『悪夢、再び』
「ところで沙夜ちゃん、足はもう大丈夫?治してもらった?」
「はい!治してもらいました」
そう言って笑顔を見せてくれた。顔色もだいぶ良くなっている。治すのってデメリットないのかな?
「良かった。これからどうしようか?」
「ひとつ心残りがあって……」
「なに?」
「施設に友達がいたんです。アスカちゃんて子なんですけど」
「俺も支社に戻って装備を整えたい。ここまで来ちゃったけど、戻るか」
「すみません、もっと詳しくおしえればよかったですね……」
「大丈夫だよ。
そうだ、剛さん通信端末貸して貰えますか?」
ガシャアアンッ!!
剛さんが答える前に29番が窓を窓枠ごと突き破って入ってきた。
無機質に沙夜ちゃんの方を見た。
「なんだ?!こいつは!!」
剛さんが狼狽え、亜美ちゃんは悲鳴をあげた。
腰に手をやったが拳銃がホルスターごとない……!
どこ行った?!俺の銃!あ、あれかな?
29番を挟んだテーブルの上に置かれてる……
「みんな逃げろ!」
俺は咄嗟に叫び、29番に殴りかかった
「ぅおらぁっ!!」
ゴン!!
岩のような手応えだった。
殴った手が痺れたが……
29番は微動だにせず『何かしたか?』と言わんばかりに首を傾げている。
俺は頭を鷲掴みにされ、割れた窓から外に放り出された。
「青島さん!!」
沙夜ちゃんが悲鳴にも似た声を上げた。
(2階だったのか……これやばい!)
と思ったが、草木が茂ってるところに枝を折りながら落下し、背中を強く打ち付ける。
「げぅっ!!」
奇跡的に大きな怪我はなかったが背中を強かに打ち付けた。
それより、大変だ。
あの家に29番が残ってる。
俺は急いで走り出したが、跪いた。
(あれ??)
意識はハッキリしてるのに足がガクガク震えてる。
(産まれたての小鹿かな?)
「沙夜ちゃん!みんな!逃げろー!」
叫んでも状況が変わる訳では無いが叫ばずにはいられなかった。




