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蛍が丘高校野球部の再挑戦 ~悪夢の舞台『甲子園』へ~  作者: 日下田 弘谷
第5章 春のセンバツ出場校 VS 夏の甲子園出場候補
41/122

プロローグ

未完結のまま4か月更新なしと表示されました

なんか放置していると思われるのもしゃくなので、

とりあえず冒頭部分だけアップしてみるという更新理由

 プロどころかメジャーからも大注目の超高校生級投手・日野啓二。彼を有する大野山南高校は、1回戦、2回戦と島根県大会予選を突破。甲子園出場候補であり、島根県初の全国制覇を期待されるチームだけあり、ここまで危なげない試合が続いていた。


 にも関わらずエースの日野は、心配そうで、楽しそうで、しかし思い悩むような、複雑な表情をしていた。


「日野。どうした。明日が試合だって言うのに、今日の練習はあまり身が入っていなかったぞ」


 監督は、風邪の予防と言ってマスクを付けた日野を呼び止める。白柳が「夏風邪は馬鹿が引くって言うし、お前なら引かねぇよ」と面白おかしく言ったものの、「ワイは野球バカや」と言い返し、結局は付けたままである。


「監督……なんやろか。ワイ、思うんや」


「なにを?」


「正直な、近江君ってプロなれると思う?」


「近江って、蛍が丘高校のか。どうだろうな……」


「ワイな、近江君はプロなれへん思うねん。いや、実力は十分すぎや。近江君は、守備力が準新田君クラスってだけで評価高いのに、ホームラン量産できるスラッガー。打てて守れるセカンドや。けどな、きっと、プロは認めへんねん。なにせ、メガネのキャッチャーは大成せぇへんって、否定し続けてたプロ野球やで?」


 もちろん、日野の言う事は過去の話。今となっては、強固たるアンチテーゼができてしまい、そうとは言えない。だが、その思い込みは壁として大きかったと言える。


「つまりやな、ワイがプロ行ったら、近江君との勝負は明日で最後なんや。あんな、ワクワクするような勝負、もうでけへんのや……」


「日野……」


 野球を楽しそうにやっていた彼が、初めて見せた野球での気落ち。そんな姿を監督は見ていられず。ある言葉をかけた。


「             」


「か、監督。せ、せやけど、せやけど、そんな、ワイの勝手でチームに迷惑かけられへん」


「エースの責任とか、そういう事か?」


「当たり前や。みんなの夏。それをワイの勝手で終わらせるわけには……」


 俯く彼を、監督は軽く小突く。


「馬鹿だな。3回戦進出はおろか、1回戦突破すら危うかった、特技はお勉強集団だった大野山南高校。それをここまで鍛え上げて、甲子園の夢を見せてくれたのは日野。お前だ。仮にお前が明日、夏を終わらせても、それでお前を責める奴はいない。仮にいても、俺が責めさせない」


「か、監督……」


「それに、『エースの責任』って言ったろ。常に『責任』には『権利』が付きまとうもの」


 今度は拳で彼の胸を小突く。


「後悔のないよう、好きに暴れて来い。それがお前の背負った『エースの責任』にふさわしい、『エースとしての権利』だ」


「か、監督。ひとつええかな?」


 震える声、ややうつむき気味で監督に声をかける日野。


 少しの間を置いて一声。


「……社会の窓が開いとる」


「あ、うそっ」


 見るとバッチリ全開。


「くそぉ。かっこつけた分かっこ悪いなぁ」


「いやいや、監督。ワイはそれで気が楽になったで?」


「社会の窓で?」


「そっちじゃなくて、監督の声掛けで。社会の窓で元気にって、小学生やないんやから。やっぱ、大人って、ここぞって時に助けてくれるんやなぁ。ワイ、監督に会えて幸せやで」


「どうも」


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