『悪魔』
震える脚に気合いを入れ、走ったが上手く走れない。
何度も転びながら走る。
不意にキーンと耳鳴りがする。
ドゴォォンッ!!
と激しい音を立て、2階の壁を破壊しながら29番が吹き飛ばされ隣の家のブロック塀を砕きながらぶつかり、ガラガラと砕ける。
(沙夜ちゃんだ!)
しかし、29番は何事も無かったかのように、スクッと立ち上がり2階を見上げ飛び上がる姿勢をとった。
俺は震える脚を根性でねじ伏せ、半ばヤケクソで29番に渾身の両足タックルをかました。
(このボケェ!!)
少しグラついたが、鉄の柱に突っ込んでるみたいだった。
もちろん、倒すまでには至らない。
29番はハンマーのような打撃を俺の背中に浴びせ、俺は地面に叩きつけられた
「ぐっ!」
俺は立ち上がると同時に股間を殴りあげた。
「おらぁっ!」
ガツッ!としっかりとした手応えはあった。
やはり効いてない。
静かに見下ろしている。
29番は俺の首を掴み締め上げながら軽々と持ち上げた。
(大の大人を片手で……く、苦しい……息が…できない)
喉を潰さんばかりの怪力で締め上げられた。
「ぐあ、あ……」
気が遠のいてく……手足が痺れ始めたところ、
ドォンッ!!
と激しい発砲音がして、29番は肩の肉が爆ぜながら吹き飛んだ。
銃声の方を見ると大口径のリボルバーを両手で構えた剛の姿があった。
「こいつ、なんなんだ!?」
「ごほごほっ!剛さん……そいつ再生します……!」
29番の肩はグロテスクに肉がジュクジュクと盛り上がりながら再生している。
「……28番」
初めて29番が声を出した。
嗄れた、人とは思えない声だった。
悪魔だ……
声の迫力に、俺は改めて29番に恐怖を抱いた。




