へと大きな一歩を踏み出すことになる。
実質的な島根県大会決勝戦だ。
「さぁ、行こうか」
蛍が丘高校野球部。甲子園に向け、ライバル討伐へ。
「新田。とりあえず、準備だけはしといてくれ」
「分かってる。けど、もう降板する気満々か?」
ベンチに入る準備をしようとした春馬を呼びとめる最上。つまるところが、この試合、リリーフあるぞ。との旨を伝えたいだけである。
「そりゃあ当然。信英館以上に神経使いそうだし」
「そんなに?」
「いや、正直、打線時代は信英館の方が遥かに強い。けど、問題なのが……」
「あぁ、なるほど」
春馬は2つの理由が思い当たる。
1つ。前の試合でも言っていたが、最上は打撃の強いチームに滅法強い。裏を返せば、打撃の弱いチームの方が抑えるのに苦心するのだが、大野山南は信英館ほど打撃が強くないと言う点がある。
そしてもう1つ。それは今日の試合も、おそらくは3番で先発するであろう、あの人である。
「まぁ、あれは怖いわな。逃げたくなる。荷物まとめて帰りたくなる。本気で」
「いやいや、そこまでではないけどさ」
春馬の真剣そうな顔にも、最上は言いすぎだろと反論。しかし春馬はさらに返す。
「最上。その言葉、よく覚えとけよ」
「?」
―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――
両チームの先発オーダーが発表され、またシートノックも終了。なおお互いのピッチャーに関しては、室内のブルペンで練習を行ったため、相手方の調子は分からない状況である。
「うにゅう、今日はお客さん少ないね」
「平日だしな」
春馬も近江に続いて1塁側のスタンドを見上げる。2回戦とは天と地ほど違う。と言って過言ではないほどの空き具合。入っているのは、高校野球ファンか暇つぶしと思われる人々、それに自分たちの保護者。そして、
『(バックネット裏にいるあの集団。さしずめ、日野さん目当てのプロのスカウトかな?)』
手帳やら、今大会の出場選手一覧の冊子を持っているところを見るに、そうと考えて差し支えないだろう。信英館戦の時にもいたであろうが、これほど人がいないと非常に目立つ。
「お、日野さんがベンチから出て……え?」
両チーム共、ベンチ前へと整列。ベンチで休んでいた最上もベンチ前へ、大野山南の日野も出てきたのだが、視力2.0の最上は彼を見て驚愕する。
「な、何あれ」
「日野さん」
「いや、だって、あれ」
「日野さん」
他のメンバーは気付いていないが、春馬は苦笑い、最上はかなりの動揺。
そんなことも気に掛けず、主審がホームへと集合を掛けた。
「さぁ、絶対に勝つでっ」
「「「おぉぉぉぉ」」」
飛び出す大野山南の選手18人。
「よ、よし。今日も勝つぞ」
「「「おぉぉぉぉ」」」
2人分の動揺気味の声が混じりつつ、蛍が丘高校の選手9人も飛び出す。
3か月ぶりの再会。蛍が丘、大野山南、双方のチームが整列し、
「「「⁉」」」
蛍が丘高校ナイン。春馬と最上を除く7人が1人の人物を見て唖然とする。
「ただいまより、島根県大会3回戦、先攻・蛍が丘高校対、後攻・大野山南高校の試合を始めます。礼」
「「「お願いします」」」
「「「お、お願いします」」」
両方とも礼を交わし、それぞれの持ち場へと散っていく。しかし蛍が丘の7人は、ベンチに帰りながらもどうにも気になる。
「ね、ねぇ、春馬くん。あれ、誰?」
「日野さん」
「で、でも」
「日野さん」
楓音も最上並の動揺。
これも仕方のない事。なにせ日野は、体格が変わったわけでも、急にイケメンになったわけでもない。ただ変わったことは1つ。
口髭とあご髭がたくましい。
それこそ、北海道のバッターボックスあたりでフルスイングしていそうな髭である。
「と、とりあえず、点を取ろうや」
―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――
日野啓二ならぬ、ヒゲ啓二はもはや凶悪であった。
結論から言ってしまえば、1番・大崎が空振り三振、2番の因幡が空振り三振、3番の寺越は、粘りに粘って、最後は外のスライダーで空振り三振。試合開始早々、3者連続三振で幕を開けてしまったのだ。
「やべぇな。スタメン組み方間違えたか?」
「新田。別に最初のイニングでスタメンの組み方も何もなくないか?」
「いや、近江を1番にした方がよかったかもってな。あいつは当たるも八卦、当たらぬも八卦なギャンブルバッターだから、対日野さんに関しては、下手すれば僕らよりも打率が高いぞ」
「なるほどな。とりあえず最も打席が回る1番にってとこか」
「そういうこと。ま、何にせよ投手戦になる。頼んだぜ、エース」
「その代り守備は任せた」
軽く言葉を交わして1回の裏の守備へ。最上は案の定投球練習なしであるため、内野での軽い守備練習もない。
「1回の裏ぁ。バッチリ守っていくぞぉぉぉ」
と言うわけでイニングの始めは皆月の声掛けに始まる。
『1回の裏、大野山南高校の攻撃は、1番、レフト、張くん。背番号7』
大野山南高校は先頭の張宗憲が右バッターボックス。名前から分かる通りに純粋な日本人ではなく、幼少期に日本へと来た在日台湾人。春先の対蛍が丘高校練習試合では体調不良で引いていたが、2年生にしてトップを任される打撃巧者でもある。
『(初球は、まずストレートでストライクもらうか)』
最上はセットポジションから張に向けて第一投。先頭バッターに初球打ちは無いと見て見せ球のストレートを選択。ところがやや甘く入ったアウトコースのストレートに対し、張は果敢に初球打ち。痛烈な打球は二遊間を――
「いきなりスイッチ――」
「はいよ。トス」
抜けない。近江―春馬の相性抜群二遊間がいきなりスイッチトスを成功させてワンアウトを奪う。これを度々簡単に成功させる2人なのだが、本来はかなり難しい技なのである。
「なんなんやろなぁ。あの二遊間」
とんでもない技を平然とやってのけ、それをいつものことのように対応している蛍が丘ナインが脅威に感じる。日野はネクストバッターサークルに入りながらその二遊間を目にする。その前で春馬は続く2番バッターの打球。
「新田っ」
最上の足元で跳ねて二遊間を襲う。しかし案の定、春馬は追いついて片手でキャッチ。華麗なステップで一回転しながら1塁へと送球。
「アウトっ」
1・2番のヒット性の打球を防いでツーアウトランナー無し。ひとまず危険なバッターの前でランナーは置かずに済んだ。
『3番、ピッチャー、日野くん。背番号1』
ただ1点勝負であるこの展開。一発すらも許せない。
口髭、あご鬚のたくましい日野が左バッターボックス。
一度はバットを担ぐような構えを取ったが、すぐに立てて構える。腕の位置と合わせてピッチャー側から見れば、さしずめ8時5分。
『『『(北のサムライっ)』』』
完全なオマージュである。もはや本人も意識していると見て間違いない。
『(マジでこんなんと勝負するのかよ。新田、敬遠は?)』
『(任せる)』
『(任せるなっ)』
顔を合わせてサインでやり取り。完全に丸投げされた最上は、ため息まじりにセットポジションへ。仮にここで日野を敬遠しても次は白柳。非常に面倒くさい打線だ。
『(分かった。やってやんよ。けど、打たれても――)』
タイミングを外す目的でクイックモーション。
『(――文句言うなよっ)』
「打たれたぁぁぁぁ」
あっさり初球攻撃を許して頭を抱える。フルスイングから放たれた痛烈な打球は一二塁間を抜けてライト前ヒット。反射神経に優れる近江ですら反応できない弾丸ライナーであった。
「ナイスバッティング」
「結構ええバッティングできたわ」
一塁コーチにエルボーガードを手渡す日野。顔はヒットに対して素直に喜びを表しているが、一方で心中ではあまりスッキリしてものではない。
『(真芯を食った一撃やったで。けど……なんで真芯を食ったんや? ちょっとバットコントロール狂ったやろか?)』
最上の球速はせいぜい120キロ。とりたてて伸びのある球ではなく、球の出所も見えやすいタイプのピッチャーである。高校野球クラスどころかプロクラスでも超規格外の日野にしてみれば、狙って外野の頭を越えさせるくらいわけないはずなのだが。
『(そもそも、ちょっと考えてみれば分かることや。そう言えば、なんで新田君の方がリリーバーなんや。変化球投げられることから言っても、新田君がエースやろ)』
高校生にしては采配の上手い春馬であるが、いまいちその点に関しては理解できない点ではある。ただ総合鈴征・信英館と格上相手を破り続けている点からして、結果論的には好采配をしていると見ていいだろう。
『(いったい新田監督は何を考えとるんや?)』
疑問自体は湧いてくるところではあるが、今すべきことは疑問の解決ではなく先制点を奪うところである。
『4番、キャッチャー、白柳くん。背番号2』
日野ほどではないが長打力のある白柳がバッターボックスへ。春先の練習試合では春馬からサヨナラ弾を放っており、その打棒はいくら日野未満と言えども油断はできない。
その白柳は2―1とボール先行カウントから、アウトコースの緩い球を確実に真芯で捉えて弾き返す。打球はピッチャーの足元を襲ってセンター前に抜けようか、と言うところではあるが、まだ安心できないのが蛍が丘高校二遊間の怖いところ。
予想通りと言うべきか。人間離れした反射神経で飛び出した春馬はギリギリで間に合うところまで、近江は間に合わないとはいえかなり近くまで迫ってきている。そう簡単にヒットを確信できないのが、バッターとしても辛い。
と、その打球が意外な動きを見せる。
『(おっと?)』
春馬にも予想外の動きであった。
打球がセカンドベースに当たって向きを変える。その方向はちょうど春馬の現在いる場所だが、慣性の都合ですぐに止まって捕球するのは難しい。
『(おっしゃ。これはヒットや。さすがの新田君でも処理できへん――)』
なお、『難しい』は『できない』わけではない。
春馬は反時計回りに1回転し始めながら後ろの打球を背面でグローブに収める。そして弾くようにして2塁へとトスすると、そこに走り込んできた近江が逸れたトスを素手でキャッチして2塁ベースを踏む。
「ア、アウト。チェンジ」
「なんでやぁぁぁぁぁ」
打球に追いつくことすら難しいのに、追いついた挙句にベースに当たってのイレギュラーにも対応。捕るだけではなく2塁送球を果たす。近江は追いつきこそしなかったが、突然の春馬の守備行為に対して柔軟に対応。逸れたトスにはグローブで捕りに行くと間に合わないと判断するなり、難なく素手で捕球。
『(さすが、巷で西日本アマチュア最強二遊間と言われるだけある2人や。今の打球を処理できるとかおかしいやろ)』
日野はチャンスにつながる一打を潰されて不満に思いながらも、次のイニングの守備のために一旦ベンチへ戻る。日野にとってはむしろ次の回から蛍が丘高校との本当の試合が始まる。
『(さぁ、勝負やで)』
バックスクリーンを振り返り見つめる。その先に書かれていたのは蛍が丘のオーダー。
『5 近江』
「よっしゃ。いくで、シラナン。大野山南の攻撃を防いだ蛍が丘に、目にもの見せたるさかいなぁ」
―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――
2回の表、蛍が丘高校の攻撃は、先頭の4番・猿政がサードフライに打ち取られ、連続三振は止めるも、得点への足掛かりがつかめない。
こうなると期待のバッターはここだ。
『5番、セカンド、近江さん』
今季の絶好調・日野啓二が唯一ホームランを許した近江。彼女をどう抑えるかが日野にとっての課題であり、また、彼女の前にいかにランナーをためるかが蛍が丘の課題。とすると、1アウトランナー無しで彼女に回したのは、蛍が丘にしてみれば赤点である。
「よぉし、私で追いつくよ~」
自分で気合いを入れながら右バッターボックスに足を踏みいれる。
そしてマウンドの方へと目を向けた。
するとマウンド上の日野。ベンチの一瞥、監督が頷いたのを確認。俯き気味に左手に握ったボールを見つめる。何か、思いを固めるような、そんな一時を置いて前を向き直る。
「すまん。みんな。ここは、ここはワイのワガママに付き合ってくれ」
そうして彼は、左手のボールを前に突き出した。
『(え? これって……)』
近江も不意打ちに驚く。握りはストレート。つまり予告ストレート。
「近江君。全球ストレート。全力勝負や」
「ちょっと、日野ぉぉぉぉ。確かにエースには『エースの権利』があるとは言ったけど、そこまでは言ってねぇぇぇぇぇ」
頭を抱えて騒いでいる、3塁側の大野山南の監督。
「ははは。高野連に怒られるとか思ってるんだろうな。よし、近江。スタンドに打ち返してやれ」
人の不幸は蜜の味とばかりに笑いながら、近江へと歓声を送るネクストの春馬。すると顔を明るくした近江は、バットをバックスクリーンに突き出す。
「だったら私も、全部フルスイング。全力勝負」
「待てぇぇぇぇい。確かに『スタンドに打ち返してやれ』とは言ったけど、そこまでは言ってねぇぇぇぇぇ」
お互いの監督の心の声が重なる。
『『(うわぁぁぁ、高野連に怒られるぅぅぅぅ)』
その一方で呆れ顔の最上。
「あれ? そういえば、1回戦で予告ストレートしたヤツいなかったっけ?」
たしかにこの大会、蛍が丘と総合鈴征の試合で立花道雪相手に予告ストレートをした者がいる。なおその結果、スライダーを放って三振を奪っている。『新田春馬』とか言う人だ。
何はともあれ阿鼻叫喚の両校監督。そんなこととは知ってか知らずか、日野は楽しそうに笑みを浮かべてワインドアップ。いつも以上に大きなモーションで第一投。
「ストライーク」
『145㎞/h』
インコースのストレートにフルスイングで空振り。
「はやっ。日野さん、MAX更新じぇねぇの?」
あわてていた春馬だが、その球速表示を見てからはそっちが気になる。
日野の過去最速は142キロ。それは雑誌などで露出が多いからこそ分かる情報なのだが、それを3キロも更新する球速が記録されたのだ。
第2球。
「ファール、ファール」
『145㎞/h』
続くMAXスピードの球をファールボール。しかしそのファールボールに、
『(近江くん。遅れてへんやんけ)』
近江はまったく引けをとっていない。むしろ少し振るのが早すぎて3塁側へのファールボール。
『(アカンなぁ。あの一本足、ストレートに付いてきてるやん)』
ストレートの予告をした日野だったが、今のファールを見て白柳はさすがにストレートのサインを出さない。切り札、ジャイロボールことスライダー。
『(……)』
日野はそのサインにムッとしながらワインドアップ。その動きにあわせて近江は足を上げての一本足へ。そんな彼女へと投じられた日野の3球目。
もちろんストレートだと信じて近江はスイングを始動。
しかし、
『(し、沈むっ)』
予告ストレートに反してスライダー。完全にタイミングをずらされた近江はとりあえずバットを振り切る。と言うより止まらなかった。そして、
「なんでやぁぁぁぁぁぁ」
打球はセンター頭上を越える会心打。
バットを投げ捨てた近江は1塁を蹴って2塁へと悠々滑り込む。
「予告ストレートしといてスライダーなんてきったねぇなぁ。日野さん」
「新田、ツッコミ待ちか?」
近江は当たるも八卦、当たらぬも八卦な超低打率フルスインガーである。おそらくはストレートを放られても当たらなかったが、丁度振ったところにスライダーが来たと言っただけのこと。要は偶然当たったのである。
『6番、ショート、新田くん。背番号6』
1アウト2塁で新田春馬が右バッターボックス。
今年に入ってろくなヒットを打っていない春馬であるが、フォアボールが異様に多い謎バッター。いくつかは続く7番・楓音勝負の敬遠ではあるが、ほとんどは粘りに粘ったり、徹底して相手を揺さぶったりしてのフォアボール。出塁率はいいのだ。
と言う事は、である。
「ストライクバッターアウトっ」
粘られず、揺さぶられずなら怖いバッターではないのである。
『(なんや、新田くんは守備が化けもんやけど、打撃は置きものやなぁ)』
辛うじて1球だけスライダーをファールにされたものの、最終的にはそのスライダーで空振り三振。
「くっそぉ。やっぱ日野さんのスライダーは打てねぇ」
「近江に煽られそうだな」
「その時はその時」
近江の事である。きっと自分は打てたのに、と煽ってくると想定するのは容易い。一方で春馬の反撃にあっさりと合うことも想像に容易い。
なおも続いて2アウト2塁と先制のチャンス。しかしこの打席の楓音には日野を打ち崩す手立てなどなく、春馬に続いて2者連続の空振り三振に切って取られた。
話したかな?
日野啓二の元ネタは、
北のサムライ+ヤクルトにFAでやってきたあの投手です




