『バケモノ』
ホテルにたどり着き、部屋でようやく一息ついていた俺たち。
ニュースでは首都高で爆発事故が起きたと報道されているのをソファーで休んでいる沙夜ちゃんが見ていた。
「これ私たちですよね?警察にも追われるのかなぁ……」
「……沙夜ちゃん」
「はい?」
沙夜ちゃんはこちらに顔を向けた。
「逃げる準備して」
「え?」
俺は嫌な事に悪い予感がすると大体当たる。
しかも、間に合わないぐらいのタイミングで。
俺は拳銃のマガジンに弾が入ってる事を確認すると、ガチャっと叩き込みセーフティを外した。
「なんでですか?」
「なんとなくだよ」
そんな話をしていると、やつは急に現れた。
ドォン!!
壁を突き破って、部屋に入ってきた。
で、でかい……その2mほどはあろう大男は顔全体……
いや恐らく全身だろう、装備の隙間にも火傷の跡があり、目は白く濁っていた。
見えているのだろうか?
「に、29番……!」
沙夜ちゃんが悲鳴に似た声で叫ぶ。
俺は反射的に1発……2発……3発と撃ったが、恐ろしいほどの身のこなしで全て躱した。
(嘘だろ!)
「なんだこいつ!人間か?!」
俺は29番に顔を鷲掴みにされ、そのまま万力のような力が込められる。
(潰される……)
「こなくそー!!」
俺はすかさず頭に一撃弾丸を叩き込んだ。
29番はそのまま投げ捨てるように俺を壁に叩きつけた。
「げふっ!」
肺の空気が全て抜ける感覚。
――おかしい、頭に当たったはずだ。
29番の額を見ると、しっかりと銃創があった。
が、皮膚の下から何かが蠢き、弾丸を押し出した。
そして何事もなかったように、こちらに無感情な顔を向けた。
(嘘だろ……額だぞ……)
俺は沙夜ちゃんを抱えて窓を突き破って外に出た。
1階で助かったが、
奴は物凄いスピードで追ってくる。
スプリンターなんて生易しいものじゃない。
(バケモノだ……!)




