『穴』
しばらく29番が掘った穴の前から恐怖で全員動けなかった。
また出てくるんじゃないかと油断ができなかったが、何分か無言で見つめたあと、誰からでもなく皆でその穴を埋め始めた。
一緒に穴を埋めながら、不意に剛さんが聞いてきた。
「お前らはこれからどうするんだ?」
「どこかで1回休もうかと」
「……ハードでしたもんね」
沙夜ちゃんも同意した。
「沙夜ちゃん、研究施設どこかわかる?」
「え?あ、私色々彷徨ってたので……場所がうろ覚えなんです……すみません」
「……そっかぁ」
「場所わかんねぇならこの町に念写できる婆さんいるぞ」
「あ!なるほど!そう言えば言ってましたね!紹介して貰えますか?」
「カチコミにでも行くのか?」
「まあ、俺1人なら死にます。うちの支社総出でなら何とかなると思うんですよね」
「お前の支社って?」
「日本警備の東京支社です」
「通りで」
「え?知ってるんですか?」
「実戦がやたら強いって有名だぜ?勤続年数=強さだって。訓練もキツイんだろ?」
「まあ、訓練しないと都心は守れないんで」
(俺は渾身のドヤ顔をした)
「ムカつく顔だな」
「ところで剛さん、どっかで車借りれませんか?」
「自警団の装甲車使うか?1台ぐらいならいいぜ」
「剛さん、自警団なんですか?」
「これでも団長だよ」
ドヤ顔を返された。
(ムカつく)
「……私も行っていいですか?」
沙夜ちゃんが躊躇いがちに聞いてきた
「来てくれる?そうしてくれると助かるけど、危ないよ?」
「そもそもこうなったの私のせいですし……アスカちゃん助けたいです」
「お父さん、私も行っていい?」
「遊びじゃねぇんだぞ?」
「だからヒーラーいた方がいいでしょ?お父さんも行こうよ」
「畑どうすんだよ」
「隣のごん爺にやらせればいいよ」
「年寄りをいたわれ」




