『時速60km』
(ダメだ!追いつかれる)
奴の頭の銃痕はすでに何事も無かったかのように治っており、猛然と向かってくる。
29番に追いつかれたと同時に裏拳が俺の顔面を真正面から捉えた。
ドゴォンッ!!
「ぐおっ!」
「青島さん!!」
俺は交通事故にでもあったかのように吹き飛ばされ、駐車場に停まっていた車に激突した。
車は凹み、耳障りな防犯アラームが鳴り響く。
(首超いてぇ〜)
「バケモノがぁ!」
物凄い目眩と吐き気の中、拳銃を半狂乱で29番の腹や脚に叩き込むと、
派手に転倒した。
(今のうちだ!)
ガクッ
「あれ?」
先程の裏拳の衝撃が全身に回り脚が言う事聞かない。
(鼻血も止まらん……頭がガンガンする)
そうこうしているうちに29番は再生を終え立ち上がる。
その時、耳鳴りが激しくなり、沙夜ちゃんがやつを念力で吹き飛ばした。
2mの巨体が紙くずのように遠くへ吹き飛んでいった。
「げえええ!」
沙夜ちゃんは疲労からその場で激しく嘔吐した。
「また吐いちゃいました……」
俺は駐車場の型落ちのボロ車を見つけ、窓を叩き割りロックを外した
「沙夜ちゃん!乗れ!」
俺は扉を開けると沙夜ちゃんは車内へ滑り込んだ。
俺はスターター部分を叩き壊し、直結でエンジンをかけ、アクセルを踏み込む。
やつは起き上がり走って追ってくる。
が、40……50km…まだしつこく追ってくる。
(おいおい、世界記録より断然速いぞ……!)
スピードが60kmを超えたところでようやく引き離すことに成功した。
しばらく車を飛ばし、姿が見えなくなったところで緊張が解け、呼吸を忘れてた事に気づく。
「はぁはぁ、あいつ、なんだったんだ?!」
「に、29番、私がいた、施設の改造人間です……でも、何かに阻まれ超能力の効きが弱かったです……」
「実験体って超能力だけじゃないの?」
「はい……改造人間も作ってました。……29番は特に凶暴でした……」
(おいおい、初耳だぞ……うちの会社よりブラックじゃん……)
とにかく車を手に入れた。このまま沙夜ちゃんの故郷まで走れるといいが、俺の嫌な予感はまだ続いていた。




