『夜明け』
西東京内に入った。
運転が安定せず、蛇行運転気味になっていた。
(対向車いなくてよかった)
「青島さん!もうすぐです!だんだん見慣れた風景になって来ました!」
「すまん、さっきの裏拳が効いてて……目眩が……うっ!」
俺は車を路肩に停め、車から飛び出し路肩で嘔吐した。
「ぅげえぇぇ!」
(目が回る……鼻も熱を持って腫れてきた……鼻骨折れてるかも……鼻血で呼吸が……首も痛い……)
沙夜ちゃんも降りて背中をさすってくれている。
「もう少しですよ!故郷に行けばヒーラーの友達がいます。頑張りましょう!」
「わかった、頑張る……」
そこで地面に倒れた。
(気絶しそう……意識が……眠い)
「青島さん!青島さん!!」
離れたところから車の重いエンジン音が近づいて来る。
そして、こんな状況で装甲車が猛スピードで俺たちの乗ってきた車に激突した。
装甲車のドアが開き中から3人組が素早く現れる。
「28番、確保!」
「よし、車に乗せろ」
「離して!」
(沙夜ちゃんが攫われる……!)
激しい目眩の中、最後の力を振り絞り気合いで引き金を引いた。
(あたれ!!南無三!!)
パンっ!
1人は頭を撃ち抜かれ、糸が切れた人形のように倒れた。
(あ、当たった……)
「この野郎!」
残りの追っ手は拳銃を懐から取り出した。
俺はもう指の感覚がなくなっており、引き金を引く握力も残っていなかった。
(もうダメだ……)
とガクッと体勢が崩れ、諦めた瞬間。
「やめて!」
沙夜ちゃんが叫んだ。
キィィィィィン!
激しい耳鳴りと同時に2人は、
グシャァッ!!!
見えない圧力で上から潰されるように地面ごとめり込んだ。
助かった……と思ったが、沙夜ちゃんは力なくその場に倒れた。
「沙夜……ちゃ……」
とうとう俺も限界が訪れ、意識は深い闇へと沈んでしまう。
視界が暗くなった時、車が停まる音がした気がした。
長い夜が終わり、空が白み始めた時だった。




